「集団主義」という錯覚―日本人論の思い違いとその由来

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著者 : 高野陽太郎
  • 新曜社 (2008年6月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788511156

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「集団主義」という錯覚―日本人論の思い違いとその由来の感想・レビュー・書評

  • これはTBSラジオの「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」で宇多丸がお薦めしていたもの。宇多丸自身がサブカルチャーに非常に詳しい人だったので、結構意外だった。

    本書は「日本人が集団主義である」という言説は、ほとんど根拠がない通説であり、そしてそれがなぜ通説としてまかり通ってきたのかを論じている。

    ここでは、社会心理学・認知心理学、教育学、言語学、経済学という多面的な研究を紹介しながら、日本人集団主義説が根拠がないことを説明している。特に、著者自身の専攻である心理学の分野は非常に厚く書かれており、また実証的に論じられている。

    本書の良い点は、まず非常に分かりやすく書かれているところである。特に認知心理学、社会心理学の部分は、非常に噛み砕いて丁寧に説明しているため、とても読みやすい。

    また、若干専門的な話は★がついており、さらに専門的な話は注釈にまわし、そこを飛ばして読んでも話の大筋は掴めるようになっているという親切な作りにも著者が「何とかして自分の考えを伝えたい」という熱意が伝わってきて、好感が持てる。

    一方で、なぜ通説がまかり通ってきたのかについても、歴史的な資料を引っ張り出してきて、説得的に論じているが、この説明は心理学のバイアスでほとんどの説明をしているためか、若干議論が粗い気もする。

    しかし、それでも本書は通説に惑わされず、研究者として実証的に論じていくことの重要さや面白さを十二分に体験できる。

    それなりに読むのに時間はかかる本だが、もっと多くの人に読まれるべき本だと思う。

  • 【目次】
    はじめに [i-vi]
    目次 [vii-ix]

      第一部 「日本人=集団主義」説 
    第1章 日本人論 003
    第2章 日本人論批判 025
      第二部 事実の検証 
    第3章 実証的な研究 039
    第4章 論争 067
    第5章 「集団主義的な文化」再考 097
    第6章 エピソード 149
    第7章 昔の日本人 163
      第三部 通説はなぜ成立したのか? 
    第8章 戦時下の集団主義 189
    第9章 思考のバイアス 207
    第10章 オリエンタリズムとしての「集団主義」 233
      第四部 「文化」の再検討 
    第11章 「国民性」 253
    第12章 文化ステレオタイプ 279

    おわりに [301-314]
    謝辞   [315-316]
    註    [317-337]
    文献   [7-23]
    事項索引 [3-5]
    人名索引 [1-2]

  • とてもとても良かった。読みやすいので色々な人に読んでもらいたい本。

  • 掘り出し物。
    全体的に軽い異論はあるけれど、データを根拠に俗説を打っていくその論証の過程はお見事、の一言。

  • 人生Best3に入る位好きな本。
    データの正しい読み方を教えてくれる本だと理解。
    データの嘘に惑わされない為にも必読。

  • ライムスター宇多丸さんのお薦め

    集団主義という錯覚
    日本人論の思い違いとその由来
    高野陽太郎著 ?新曜社

    第1部 ?「日本人=集団主義」説
    第1章 ?日本人論
    ? どのように語られてきたのか。
    第2章 ?日本人論批判
    ? なぜ日本人論批判は日本人論を覆すことができなかったか。

    第2部 ?事実の検証
    第3章 ?実証的な研究
    ? ?同調行動、協調行動の実験 ?→ 日米差異なし。
    第4章 ?論争
    ? 北山忍、スティーブン・へイン、準拠集団効果
    第5章 ?集団的な文化 ?再考
    ? 日本語の特性か?、いじめ件数の日米比較は?、日本経済〜日本的経営
    ? 80年代のアメリカで行われた反ダンピング税
    ? 傷害保険の日本内販売での米国企業優遇
    ? 年功賃金、終身雇用、企業別組合、系列、メインバンク、非関税障壁…
    第6章 ?エピソード
    ? アメリカ…スポーツ界での集団主義。
    ? 日本…欧州出身のサッカー監督には、チームの決まり事が少ない、と映った。
    ?ボビー・バレンタイン監督はロッテでチームプレーが第一、個人練習はその次と説いた。
    第7章 ?昔の日本人
    第8章 ?戦時下の日本人
    50年代の米国のマッカーシズム、赤狩り。9.11同時多発テロ。
    アメリカでも集団的な危機に瀕している(と構成員が感じている)ときは、集団主義的行動が前面に出る。
    第9章 ?思考のバイアス
    対応バイアス
    確証バイアス
    可用性バイアス
    錯誤相関
    信念の持続
    外集団等質性効果
    情報量の不均衡
    日本語の問題
    ※ 日本研究書「菊と刀」の著者、ルース・ベネディクトは、日本語も知らず、他者の英語論文や英訳された日本書籍をもとに、一年ほどの日本研究で書かれたもの。
    「日本人には個性がない」ことを立証しているわけではなく、個性を認識できなかったことを示しているにすぎない。

  • 日本人は集団主義だ』という偏見を、完膚なきまでに論破した内容。
    それと同時に、普段から私たちにもたらされる情報をどう整理し、受け取っていくべきか論じた内容でもある。
    ここまで、カッチリ論理的に組み立てられた文章を読むのは始めてです。

  • 「日本人=集団主義」という日本人論が誤りであることをひたすら説明。
    著者が意識しているように、専門用語などはほとんどなくとても読みやすくてわかりやすい。

    なぜ「日本人=集団主義」という思想が出来上がったのか。
    心理的要因や歴史的背景など様々な因子から考え、具体例がとても豊富。

    つまりはバイアスやステレオタイプがいけないということ、
    すなわち「米国人=個人主義」も同時に成り立たない。

  • 日本人は集団主義でアメリカ人は個人主義という定説(?)を丁寧に解きほぐすことで、日本人=集団主義とは言えないと結論づけた良書。
    国家間の協議や、社会学、文化比較などで、前提として日本人は集団主義という話が出て、聞き手も納得しているが、さまざまな統計データをもとにその思い込みを払拭してくれるところは壮快感すら感じる。

    時代や国民性を語るとき、ある側面だけが妙にクローズアップされ、意図された結論のために利用される危険性も説いている。
    たとえば、アメリカが日本に構造改革を迫る場合がそうだ。
    日本は集団主義的で、排他的であるから世界と協調路線がとれていないと、一方的に責められる。
    しかしこの本では、アメリカが911などで集団主義化した例をあげて、日本よりもむしろ集団主義になりやすいと解説する。
    この本は、単なる社会学の本ではなく、日本人が自分たちをもう一度見つめ直すきっかけをつくることで、心の中にある枷を取り払う第一歩になるのではないかという、提言書である。

    今日のあらゆる外交上の失敗や、いわれなき国際的批判を受け入れてしまう日本人の深層に、ぐさりとメスを入れた、すばらしい本です。

  • 要約
    「日本人=集団主義」は錯覚。錯覚が起きるのは、三つのバイアス+外部集団同質効果のため。実際の人間の行動は、文化じゃなくて状況できまる。

    感想
    エピソードはすごい説得力を生むけど、サンプルが多かったらどんなエピソードでもいくらでも見つかる。正確な事実を知るには、実証研究の積み重ねが大切。
    エピソードだらけの「失敗の本質」を読むのにあたり、注意。
    刀と菊は、日本語できないアメリカ人によって、国内の文献のみを参考に、アメリカと日本と戦争してるときに書かれた書いたってのが驚き。


    対応バイアス
    確証バイアス
    可用性バイアス

  • 読了:2010/03/09 図書館

  • ライムスターの宇多丸さんがポッドキャストで紹介していて気になっていました。
    すると丁度、大学の講義の指定テキストに…!
    運命を感じました。只今読んでおります。

    0410-0611
    /////
    広く流布する日本人論の検証を通して明らかになった、状況の力と思考のバイアス。国家、民族間に溝をつくりだし、しばしば政治的な対立を激化させる文化的レッテルへの警鐘。

  • ライムスター宇多丸がラジオで薦めていた本。

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