ストア・コンパリゾン: 店舗見学のコツ (チェーンストアの実務原則・シリーズ)
- 実務教育出版 (1996年2月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
- / ISBN・EAN: 9784788905153
感想・レビュー・書評
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ストア・コンパリゾンとは、他社の店舗を見学にいくことを指します。
本書は、効果的な他社店舗の見学とその内容についての分析・評価のための書です。
冒頭にサム・ウォルトンの「私が他社の経営者にもまさっていたのは、頭の良さや決断力や統率力などではない。それは毎日他社の店をだれよりも多く視察し続けていたことである」
が紹介されています。流通業界のベストプラクティスが、ストア・コンパリゾンであると理解しました。
気になった点は以下です。
・ストア・コンパリゾンは、見に行くこと自体ではなく、観察結果を以下に分析し判断にまでまとめあげたで、成否が左右されるのである。
・ストア・コンパリゾンは、計画の立て方が決め手である。
・準備すべき資料は、第一にわが社の現状、とくに弱点や欠陥に関するものだ。第二は、それを克服するのにモデルとすべき企業と店舗とについての材料である。第三に実際の調査にあたって使うべき道具である。
・他者の見学を有効に実行するためには、まずわが社の実態を知ることである。
・問題意識すなわち課題が先にあって、そのあとでストア・コンパリゾンの対象物件を決めるのである
・ストア・コンパリゾンでは、店舗のみではなく、まわりの状況、駐車場、建物全体などを含めてみること。そうすれば、売場の商品が浮きあがってみえるから。
・入口で入店客をみることも有意義だ
・優れた店でなければわざわざ見学する意味はない
・経験によって確立した最良の方法を「経験法則」という。他人が費用と時間と頭脳とを費やして得た法則を、そうした努力なしで利用できるのは、後発者の特権でもある
・現場で、写真をメモがわりにするのはおすすめできない。なぜなら、細かいポイントがわからなくなるから。
・観察力というものは、もって生まれた能力ではない。科学的な知識に基づいて物を見ることを学び、それに慣れることで養われるものだ。
・客を観察する際に念頭に置いておかなければならないことがある。それは、「客は店で売っていない商品を買うことができない」ということだ。客はそれを店で売っていないために、代用品をやむをえず使っている例は実に多い。それを「真空マーケット」という。
・中年男女のカジュアル・ウェアは日本で売っていない。まったくの真空マーケットといえる。
・ウオッチングの際はなるべくメモを詳細にとる癖をつけること。できないのであれば、その直後に忘れないうちに、書き残しておくこと。
・見学中は、基本的に一人の客としてふるまうこと。見学者など店にとっては迷惑なだけである。一番重要なことは、買い物をすることである。
目次は以下の通りです。
シリーズ刊行のねらい
本書のまえがき 渥美俊一
本書のまえがき 桜井多恵子
Ⅰ ストア・コンパリゾンの基本原則
1 ストア・コンパリゾンの意味
2 経営戦略としてのストア・コンパリゾン
3 ストア・コンパリゾンの準備
4 参加者と当日の行動
5 ストア・コンパリゾンのテーマ
Ⅱ ストア・コンパリゾンの手法
1 対象の選定
2 ウオッチングの手法
3 ウォッチングの実際
4 海外視察
Ⅲ ストア・コンパリゾンの実際
1 フォーマット
2 立地
3 ショッピングセンター
4 外郭施設
5 店舗建設
6 商品施策
7 商品見本とグラフつくり
8 レイアウト
9 プレゼンテーション
10 作業
用語解説
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市場調査の方法論。
中堅社員向けに書かれている。
何に気をつけて市場を見ればよいのか、
経営に役立つ本