スター・ウォーズ セスタスの偽り〈上巻〉 (ソニー・マガジンズ文庫―Lucas books)

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制作 : Steven Barnes  富永 和子 
  • ソニーマガジンズ (2004年12月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784789724197

スター・ウォーズ セスタスの偽り〈上巻〉 (ソニー・マガジンズ文庫―Lucas books)の感想・レビュー・書評

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  • ストーリー :☆☆☆☆
    世界観   :☆☆☆☆
    ビジュアル :☆☆
    キャラクター:☆☆☆☆☆
    読みやすさ :☆☆☆
    オススメ度 :機会があればぜひ読んでみるべし!




    スターウォーズの小説は全てスピンオフなので、ジョージ・ルーカスが考えた話ではありません。
    キット・フィストーさんの話がもっと見たい一心で購入した「セスタスの偽り」、
    主人公はキットさんでもオビワンでもなく、
    ARCトルーパーのクローン兵「ネイト」でした。

    ざっとストーリーを紹介すると、
    ある日、オビワンとキットさんはパルパティーンに呼び出され、ガラの悪い闘技場に行きます。
    そこで、新しいドロイドの実演が行われていたのですが、
    なんとそのドロイド、フォースを使い、敵の動きを予知して防御、攻撃ができるドロイドだったのです。

    ジェダイの力の源、フォースは万物に宿っていますが、
    その力を感知したり、使えたりする種族は銀河でも一握り。
    そのドロイドは「バイオドロイド」という代物で、機械の中にフォースを感知できるクリーチャーを取り込んでいるとのこと。
    その力は圧倒的で、ついたあだ名が「JK(ジェダイ・キラー)」という始末。
    しかも、ある筋の情報からドゥークー伯爵がこのバイオドロイドを大量発注していることが発覚。
    こんなものを銀河にバラまかれたら大変だということで、オビワンとキットさんは製造元のセスタスという惑星に向かいます。

    セスタスは貧しく情勢も不安定な星で、移民族の5つの豪族と先住民族の女王が支配。
    酷い環境で働かされている先住民族たちと、裕福な支配者との関係は一触即発…な感じです。
    オビワンは「大使」として、バイオドロイドを分離主義者に売らないよう政府に説得に行き、
    キットさんは労働者たちを集めて反乱を起こし、政府が共和国に助けを求めるように仕向ける役割を担うことになりました。

    キットさんの仕事を助けるために5人のクローン兵がつけられ、そのリーダーがネイトと呼ばれている個体だったのです。



    ネイトの最初のシーンは、秒単位で気持ちをコントロールしながら困難な訓練を受ける場面。
    クローンたちはこういう思考なのかということがよくわかります。
    オビワンの、クローンに対する複雑な心境が描かれているのもいいですね。
    自分は、なぜ彼らに少量だが慢性的な不安感、不信感、嫌悪感を抱くのだろう?
    父も母もおらず、戦うためだけの存在だからだろうか。
    それとも、腕はあるが凶悪な犯罪者の遺伝子を持つからだろうか…

    セスタスのゲリラと親交があり、
    彼らとキットさん+ネイト+4人のトルーパーとの間を取り持つことになった人間の女性、シーカは、クローン兵のオリジナル、ジャンゴ・フェットの昔の恋人でした。
    シーカはネイトとたくさん話します。ARCトルーパーであるネイトはジャンゴフェットから直接指導を受けているためか、「一番彼に似ている」と感じたからです。
    このへんも複雑ですね。ラストのメッセージで、ネイトがシーカに「自分が君の大切な人でなくてすまない」と謝っていたり、
    シーカはシーカで「自分は彼にすごく申し訳ないことをしているのでは」と思っていたりします。

    そんななか、まぁいろいろ(オビワンがオシャレして社交ダンスしたり、キットさんがキャンプしてる洞窟で陽気に楽器弾いたり、裏工作してるのが全部バレて大ピンチになったり)あって、

    ・みんな散り散りなる

    ・重傷を負ったネイトをシーカが連れて隠れ家へ

    ・シーカの娘や息子とおだやかに過ごす
    ・バイオドロイドの中にいるクリーチャーが、実は平和的な知的種族だったことがわかる
    ・そのクリーチャーの導きで、ネイトは世界と自分の魂が共鳴するのを感じ、
     自分は「おれたち」ではなく「おれ」なんだと思う

    ・みんなと合流。
    ・状況を打開すべく、オビワンとキットさんはヴェントレスと戦いに行く
    ・ネイトと4人のトルーパーは、共和国の戦艦が来るまで待機
    ・ネイトは、5つの豪族たちが隠れているシェルターの場所に気づき、そこへ行こうとするが、
    「それは直接の命令じゃない」と残り4人は大反対。でも、仲間と遺伝子に刻まれた「命令」を振り切って1人でそこへ向かう。

    例のバイオドロイドと対決後、共和国の軍艦に「自分を標的にして撃て」と連絡し、シーカの子どもたちと一緒歌った歌を口ずさみながら、ネイトは目を閉じるのだった…






    面白いポイントはいくつかありますが、
    特に面白かった点は2つです。

    1つは、ネイトを含めた4人のトルーパーが、
    キットさんにフォースの「流れ」について学ぶ場面。
    闘技場に呼び出されたキットさんは、他の戦闘ドロイドやクローン兵では全く歯が立たなかった
    例のバイオドロイドに、苦戦しつつも鮮やかな勝利を納め、
    クローン兵たちから尊敬されていました。

    命の流れ、気持ちの流れは呼吸につながり、筋肉の動きにつながる。
    フォースの基本は、つながり、流れることを意識することだとキットさんは語ります。
    自然の理からかけ離れた命であるクローン兵が、
    広い意味での「世界の流れ」の話に真剣に耳を傾ける…
    それが、戦闘能力の向上が目的であっても、
    「世界がある」ことを知ることは、すなわち「自分が在る」ことを知ること。
    そんな当たり前のことでさえ…いや、当たり前のことだからこそ、
    普段は見えない命の流れを、「クローン」たちはありありと読者に感じさせてくれます。
    それでいて、まるで小さな孫がお爺ちゃんの話に目を輝かせているような…
    とても穏やかで暖かみを感じるシーンでした。


    2つ目は、シーカに案内されたネイトが、秘密の洞窟で
    例のクリーチャー「ダシュタ・イール」と遭遇する場面。
    ここはまるまる本文を紹介したいくらいです。
    洞窟は、意識と無意識、心と体、見えるものと見えないもの、光と影、赤ん坊と老人…
    ありとあらゆる「境目」に一番近い場所。
    ネイトは、シーカとダシュタ・イール、そして自分の内なる声に
    「あなたはあなたであり、あなたは1人しかいない。
     けれど同時に世界の全てとつながっている」と言われ、それを耳で、心で、魂で感じます。
    それは固い「封印」を解き放ち、身体は涙を、心はこみ上げる激しい感情を思い出すのでした。

    (おれのことを忘れないと言ってくれ。おれの夢を見る、と。
    おれの笑顔を思いだす、勇気に感心する。名誉に……。
    頼む。なんでもいい、何かを覚えている、と)

    彼はそれを口にしませんでしたが、シーカはシンプルに伝えます。
    「あなたを愛してる」…。


    いろいろな物語で、普通の産まれ方をしていなかったり、そもそも生き物じゃなかったり…
    「心のどこか」が失われているキャラクターたちに出会いますが、
    彼らへの処方箋の絶対条件がハッキリ見えた気がします。
    1つは個人的な「愛」や「想い」、
    もう1つは「世界(生命の宇宙/あっちとこっちの境界線など)との接触・対話」…。

    いやぁ、これは素晴らしい。大収穫です。


    ただし一点だけ、どうしても気に入らない部分があります。
    私が編集者だったら、これは考え直してほしいと強く言いたい。
    それはなにかというと、ラストで判明した部分…シーカのお腹に彼の子どもが宿ったことです。

    これは、どうも頂けない…。




    これは全く個人的な考えなんですけど、戦争の道具として作られたクローンには、
    生殖能力はない設定のほうがいいと思うんです。
    もちろん、生物学的にはそうじゃないです。
    羊のドリーからも子ども産まれてます。
    ドリーがメスだったかオスだったか覚えてないですけど。

    ああ、ちなみにスターウォーズの設定としてはどうなのかというと、「不明」です。設定されてないと思います。
    ここまでクローン兵がクローズアップされた作品は
    他にないみたいですし…
    「スターウォーズのクローン兵って生殖能力あるの?」
    「さぁ、「セスタスの偽り」だと子どもできてたけど」
    みたいな感じになると思われます。たぶん。
    私、小説これしか読んでないからわかんないけど…


    これがもし、ネイトが普通の人間だったらアリです。よくあるオチですね。
    しかし、ネイトは普通の人間じゃありません。クローンです。
    戦場で上の命令に従うのが彼らの存在理由です。
    人の形をしていますが、人間ではありません。
    道具ではないかもしれないですが、それでも「人間」ではないのです。
    「それ」が子どもを作ってはいけない!(ダン!)

    なぜか。

    そもそも、彼らに子ども(未来=継続的に生きること)は全く必要ないでしょう。
    そして、彼らの居場所は戦場です。
    自分ではない誰かに代わって、命を奪い、また奪われるのが仕事です。
    この作品に限らず、そういう彼らに「産む」ことが許されるはずがない、
    というのが私の考えです。
    人を殺したキャラクターは、「基本的には」その物語の中で死ぬか、
    それ以上の苦しみを味わうか、一生かけて償うか・・・というのが筋が通っていると感じます。
    それと似た感覚だとおもいます。


    ネイトのオチに限って言えば、それでは「ただの人間」と同じだと、私は思うのです。
    ネイトは、身体は自然な産まれ方をしておらず、心も「プログラム」されて育ってきました。
    身体も心も量産品だった彼は、シーカとダシュタ・イールの導きで、「心」は自分だけものを手に入れたのです。

    「身体」は量産品、「心」はオリジナル。
    ある意味、人間でもクローンでもない特別な存在となったわけです。

    それが「ただの人間」と同じオチになるというのがどうにも頂けない…
    もっと他にやり方があったんじゃないか…
    むしろ、自分を標的にした攻撃が始まる前に残した「ラストメッセージ」だけで十分なのでは…


    まぁ、ネイトは洞窟で
    母親のお腹の中にいる自分、家族に囲まれている自分、幸せに老いていく自分…
    つまり、けして有り得ない「普通の人間」としての自分の姿を見ています。
    そういう描写があることを踏まえて、彼が切望した「自然の命」を
    彼の子ども(=もうひとりの彼)は手に入れた、と。
    そういうことにしたかったのではと思いますけど。
    でもそれは、あまりに「幸せ過ぎる」んじゃないかなぁ。

    物質的な話をすると、クローン兵は遺伝子操作で通常の2倍のスピードで成長します。
    「手を加えられた」生物からの遺伝子が、はたして健康な子どもを作れるのか、
    甚だ疑問なところです。


    みなさま、かつてない長文にお付き合い頂き本当にありがとうございます!(汗)
    自分で自分のヒートアップ具合にびっくりだぜ…
    っていうかキットさんが目当てだったんだけど…キットさんが…キット…さん…(だんだん小声)

  • お馴染みオビ=ワン・ケノービと笑顔の素敵なジェダイ・マスター、キット・フィストーが活躍する物語。ジェダイ・キラーのドロイドがNJOのヴォクシンを彷彿とさせます。

    表紙のオビ=ワンのカッコ良さに痺れる!

  • トルーパーに号泣させられるとは思わなかった。ジェダイとトルーパーの仲の良さににこにこ。

  • エピソード2で逃げおおせたドゥークゥーがジェダイキラードロイドを大量に発注していた。それを止めさせるためにオビ=ワンとキットが派遣される。

  • パルパティーンの依頼で始まる、オビ=ワンとキットの任務。ジェダイにはダンスの授業があることがわかった衝撃の巻でもある(笑) トルーパー達の物語で始まり、オビ=ワンやキットが彼らを指揮しつつも、トルーパーの兵士としてのあり方などが描かれ、特に、ジャンゴフェットには涙がこぼれます。
    物語としてはフォースを関知する生物の使われた兵器をめぐり、惑星内部の争い、シス、そしてジェダイたちのアクションが満載です。オビ=ワンファンは必ず購入しなければならない、かな〜と。

  • スターウォーズ クローン大戦シリーズ第二弾。

  • SWスピンオオフ読んでみました。オビとキットのスピンオフと思いきや、トルーパーのスピンオフだったというダークホースすぎる内容。オビとキットみたいな真面目二人が組むと、話って割と盛り上がらないんだ…とかちょっと思いました。でもキット凄く好きになった。カッコイイ!05/07/中旬

  • 2005年 −読了

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