- Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
- / ISBN・EAN: 9784788511712
作品紹介・あらすじ
ノーマンの名著が改題、装いも新たに登場!◆ 弊社ロングセラー、ドン・ノーマンの『パソコンを隠せ、アナログ発想でいこう』を新装、改題してお届けいたします。本書は『誰のためのデザイン?』から最新著『未来のモノのデザイン』を理解するうえで、もっとも重要な作品です。ハイテク産業の生き残る道は、人間中心のデザインによる〈情報アプライアンス〉を開発できるかどうかにかかっている、という著者の指摘は、未だその輝きを失っておりません。ハイテク機器のあるべき姿を考える上で、ユーザー、メーカーを問わず必読の本です。
感想・レビュー・書評
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複雑化していくPCの限界。それを今、私たちはスマホやタブレット端末で乗り越えようとしている。まさにこれらの上で動く「アプリ」が情報アプライアンスなのではないか?
HCDを実現する組織作りも論じているので、幅広い。製品を作り出すというのは、ミクロだけでなく、マクロも視野に収めよ、ということか。
・学ぶのはタスクであって、テクノロジーではない。
・論理的に探求するというのは顧客のニーズを理解するための方法としては誤っている。顧客と話し、観察しなければならない。これが顧客の興味、動機、ニーズを理解するただ一つの道なのである。
・設計公理1 簡潔性 2融通性 3快楽性
・知覚されたアフォーダンスは、現実のものよりも約束事に関係することが多い。
・カメラは行動を妨げる。一方、描くことは増強するテクノロジー、つまり描いているイベントに対して、集中したり、焦点を合わせたり、熟考することが本質的に必要となるものである。
・世界はスッキリとした整然としたものではない
・概念モデルは、簡単に言えば、状況を理解する筋書きである。
・ものを使いやすくするものは、ユーザーがそれを自分で制御していると感じるとき。
・メタファーが適しているのは学習の初期段階のみ。
・直観とは長期にわたる練習と経験を経て現れる、潜在的な知識の状態に過ぎない。
・インターネットは社会的インタラクションとコミュニケーションをアフォードする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
コンピュータはその内部の構造や技術を意識する事なく、一般消費者に分かりやすいインタフェースを持ち、適切に使えるように設計されるべきであるというのが本書の主な主張である。
この本の原著は1998年に書かれ、当時はパソコンの全盛期であり、今のスマートフォンの原型の一つであるPDAもそれを活かすための無線通信技術も普及していない頃の事である。この本に書かれている「背後に隠れ、ユーザーに適切な情報のみを使いやすいように示す情報アプライアンス」は、今から見れば、スマートフォンによって、殆どが達成されている様に見える。
では、この本を今読む必要があるのかという疑問が当然あるだろうが、私は今だからこそ読むべきだと思う。
何故ならば、この本に書かれている視点によって、作り上げられたスマートフォンとそのエコシステムが、本書で指摘されている技術に偏り過ぎ、使い難いパソコンが占めていた席に座り、広く一般に浸透しているからである。
本書で行われている指摘は非常に的を射たものであり、1998年に書かれた本であるとは思えないほど、真っ当な指摘がされている。
技術について、普通の人よりも知っていると、蓄音機を発明したエジソンのように論理としては尤もに見えても、実際には間違った見方から使い難い製品を作ってしまう恐れがあると本書は技術者に指摘している。
技術について、知っているからこそ、普通の人がそれを見た時にどう反応するのかが分からなくなる恐れがあるのだ。
本書が主張する「人間中心の開発」が成功したからこそ、スマートフォンは爆発的に普及し、そのエコシステムの上で非常に多くのアプリケーションとサービスが動いているのだと思う。
ユーザーの大半は技術に精通した先進的な人々ではなく、そういった人々に寄り添わなければ、広く受け入れられるアプリケーションやサービスは恐らく作ることは無理なのだろう。
上述の理由から、本書の内容は未だに陳腐化しておらず、むしろ、本書の内容の大部分が達成された今だからこそ、読まれるべきだと思う。
この本には、これまで、形態を変えて、社会に広く浸透したコンピュータの今までの歩みを振り返ることに役立ち、そして、今後のコンピュータのあり方について考える基礎が書かれていると私は考える。
コンピュータの今後がどうなるかは、毎日の様に色々な記事がインターネットのニュースサイトなどから発せられるが、それらをどう評価するのかの一つの基準が本書を読むことで得られると思う。 -
テクノロジーのライフサイクルの考え方は重要であると感じられた。今が何処の時点であるかに応じて適切につくり方を選ばなければならないことが良く理解できる内容になっている。
テクノロジー、マーケティング、ユーザー経験の三本脚の支えによって人間中心設計が成り立つことは、改めて適切に認識される必要があると思われる。 -
テクノロジー中心の製品から人間中心の製品になる必要がある。
テクノロジーが基本的なニーズを満たす地点まで達した時テクノロジーの進歩はその魅力を失う。
人間中心の開発はプロセスである。
情報アプライアンすは孤立した機器ではなくシステムとして考えるべきである。