生きながら火に焼かれて

  • ソニ-・ミュ-ジックソリュ-ションズ
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784789722612

感想・レビュー・書評

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  • 衝撃的な内容だった。
    読んでいて胸が苦しくなる。

    面白いというと不謹慎だが、ぐんぐん読んでしまった。

  • 現代も尚『名誉殺人』が行われているという事実は到底受け入れ難いものがある。この本を通じてその現実を知ることにより、生まれた国・村の風習によってこのような理不尽がまかり通ってしまう残酷さを嘆かずにはいられない。

  • 何が常識で何が当たり前か
    文化慣習以前に人としてどう生きるべきか
    一概に批判ではなく考えさせられることが多かった
    島国日本も気をつけないとね

  • シスヨルダンという地域の村で起こったノンフィクション自伝エッセイです。
    この村では男性が王で女性は奴隷…その中でも娘はひどい扱いを受けるそうです。
    この本を書いたスアド(仮名)は、結婚前に性交渉をもってしまったがために家族から火炙りにされ殺されかけるという体験をされています。
    この世界ではこういうことが少なからず、むしろ思っている以上にたくさんの場所で起こっているそうです。
    本の内容は、私は日本という国で何不自由なく家族に支えられながら暮らしてきたことに感謝せざるえないほどの過酷な状況でした。
    この本を読むと、私もなにかせねば!と思うのですが、そんな勇気は持てず今までと同じ生活をしていきます。
    でも自分養護であっても、やはりこういう状況を知らずに生きていくのと知って生きていくのとでは意識は違うと思うので知れてよかったと強く思いました。

  • 向かいに住む男性に恋をし妊娠した彼女は、家族の名誉を汚したとして身内に火あぶりにされた。彼女が住んでいた中東シスヨルダンの村では、それは特別なことではなかった。その村では、女には何の権利もなく、女の命は羊や牛よりも軽い。

    恐ろしいことに、この名誉殺人という悪しき風習は中東イスラム文化圏やインドで今も続いている。

  •  人は伝統や慣習、しきたりといったものを、よくも悪くも作り出してきた。
    祈りとかマナーとか生贄とか魔女とか。
     それは大多数の心の平穏のために行われたものであるはずだが、同時に大多数を害している。
     男も女もそうでないものも肯定してきたからこそ、今に残っているという事実が重い。

  • タイトルの通り、生きながらにして全身を焼かれた女性の物語。家畜同然に扱われていた少女時代から他国に移り住み家族をもうけるまでのスアド氏本人の苦難続きの人生を元にしたノンフィクション小説でもある。本書のキーワードである「名誉の殺人」は、家族の名誉を損なわないために不貞を働いた輩を殺害しても罪には問われないという近代国家に生きる私たちには理解に苦しむ概念である。しかし、「名誉の殺人」はイスラム諸国だけの問題ではなくイギリスやイタリア、そして日本でも現在行われているという。共同体の名誉を守るため1人の個人を社会に末梢するという行為は恐ろしいと直感的に感じる。しかし、思い直せば法治国家はこの機能を「個人」ではなく「国家」が「死刑判決」という形で肩代わりしているのだ。「名誉の殺人」はなにも遠い国の他人事ではない

  •  日本とは違う常識で生きてきた著者。その彼女が自らの視点で書いています(ゴーストライターを使っているようで文章は読みやすいです)。日本で生きていると非常識なこと、それをそこで生きてきたからこそ常識として書いてある。一人称で書かれているところによさを感じました。
     俺もきっとそこに生まれたら、そこに生きる人たちと同じ事をしたんだろうな、と思いました。この人たちと出来事は自分たちと分けて考えるのではなく、自分たちと何ら変わらないこととして、受け止めるてこそ読んだ意味が得られると感じました。

  • 婚前交渉ゆえに実の家族から火あぶりにされ、全身火傷を負いながらも奇跡的に生き延びた女性の自伝的物語。中東・イスラム文化圏に今も残る歪んだ家父長制と、女性を家畜以下に扱う因習を告発する書。

    似たような話はどこかで耳にした事はあっても、これだけはっきりと個人の物語として証言されていると重みが違う。恐ろしい。岩井克人の本の「前近代と現代の違いは、モノとヒトの区別がはっきりしたこと、つまりヒトはモノを所有できるが、ヒトはヒトを所有できないということが明確であること」という言葉を思いだした。

    ヒトはヒトを模倣することでコミュニケーション方法や倫理観を身につけるからこそ、因習は世代を超えて抜きがたく「普通の」人々を拘束するのだろう。それにしても、このような因習、そもそもどうやって形作られるのか…。何らかの歴史の必然性(正当性ではない)があったのか、気になるところではある。

  • こういう悲惨な事が世界ではまだあることは知っていたけれど、初めて当事者の独白本を見て衝撃を受けた。これまで、対岸の火事、辺境の地の他人事だったことが本人の目と語りを通して痛々しく伝わってきた。私たちの生活からは想像もできない風習は、なんだか物語を読んでいる気にさえなるほどだった。故郷を逃れてからの未だ悪しき風習の呪いから解放されないスアドの葛藤はリアル。しかも、名誉の殺人は昔のことでなく、現在進行形だ。自分にも何かできることは心から思う。ページ数こそ少ないけれど、かなり書き手のパワーを感じる重い本。

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