論壇日記 2011.4-2013.3

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著者 : 小熊英二
  • 新曜社 (2015年10月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788514423

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論壇日記 2011.4-2013.3の感想・レビュー・書評

  • 吉本隆明は『反核異論』で、日本の反核、反原発の論調の有り様を、科学を否定し禁欲を説く倫理主義として批判した。
    p16

    伊東光晴は『経済学から見た原子力発電』で原発のコストが高く、経済的に引き合わないと述べった。
    初期投資が高すぎて国策による補助なしでは成り立たないことと、事故が起きた時の補償額が巨大すぎるから。
    p27
    ジャック・アタリの論考。
    フランスは核兵器所有国家であり、国家独立のためには核兵器とエネルギー自給が必要で、経済的コスト論など無視できる、というもの。
    p31
    坂本龍一『日本人と原発』
    坂本は原発事故後に、丸山真男の「無責任の体系」論を再読し、胸に突き刺さったという。
    自己責任で主張する個人が確立された西洋と、戦後に民主主義を与えられ近代的な「個」が確立されていない日本という構図。
    坂本が参加した全共闘運動の中では丸山は近代主義者として非難されたことを考えると、坂本は一種の転向をしたのだ。
    p64
    斎藤環の「社会的うつ病とは何か」
    渋谷陽一のインタヴュー。新型うつの考察。

    孫崎享『国家主権を投げ捨てる安倍政権』
    安倍が訪米した際に、アーミテージ、ナイ、グリーンら、ジャパンハンドラーズに感謝を述べるところから始まる。
    孫崎はこれを「とても一国の首脳による演説の主要ゲストのレベルではない」と評する。
    共和党系のジャパンハンドラーズに近いヘリテージ財団は安倍政権に防衛支出増大、集団的自衛権解釈の改変、普天間代替基地建設推進、韓日軍事協力推進、修正主義的歴史認識の抑制などを促す。
    アメリカ政界では、日本派と中国派は対抗関係にある。
    p255

    クリスチャン・ボードロ
    ロジェ・エスタブレ
    『豊かさの中の自殺』藤原書店
    デュルケーム『自殺論』では
    19世紀末、急激な近代化に伴い自殺率が急上昇する。
    都市は農村より
    商工業者は農民より
    独身者は既婚者より
    プロテスタントはカトリックより
    自殺率が高い。

    しかしボードロらによれば、デュルケームの見解は20世紀の実情には部分的にしか当てはまらない、という。

    貧困が自殺の原因とはいえない。
    一人あたりのGDPが低い途上国では自殺率が低い。
    しかしロシアや旧社会主義国では一人あたりのGDPが低いのに自殺率が高い。
    高等教育を受け、合理的選択能力や人生設計能力など講義の文化資本に恵まれた層は、自殺率は低い。
    先進国の知的職業は自殺率が最も低く、多少所得があっても低学歴層は自殺率が高い。
    p301-303

    下北沢の再開発問題についてp305

    香港滞在最終日に香港における村上春樹の需要を研究してる香港人研究者と話す。
    香港の春樹読者は20~40代。比較的裕福。リベラルだが、政治運動や労働運動には関係しない。
    こうした受容のあり方は、東アジア各地やフランスと同じ。
    村上春樹の受容は、三島由紀夫などと違って、日本的なオリエンタリズムとはほぼ関係がない。
    アメリカでいうヤッピー的な生活が無国籍風に脱色されているので、アメリカ文化に抵抗を感じるフランスや東アジアでも受け入れやすい。
    「周辺でこそ普遍的なものが生まれる」というのは文化史ではよくある現象。
    p322

    アベノミクス論考のために本を読む
    岩田規久男
    野口悠紀雄
    浜田宏一
    p333
    あれ、この3冊は、オレも読んだぞ。同じだ。

  • 小熊氏の作品はいつも私をわくわくさせてくれます。数年前の社会の動向を振り返ることができました。今に至っても様々な問題は解決していません。原発事故、震災復興、米軍基地問題、領土問題、歴史認識、改憲問題など、日本の将来に暗い影が忍び寄ってきそうです。問題解決を政治家に丸投げするのではなく、私たち国民のひとりひとりが考えて行動しなければならないと、改めて気づかされました。

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