店舗レイアウト (チェーンストアの実務原則・シリーズ)

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  • 実務教育出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788906396

感想・レビュー・書評

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  • 本書、ショップの売場や、ショッピングセンターの配置などを解説したもので、なるほど感がありました。また、300頁弱であるが、内容が濃く、通読に時間がかかりました。

    気になる点は、以下です。

    ・レイアウトそのものについての技術理論体系は、それぞれの産業グループごとに20世紀の初めからすでに確立されていた。にもかかわらず、日本ではレイアウト理論は全く説明されていなかった。ために、日本の店舗や、SCは、効率を無視した設計レベルになっている。
    ・本書の内容は、アメリカで1950年より50年間も検討されてきた経験則に基づいているもので、IE手法で科学的に検証されて、大手ビッグストアで実験がすみ、標準化されつつある体系である。と説明されています。

    ・せっかく入店した客だから、その一定の在店時間内にできるかぎり売り場内をたくさん歩いてもらう工夫が的確な効果を上げることができる。
    ・ひと言でいえば、全通路を通りやすくすることだ。
    ・共通歩道の原則 ①幅が広いこと、②見通しがいいこと、③核店舗と主通路とスムースにつながっていること、
    ・分類の原則:売場単位を決める条件は ①買う立場から見て便利、②使う立場から見て便利、③だれにでもわかる表現、④美しいプレゼン
    ・お客の信頼性:ロイヤルティを高めるためには、①扱い商品部門や頻出、同時に使うものとして数が増える。ただし、売価の種類数や、品目数、色・スタイル数は減少させなければなrない。②低価格帯の低い方向で品揃えを移していく努力がいる。
    ・ワンウェイ・コントロールとは、店側で計画したとおりに、客を売場内誘導するための経験法則の総称である。
    ・入口と出口の原則:①入口と出口は区別して各1か所を想定する、②入口と出口とはともに店の入口側だけで、壁沿いの両端であること、③入口と出口は、同一直線状になければならない
    ・通路の原則:①幅が広いこと(客がカートやバッグをもったまますれ違えること)、②通路が直線であること、③平坦であること(段差などがないこと)、④曲がり角を少なくすること、⑤通路をより長くとること、⑥売場の平均照度より通路上のほうがやや明るいこと、⑦障害物をなくすこと

    ・主通路:客の80%以上が必ず通る売場内通路のこと、通路上に、島陳列を設けることはできれば避けること、主通路に島通路を設けることは原則としてやめること
    ・主力商品売場と補助商品売場
       主力商品売場:わざわざ店へ買い物に来てもらうための動機、強力な売場群
       補助商品売場:客にとってついで買いの売場群
    ・磁石売場(客を引き付けるという意味で磁石)
       第1磁石:主通路の両側 大衆品、実用品
       第2磁石:通路の突き当り 先端商品(ホット、トレンド)、シーゾナブル・アイテム(季節品)
       第3磁石:陳列線のエンド 特価品、必需品、季節品、マス化特売(SB,PB)
       第4磁石:陳列台に分散 PB、新製品など
       常設シーゾナブル:コレクション特売、季節商品
    ・同一フロアの原理:同一商圏、同一来店頻度、同一購買頻度で統一する、同一客層 例)総合食品と、家電を一緒にしない。
    ・昇降設備の原理(エスカレータ、階段、エレベータ):建物に入ってきてそのまま最上階へ簡単に行けること、上へのぼった場合は、フロアの売場の入口に直結し、下のフロアに降りた場合も同様そのフロアの売場の入口に直結していること
    ・階段のありかた:①階段の一段ごとに高さは、奥行きの二分の一弱、15cmを超えないこと、②一段の奥行は、30cm以下、③階段の段数は、連続しては9段までは楽、11段がかつての標準、15段以上はきついので、途中踊り場を設ける

    ・連続感:お買い物には、生活習慣としてのルールがある
       食品の場合 生鮮食品⇒半生鮮⇒副食用グローサリー⇒調理用グローサリ⇒間食⇒非食品
       よそいき衣服:ドレス・スーツ⇒ふだん着⇒靴下⇒用品雑貨⇒下着
       ふだん着:ふだん着⇒靴下⇒下着⇒用品雑貨⇒ドレス・スーツ
    ・プレゼンテーション:商品の値打ちを効果的に客に訴求すること
    ・主役はあくまでも商品 主張すること ①品揃え、②品目ごとのお値打ちの主張、③組み合わせの良さの主張、④継続来店の主張(品揃えの継・続、ゴールの明示)
    ・店内で探しにくいもの、①サービスカウンター、②店長デスク、③柱まわり、④マネキン、⑤トイレ、⑥二段式レジ配列

    ・建物設備設計の原則 デザインにこらない、あくまでの商業行為、営業のための設備であること
    ・設備設計の条件:①フロア数は、1層、やむを得ない場合は、2層、②柱の本数は少ない方がいいが、直径20cmより細くなるなら、本数は増えてよし、③将来の拡張方向にあるなら、壁は取り外せるようにする、④屋上駐車場は極力さける(費用がかかるから)、⑤天井は、少なくとも4m以上にすること、⑥陳列ケースの位置は移動可能とする。⑦照明は移動が簡単にできること
    ・電気配線 ①配電盤は、従業員用の出入口にあること、②電気容量に余裕を、③電話回線、コンピュータ配線、給排水施設はともに余裕をもって用意する
    ・バックヤードの設計 狭いほうがいいが、従業員に休むなといっているわけではない、共用に休憩所、更衣室をつくったらよい
    ・売場が正方形になるようにバックヤードをとる
    ・マテハン、納品にパレット単位、カゴ車単位で、そのまま店に納品できるようにすれば理想
    ・コンコース:店内であるが、売場の外側に通した直線型の幅広い客用通路のこと
     ①単純な形にする、②建物を貫きとおすこと、③階段とエスカレータの直前を直角に通す、④バックヤードとは別の方向にする、⑤主通路より幅を広くとる、⑥できればイベンドができるように
    ・モール:複数の店舗をつなぐ共同歩道のこと ①オープンエアー(建物の外側にあるもの)、②エンクローズド・モール(大きな建物のなかに収容)
    ・エンクローズド・モールは費用がかかる(空調、壁など)ので、オープンエアーを原則とすること

    ・コスト削減 
       財務指標 ①資本の収益性、②労働生産性がキー
       構造変更 低層にとどめる、屋上を利用しない、不可欠な設備のみを実装
       工事   資材と機器は、入手しうるかぎりサンプルを収集すること、既存店で、全サンプルを使用実験して決定する、全店で仕様の統一をする、加工度はできるだけ少なくする
       敷地利用 建物は敷地の奥に作る、中の売場はできるだけ正方形になるようにする、三角の敷地部分は、建物を長方形にするため、鋭角部分は相当手前から不使用とする
       駐車場  できるだけ単純に、みずからの車で敷地から10分以上回ってみる、地上の線引きをゆったりさせる、排水を考慮する、立体で3フロア以上にしない⇒不便な設備

    ・拡張性 それぞれの店の適正規模を確保する 核店舗の数を増やす、サブ・テナント面積の拡張、広場作り、大きくなったら、中にコンビニを入れる
    ・店内と同様に施設での客動線を調査して「便利な店」「繰り返し行きたい店」以外にも、客を誘導する


    目次は、次の通りです。

    シリーズ刊行のねらい
    本書の前書き

    1 レイアウトの出発点
      1 レイアウト技術の本質
      2 店舗レイアウトのねらいと分類

    2 売場レイアウトの原理(1) 物理的誘導条件づくり
      1 ワンウェイ・コントロール
      2 入口と出口の原則
      3 通路の原則
      4 主通路

    3 売場レイアウトの原理(2) 商品関連誘導条件づくり
      1 主商品売場と補助商品売場
      2 第一磁石と第二磁石
      3 第三磁石
      4 第四磁石と常設シーゾナル売場
      5 売場のつなぎ方
      6 商品大部門間の組み合わせ
      7 フロア構成

    4 売場レイアウトの原理(3) 心理的誘導条件づくり
      1 連続感
      2 プレゼンテーション(陳列)

    5 設計の基本
      1 建物・設備設計の原則
      2 後方(バックヤード)の設計
      3 コンコースとモール
      4 コストの削減
      5 土地利用計画と改造・拡張

    6 店内動線調査
      1 客動線調査の原則
      2 調査結果の検討

    付録 アメリカと日本のチェーンストア業界・レイアウト実例研究
    追記
    用語索引

  • 店内動線調査の方法を知りたく購入しました。
    ぶっつけ本番ではなく、事前準備や予備調査という段階を踏むことも大事だが、何を目的に調査するのかが最も重要だと改めて気付かされました。
    店内動線調査だけでなく各種調査に活かせそうです。

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