- Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
- / ISBN・EAN: 9784788906334
作品紹介・あらすじ
チェーンストアは今、何をめざすのか!人々の日常生活を、本当の豊かさへと転換させる新しい産業づくりの方法を明示。渥美俊一の代表作。
感想・レビュー・書評
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本書は、欧米に比べて立ち遅れている日本の商業というビジネス活動を、チェーンストア経営システムを抜本的に改善することによって、日本に流通革命を起こそうという問題提起である。
それこそは、この日本で現在もっともやりがいのある仕事といい、読者にこの新しく生きがいとやりがいとを実現させる場を明示する契機となる、が結論です。
チェーンストアとは、①一定の法則で店舗や商品が用意され運用されていること、②普通のお店やさらにその集団でもとうていやれそうにない異質なすごいことをやってのける経営形態であること
欧米では、標準化された店舗が200店以上あることがチェーンストアのイメージで、ものすごい効果が発揮されるのは、500店舗を超えてからになる。
<渥美氏のいう店舗の規模と課題>
~5,7店舗 江戸時代の商家での限界、家訓に残る
~10店舗 事実を数字でつかみにくくなる
~30店舗 現場からの報告の内容が信用できなくなる
50~100店舗 理論をまなんだからといって直ちに管理できるわけではない、綿密で周到なシステム設計が長期にわたって必要となる
~200店舗 企業文化の水準が急上昇するか、転落するか。働く人々の感じ方、考え方、日常の行動形式に変化が現れる
<チェーンストアとは>
①レギュラー・チェーン 本部と直営店に分かれていて一つの会社である
②ボランタリー・チェーン 一つの本部と多数の加盟店とで構成されていた経済事業体をいう。それぞれは独立した法人格を有している。
③フランチャイズ・チェーン 本部と、加盟店とが特別の契約を結ぶことで運用されている形式
④ラック・ジョバー 総合店の一部の売り場に直営店同様出店しているが、店名もださず、店員も派遣しない。商品構成、陳列方法、補充方法、売価に決定をもっている。
⑤コンセッショナリー ラック・ジョバーと同様に売場出店するが、店員を派遣する
・規模によって、ナショナルチェーン、リージョナルチェーン、ローカルチェーンという。各店舗が対象とする領域を、ドミナント・エリアという
自動車のナショナル・チェーン化
部品の規格化と、段取りの標準化で、作業の正確さと迅速さによって従来の三分の一という低価格化を実現、
科学的管理法から、生産工学、IEへと技術理論体系が開発され、あらゆる生産面で実行されるようになった
<日本の現状>
2007円時点でビックストア900社の小売業売上占有率は64%に達していて、商業の寡占化がすすみ、欧米並みになってきている。
アメリカのマーケティングは、ウォンツだけでなく、ニーズまでもを問題とするが、日本は、いまだ、ウォンツのみである
日本には、くらしを一つづつ確実に良くしていくという視点がなかった。それは作る立場から、売り込む、売りつける、ムリして売るというまちがった努力が優先されてきたから
結局は、商業とは、仕掛けで無理して売る、べき運命のものと間違って規定することになる
それに対して、作る 立場からの発想によるストーリーを 使う 立場の発想に切り替えるべき
日本に、なぜ、問屋、卸がおおいのか、それは生産者が見込生産で物をつくっているから、これからは、実需を理解しているチェーンストアからの受注でつくる、受注生産にしなければならない
<流通革命とは>
日本の、1960年代からの”流通革命”とは、百貨店中心の勢力から、スーパーがとってかわったものに過ぎない。真の流通革命とは、作る立場・売る立場から、使う立場・買う立場への転換した商品供給体制に変えることである
流通革命の条件とは、 ①ビッグストアづくりで、資産と人材を準備、②標準化された店舗の多店化、③同志企業が数百社に増える
流通革命には、マス・マーチャンダイジング・システム作りが必要、極言すれば、200店舗を超えた、まったく別の領域での価値創造を伴う、新しいマネジメントを行うこと
加えて、経営の科学化(エンジニアリング)、標準化を進めて、修正し続けることとなる。
目次は、以下です。
第Ⅰ編 文明史におけるチェーンストア
1 用語の意味
2 チェーンストア産業づくりの歴史
3 商業の復権
第Ⅱ編 チェーンストア経営がめざすもの
1 チェーンストア経営の本質
2 間違いやすい考え方
第Ⅲ編 チェーンストア産業への道
1 まず、ビッグストア
2 チェーンストアへの出発
資料編 チェーンストアの基礎資料
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2022年12月6日読了。日本のチェーンストアの黎明期を啓蒙・牽引したことを自負する著者によるチェーンストア経営の日本における現状などの分析。本書後半に進むにつれて著者の強烈な自負・主張が濃厚に漂いだし圧倒される。チェーンストアを語感などから「不自由な、束縛された経営」とする捉え方は誤りで、その目指すものは「消費者により人間らしい生活を開放する、ロマンあふれる経営」である、という考え方は面白い。確かに欧米に比べて日本社会は「日常に消費を取り入れて適切に楽しむ」文化は遅れているとは思うが、「欧米のようにならねばならぬ」ものでもないと思うが…。フードマイレージに対する著者の反論の歯切れが悪いのが印象的。チェーンストア経営は日本社会を変えることができるのだろうか。
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何故チェーンストアーが必要なのか、アメリカを例にとって解説されている。本を読んで日本の中では、悪いイメージがあると気付かされた。
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まず印象に残ったのは、「システムづくりとは、ひとりでにそうなってしまう仕組みを発明すること」だという記述です。
個々人の気合い・力量等により質が左右される仕組みはダメよと言われた気がします。
また、「標準化は、規格化と修正化が並行して繰り返される過程」という定義も新たに学びました。
現時点の最良をマニュアルにまとめ、教育・実行をしつつ(規格化)、並行して事例を発見し定期的に改善し続ける(修正化)こと。
マニュアルをつくり、その通りにやるだけでなく、常に改善が必要だということですね。
そして、事例(ベストな作業方法)を発見したら、道具・動作・手順の3つに分解しマニュアル化(規格化)すること。
どのような業務でも、分解する視点を身につけると、どこに手を打てばいいのか見えてくるんだろうなと改めて感じました。 -
チェーンストアの目指すべき方向と課題が書かれた本。
僕自身もチェーンストアという言葉の解釈を間違っていた。また、ここで書かれている観察•分析•判断の手法はどのビジネスでも使えることだと感じた。
小売業界に関係している人はもちろん、小売を相手に商売している人も見ていて損はない。 -
一般受けはしないけど、勉強になる一冊。
個性のあるお店、個性のあるサービス!という風に人は起業する時に考えガチだけど、スケール感には欠けるし、自己満にはいいけど、社会を変えるインパクトはない。
社会を変えようとするならば、規模が必須になる。その上でマニュアル化はマストになり、チェーンストアの理論は非常に実践的であると言える。
最近シキガクを習っていて、企業が大きく羽ばたけるかどうか?は、『組織論とビジネスモデル』だと本気で思っている。
このチェーンストア理論は、組織論の事を書いてある本であり、とても勉強になる。
社会を変えたい!と思っている起業家には、是非とも読んでほしい一冊である。 -
ペガサスセミナー、ご飯美味しいけど、トイレが不自由
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GUEST 015/ニトリホールディングス 社長・似鳥昭雄:スミスの本棚:ワールドビジネスサテライト:テレビ東京 http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/blog/smith/2010/09/post115099.html
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ニトリ
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内容としてのネガティブ要素として。
・若干いまどきで欧米崇拝的なにおいがする。
・手前味噌的な内容が感じられる。
ポジティブ要素として。
・何事にも、ロマン・ビジョンからであること
・日本の流通業・商業ってそういえば何かしょぼいなあ(一番あうことばのような感じ)と思う
それから、あまりにも教科書的な印刷になっていて、文中によく別表やグラフや図が多用されているのですがその表がどこに載っているのかが分かりにくくて、ページを何回もめくってよまなければならないところが非常に分かりにくいです。。。。。