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- Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
- / ISBN・EAN: 9784788510869
感想・レビュー・書評
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〈女〉は〈自然〉ではなく作られたものとするジェンダー論の枠組みに徹底した視点から、近代の女性表象を読み解く。研究対象は、百貨店、演劇、雑誌、思想、文学、医療と多岐に及ぶ。
とりわけ軸となるのは演劇であり、田村俊子、人形の家、文芸協会(抱月と須磨子)、宝塚などが論じられる。近代において〈自然〉らしさが賞揚されることで、「女が女を演じている」ことは隠蔽され、女性的主体性は抑圧されるという図式を基本としつつ、言説の掘り起こしやテクスト分析を行っている。
以下、本書に関連する研究書を挙げておく。瀬崎圭二『流行と虚栄の生成』(2008)、関肇『新聞小説の時代』(2007)、坪井秀人『感覚の近代』(2006)、内藤千珠子『帝国と暗殺』(2005)、飯田祐子『彼らの物語』(1998)、小森陽一他編『メディア・表象・イデオロギー』(1997)。いずれも必読書と言っていい研究書なので、日本近代文学を専攻する学生は、ぜひこれらの本を手にとってほしいと思う。
また、本書で挙げられていた参考書も挙げておく。
・レイチェル・ボウルビー『ちょっと見るだけ-世紀末消費文化と文学テクスト』(原著1985年、高山宏訳、ありな書房、1989年)
・ジェニファー ロバートソン『踊る帝国主義―宝塚をめぐるセクシュアルポリティクスと大衆文化』(現代書館、2000.10)
・ナンシー・フレイザー『中断された正義―「ポスト社会主義的」条件をめぐる批判的省察』(原著1997、御茶の水書房、2003.11)詳細をみるコメント0件をすべて表示