性格を科学する心理学のはなし―血液型性格判断に別れを告げよう

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  • 新曜社
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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788512535

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    ▼配架・貸出状況
    https://opac.nittai.ac.jp/carinopaclink.htm?OAL=SB00453709

  • 帯文:”血液型から性格を判断することはできない――それはなぜ?” ”人の性格に関する身近な問いを深求しながら、心理学の科学的な考え方が身につく本”

    目次:まえがき、序章 なぜ血液型と性格の関連を信じることに反対なのか、第一章 性格はどこにあるのか、第二章 心理ゲームは深層心理を当てるのか、第三章 人間はいくつの種類に分けられるのか、第四章 人間にはいくつの性格があるのか、第五章 「三つ子の魂百まで」はほんとうか、第六章 子どもの性格は親に似るのか・・・他

  • 私自身、血液型性格診断を一切信じていないのだが、
    職場など、まわりであまりに「あたりまえ」のように
    この話が出てきたり、自分に話が振られたりするたびに、
    言い知れぬ不快感を味わってきたのである。

    で、どうして私は不快なんだろう、と考えていたのだが、
    というのは、信じている人たちだってもちろんそれに
    すべてを捧げているわけでもないんだから(笑)、
    遊びで付き合えばいいじゃない、ということは分かっている
    のだが、なぜ、そうできないんだろう、ということが
    不思議で、少し考えてみたかったのである。

    で、本書を読んで、なんとなく答えがひとつ浮かんだ。
    それは、
    「血液型という言い逃れ」を使っていることが
    私を不快にさせているのではないか、と。

    p.161 引用

    「血液型と性格には関係がない」といわれても
    なかなか受け入れがたいと感じる人もいることでしょう。
    そこで、ひとつの提案です。
    対人関係のなかで、どうしても誰かと意見が合わないことや、
    考え方が異なることはかならずどこかであるといってよいでしょう。
    また、どうしても気の合わない人や、気に食わない人、いわゆる
    相性が悪い人というのは、いるものです。ただしそれは、血液型が
    理由ではありません。単にあなたとの相性が悪いだけ、
    価値観が大きく異なっているだけです。
    (略)どの血液型についても「嫌いだ」という人がいることでしょう。
    しかしここから血液型を取り除いて考えてみてください。
    あなたが嫌いなのは「A型」ではなく「神経質な人」なのです。
    「O型の人が嫌い」なのではなく「負けず嫌いな人が嫌い」なのです。
    「B型の人が嫌い」なのではなく、「自己中心的な人間が嫌い」なのです。
    「AB型が嫌い」なのではなく「変わった考え方をする人が嫌い」なのです。
    血液型を取り除いて考えれば「あなたが嫌いな人」の特徴が鮮明になりますs。
    もちろん、血液型を取り除いて考えれば、「あなたが好きな人」の特徴も
    明確になるはずです。
    (略)あなたが好きな人も嫌いな人も、いずれの血液型を持つ人のなかにも
    存在するはずなのです。ところが、血液型を考えてしまうことによって、
    本当はあなたと価値観が合う人であっても、それとは関連のない「血液型」
    という情報によって「嫌い」と判断されてしまいます。それは、人付き合いを
    するうえで、非常にもったいないことです。

    …なるほど。
    言い逃れというか、正当化というか、
    「私は○○な性格が嫌い」と断言することを避けるために、
    もしかしたら血液型という隠れ蓑というか殴られ役を使っているのかも
    しれない。

    となると、なぜこんな血液型占いが、1971年の能見正比古という
    ライターが、1932年に失敗研究に終わった古川竹二の遺物を引っ張り出して
    日本で大ブームを起こすことに繋がったかも少し説明がつく
    (そしていまだにはやっている理由も)。

    要するに、日本の文化は、「逆説の日本史」シリーズで井沢元彦氏が鋭く
    指摘するように
    「言霊文化」であり、
    悪いことは言ってはいけない(なぜなら現実に起こるから)という概念が
    二千年前から支配している。
    欧米の技術は輸入したけれど、キリスト教や社会規範概念は
    まるで定着していない。聖徳太子が明文化した「和」のままである。

    血液型も、この文脈で考えると、なるほどと思える。
    誰それを好き、嫌いというと角が立つから、
    「何型は相性がいい」とか「悪い」とか、代用するのではないかと。

    しかし、血液型に関しては本書でも解説しているように、
    性格との相関関係はまったくないのである。
    性格は遺伝子によって何割か決まってくるが、それにしても、
    「強硬派遺伝子」とか「円満遺伝子」とかが単一にあるわけじゃなくて、
    それぞれでは特定の性格を決めるわけではない遺伝子がいくつも
    複合、連鎖的に、遺伝的な性格の要素を形作る、というだけの話である。
    であるからして、ABOという赤血球のツノが影響があるわけがない。

    日本は20世紀に、科学技術と労働集約、勤勉な国民性etcいろんなものの
    おかげで今日に至る経済的繁栄を築いたわけだが
    逆にいうとそれは迷信や発展を妨げる因習を封じ込めることに成功したから
    という見方もできる。

    なのに、その因習とかオカルトとかと同じ系統である「血液型と性格の因果」
    を持ち出してくるあたりが、私にはとても恐ろしく思えてしまう。

    でも、それも「平和・安心への盲信」とか「言霊信仰」とかと同じところに
    根差しているのかもしれない…と考えてみれば、
    なんだかもう、仕方ないことのように思えてきた(笑)。

    ただそれでも、私自身は、今後も血液型を強制してくる
    「ブラッドハラスメント」の人には、対抗しようと思う(笑)。
    そんな私にとっては、実に本書で説明してくれた話は、助かる材料だ。

  • 看板に偽りあり。パーソナリティ心理学の入門書。血液型批判はあくまで添え物。

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著者プロフィール

早稲田大学文学学術院教授。
2000年,名古屋大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。主著に『性格とは何か―より良く生きるための心理学』(中央公論新社,2020年),『性格がいい人,悪い人の科学』(日本経済新聞出版社,2018年),『パーソナリティ・知能』(共著,新曜社,2021年),『レジリエンスの心理学』(共編,金子書房,2021年),『非認知能力―概念・測定と教育の可能性』(編著,北大路書房,2021年),『Progress & Application パーソナリティ心理学』(サイエンス社,2014年),『性格を科学する心理学のはなし―血液型性格判断に別れを告げよう』(新曜社,2011年),『はじめて学ぶパーソナリティ心理学―個性をめぐる冒険』(ミネルヴァ書房,2010年),『大学生ミライの因果関係の探究』(ストーリーでわかる心理統計,ちとせプレス,2016年),『大学生ミライの統計的日常―確率・条件・仮説って?』(ストーリーでわかる心理統計1,東京図書,2013年)など。

「2022年 『大学生ミライの信頼性と妥当性の探究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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