質的データ分析法―原理・方法・実践

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  • 新曜社
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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788510951

感想・レビュー・書評

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  • よくない論文の例としてあげられている薄い記述のタイプ
    1)読書感想文型
    2)ご都合主義的引用型
    3)キーワード偏重型
    4)要因関連図型
    5)ディーテール偏重型
    6)引用過多型
    7)自己主張型
    というのはいかにもありそうだなぁ、と思った。私もそうなりそうなので気をつけないと、と思うけど、この本を読んでもただちに分厚い記述ができる自信はない。
    ただ、そうならないため、最後のページにある付録「質的レポートチェックリスト」は役に立ちそうだ。

    佐藤郁哉氏の立場はグラウンデッドセオリーアプローチの影響を受けてはいるけれど、それをもっと柔軟に活用しようとしている、というところのようだ。

    事例ーコード・マトリックスを作成する、というやり方は私のやりたいことでも使えそうではある。
    いろいろなインタビューからこのような表を作成すれば、何が言えるのか見えてきそうに思える。

    とりあえず、オンラインで読めるQDAソフトウェア入門 http://www.shin-yo-sha.co.jp/link/qda301_1.pdf を参照しながら実際にMAXQDAの体験版を使ってみるかなぁ。
    http://www.maxqda.com/lang/jp/demo

    データの収集、分析、問題の構造化を同時並行的に行なっていく漸次構造化法という方法を著者は薦めておられる。それももっともだと思うし、ソフトウェアを使ってパソコンで処理をする方がきっと後々楽になるだろう、と思うけど、新しいソフトに挑戦するのはちょっとおっくうな気がするというのが今の本音。

  • 質的分析の基本を網羅している。実際に自分で質的分析をやってみてから読んだ方が分かりやすい。

  • 1回目

  • 東2法経図・6F指定:361.9A/Sa85s/Usui

  • ◎こころ:多くの場合半構造化インタビューによりインタビュー録テキストを得る。目的に合わせてそれをどう分析して発見に結び付けるのか。
    ○ツボ:質的データ分析の意味とコードマトリックス法という手法を理解しておく。
    ☆問い:あなたがもっているテキストをコードマトリックス法で概念抽出してみよう。

  • 非常にわかりやすく、整理できた。

  • 目次

    はじめに
    第1部 質的データ分析の基本原理
    第1章 7つのタイプの「薄い記述」-質的研究のクオリティをめぐる問題
    質的研究ブーム
    ブームの功罪
    分厚い記述対薄い記述
    薄い記述のタイポロジー
    クオリティの高い質的論文の条件
    分厚い記述とベタな記述ー質的研究における「説明」の位置づけ
    質的データと量的データ

    第2章 豊かで厄介な質的データー翻訳としての質的データ分析
    質的データとは何か
    文字テキストデータの重要性
    豊かな意味を内包する質的データ
    「文化の翻訳」の難しさー文脈に埋め込まれた意味
    語・分レベルの置き換えによる翻訳の限界
    質的研究における意味の翻訳
    翻訳との類似性
    「現場の言葉」と「理論の言葉」
    薄い記述における3つの意味世界の関係
    試行錯誤による学習
    コラム イーミック文化内在的とエティック文化外在的

    第3章 定性的コーディング -文脈と概念的カテゴリーのあいだの往復運動
    翻訳と質的研究のあいだの違い
    定性的コーディングの実例
    コーディングによる質的データ分析の概要
    定性的コーディング対定量的コーディング
    定量的コーディングとデータの縮約
    定性的コーディングーコード(概念的カテゴリー)と文脈のあいだの往復運動
    脱文脈化と再文脈化

    第4章 脱文脈化と再文脈化
    脱文脈化ーセグメント化
    第1段階の再文脈化ーデータベース化
    第2段階の再文脈化ーストーリー化
    補論:文字テキストデータを対象とする他の分析手法との違い

    第5章 事例・コード・マトリクスー概念モデルの構築
    概念モデルとストーリーの構築
    事例ーコード・マトリクス
    タペストリーとしての事例ーコード・マトリクス
    タペストリーと7つのタイプの薄い記述
    事例ー変数マトリクス
    変数を中心とする分析
    量的研究における事例分析とその限界
    事例ーコード・マトリクスによる分析
    マトリクスにゆおる2通りの分析法
    木を見て森を見る、森を見て木を見る

    第Ⅱ部 質的データ分析の実際
    第6章 資料を整理する
    資料の山の憂鬱
    分類と配列
    インタビュー記録とフィールドノーツの例
    要約の作成

    第7章 コーディングをおこなう
    編集作業としてのコーディング
    「たたき上げ式(帰納的)コーディング」によるテーマのあぶり出し
    演繹的アプローチと帰納的アプローチの併用
    コラム キーワード偏重型と帰納的コーディング
    帰納的アプローチ
    演繹アプローチ
    演繹的アプローチと帰納的アプローチの相対性
    コラム 商店的コーディングにおけるコードの集約

    第8章 分析の方向性をさぐる
    コードの無限増殖と概念モデルの構築の必要性
    継続的比較法
    コード中心の分析による薄い記述
    継続的比較法と事例―コード・マトリクス
    コラム 事例ーコード・マトリクスにおける「圧縮」と「展開」
    「座標系」としての事例ーコード・マトリクス
    コラム ビッグピクチャーとスモールピクチャー:分析メモによる再文脈化
    コラム 事例ーコード・マトリクスにおける行と列

    第9章 概念モデルをつくる
    カード方式とその問題点
    QDAソフトによる分析
    概念モデルの視覚的表示

    第10章 報告書を書く
    「最後のハッタリ」と薄い記述
    アイディアメモー「メモ魔」のすすめ
    分析メモ
    コラム メモの記入内容
    分析メモについての注意事項
    章立て(目次)方式のツリー構造
    コラム 章立て案の書き方
    「ストーリーの流れをつくる」ということ

    コラム 「足場」としての事例コード・マトリクスとツリー構造

    補章 マトリクスの成長と進化ー「文書ーコード・マトリクス」から事例ーコード・マトリクスへ
    コラム 紙ベースのデータ分析における事例ーコード・マトリクスと文書ーコード・マトリクス
    コラム 記述的コードと分析的コード
    コラム 縦断的な研究におけるデータ・マトリクス

  • アンケートやインタビューの書き起こし記録
    そう言った、量では測れないデータを
    どのように意味あるデータとしていくか

    その解釈や分析の様々な方法を
    理論と共に示している

    研究と言うと どうしても
    量やその分析による数的な根拠が求められる
    そして安定感のあるような気もするが
    質的分析の大切さ そのノウハウがわかる

    平易な表現で
    質的研究を求める方には
    共感できる部分が必ずあるはず
    質的に研究 分析したい!

    迷ったら この本から…

  • 質的研究においてはグラウンデッド・セオリーと並んで紹介されることの多い技法の本。
    インタビュー等の記録を、いかに論文等の客観的視点に耐えうる形にできるか。マトリックスと言えば簡単にイメージできるが、それを作ることによって多角的な検討ができるようになる。
    ただこのマトリックスを説得力のある形に仕上げていくためには、その元ネタとなる生データをきちんと取らないといけないし、コーディングだって全く疎かにできない。だからこそ、セグメントとコードの間等の往復運動が必要になるんだと思った。
    質的研究をより高次に高めていくためにも、この方法はなるほど説得力に溢れている。
    修士論文あたりで質的研究をやる人は完全に必読書だが、インタビューをやる卒論の学部生にも良いのではないかと思った。
    調査法は、本当に奥が深い。

  • 質的研究にこだわらず、研究の質を上げるために辛口の記述が役立つ

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著者プロフィール

同志社大学商学部教授,一橋大学名誉教授
東京大学文学部卒業,東北大学大学院文学研究科博士後期課程中退,米国シカゴ大学
Ph. D.(社会学).
専攻は組織社会学,社会調査方法論.
東北大学助手(文学部),茨城大学助教授(人文学部),一橋大学助教授・同教授(商学部)
(2000–01 年プリンストン大学客員研究員,2013年オックスフォード大学ニッサン現代日本
研究所客員研究員)2016年4月より現職.
主な著書にKamikaze Biker(University of Chicago Press, 1991),『現代演劇のフィールド
ワーク』(東京大学出版会,1999 日経・経済図書文化賞受賞,AICT 演劇評論賞),『本を
生み出す力』(共著,新曜社,2011),『組織エスノグラフィー』(共著,有斐閣,2011 経
営行動科学学会優秀研究賞),『社会調査の考え方[上][下]』(東京大学出版会,2015)など.

「2018年 『50年目の「大学解体」 20年後の大学再生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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