出会いの輝き

著者 :
  • 女子パウロ会
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784789605892

感想・レビュー・書評

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  • 本書「出会いの輝き」の著者である今道友信氏によると
    「そもそも“leader”に対応する日本語は存在しない」という。

    今道氏は世界的な哲学者である。
    「エコ・エティカ」というまったく新しい倫理学の概念を提唱し、
    その「新しさ」ゆえに当初は誰からもまったく相手にされず、
    それでも粘り強く、小規模ではあるけれど、
    世界中から若手精鋭の哲学者たちを集めた勉強会を主催した。
    自らはorganizer、instructor、moderatorといった役割に徹し、
    何よりも“creator of friendly atomosphere”となることで、
    着実に支持者を広げ、いつの間にか「leader」と
    呼ばれるようになった。

    リーダーとは、人がつける呼び名に過ぎない。
    リーダーとは自らが名乗るものではなく、
    周りがそう認める者を指す。

    本書は、今道氏の人格形成において
    重要な意味をもたらした「人」と「本」との出会いが、
    瑞々しい言葉の数々をもって語られる感動作である。
    特に「人との出会い」の項では、
    油断して電車の中で読んでいて泣きそうになり、
    思わず本を閉じてしまった。

    後半の「本との出会い」では、
    哲学書から大衆文学まで、多くの古典を中心とした書籍が、
    独自の解釈によって紹介されるが、
    著者はあくまでそれを「自分の解釈」であって、
    読み手に押しつけるものではない」という。

    しかしそこには、直接・間接的に関わらず、
    経営に携わる者すべてが認識すべき「倫理観」の示唆が
    ちりばめられており、著者のバランス感覚ゆえに説得力が高い。

    また、本書には所々に、
    今日では公に使ってはいけないとされる
    差別用語が使われる。著者は「確信犯」であって、
    なぜその言葉を自分が使うのかを明示している。
    決して差別的な意識をもっているわけではない。
    それどころか、その対象に対して尊敬の念を隠さない。

    思えば我々は、「差別用語」というレッテルを貼った箱に
    多くの言葉を詰め込み、それが臭いものであるかのように
    フタをし、「タブー」という棚に入れて鍵をかけている。

    そのために、言葉のもつ本来的な意味合いに
    思いを馳せたり、豊かな感情表現のために
    能動的に言葉を活用しようという思考が不足する。
    本書はそんな息苦しさにも、気づかせてくれる。

    本書を通じて、
    今道氏の哲学や宗教、言葉の一つ一つに対する
    「一期一会」ともいえる思いの強さが、
    ビジネスの世界に生きる人々にも、
    多くの気づきを与えてくれることは間違いない。

  • 面白いんだけど、クリスチャンな本なんですよ、、、
    興味ある人にはいいかもね。

  • 国際的な哲学者と言われている今道氏の若き日の人との出会いと思い出がまず始めに書かれています。そこに書かれている風景を自然と想像し、どこかあたたかい気持ちにさせてくれます。
    また、今道氏がお薦めの本の紹介もされています。古典が多いのですが、読んでみたくなりした。

    読み始めたら、止まらないというのか、止まらずに読み進めたい本でした。

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著者プロフィール

1922年東京に生まれる。東京大学文学部哲学科卒業。パリ大学、ヴュルツブルク大学講師を経て、東京大学名誉教授、聖トマス大学客員教授。哲学美学比較研究国際センター所長、国際形而上学会会長、国際美学会終身委員、エコエティカ国際学会会長。1996年より1999年まで哲学国際研究所(IIP、パリ)所長。著書『同一性の自己塑性』(東京大学出版会、1971)、『美の位相と芸術』(東京大学出版会、1971)、『東西の哲学』(TBSブリタニカ、1988)『エコエティカ』(講談社学術文庫、1990)、『知の光を求めて』(中央公論新社、2000)、『愛について』(中公文庫、2001)、『ダンテ『神曲』講義』(第25回マルコ・ポーロ賞受賞、みすず書房、2002、改訂普及版2004)。編著に『講座・美学』全5巻(東京大学出版会、1984-85)などがある。

「2017年 『ダンテ『神曲』講義 改訂普及版【新装版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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