生きながら火に焼かれて (ヴィレッジブックス)

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著者 : スアド
制作 : Souad  松本 百合子 
  • ソニーマガジンズ (2006年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784789728751

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生きながら火に焼かれて (ヴィレッジブックス)の感想・レビュー・書評

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  • 舞台は1970年代後半、中東のシスヨルダンの小さな村。
    一家では父親が絶対的な権限を持ち、妻は息子を生むことを求められる。
    女性はひたすら働かされ、まともな服もなく靴を履くこともできず、自由は何もない。何かあるたびに父親から殴られ叩かれ、結婚すれば夫から同じことをされる。
    結婚前に男性と付き合うことは許されない。それがばれたら、家名に泥を塗り主人の名誉を傷つけたとされ、家族の中の男性がその女性を殺害する。それは「名誉の殺人」とされ、罪には問われない。あまりの残酷な内容に、途中で読むのをやめようかと思いました。でも、最後まで読み終えることができて良かった。
    スアドとスアドの子どもたちに、生きる強さをもらいました。
    男尊女卑という考えはこの世界のどこから生まれたんだろう。

  • この本の内容は名誉殺人から生き残った人間の話しだが、今、起きている時事の問題に置き換えてみると通じるものが多くとても貴重な本だと思う。

    《名誉の殺人》があることはぼんやりと知っていた。
    ただ、ある日突然、家族に殺される、その状況が理解できなかった。
    昨日まで家族として普通の会話をしていた人から殺されるのか?
    ナゼ早くに逃げないのか?等の疑問が出て来たので当事者からみた家族の雰囲気が知りたかった。
    実際は親、兄弟間でも、こちらが思う《普通の会話》は、ほとんど無い。
    未婚女性が一人で出歩くことは異常な事で、もし逃げ出しても不審に思われ捕まる。
    姉妹の間でも両親に告げ口しないか心配せねばならず、猜疑心のかたまりになる。いつ家族に殺されてもおかしくない、、、それがスアドの日常。
    文化は尊重しなければならないと思うし大切に受け継がれて欲しいとは思うが《人として扱わなくて良い》とする事で何かがまかり通る社会は残ってほしくない。

  • 衝撃を受けた作品だった。
    現在世界の中にまだこのような文化が残っていることが正直考えられない。
    文化や思想の恐ろしさを知った作品でもあった。

  • 皆さんは「名誉の殺人」という言葉を知っていますか?女性が婚前・婚外性交渉を行った場合、一族の名誉を汚したとみなされ、一家の手によって殺されてしまう慣習的な事例の事です。これはレイプ被害者も含まれます。つい最近も、パキスタンやインドで、まだ10代の少女が数人の男によって強姦された後、親戚の家で灯油をかぶって焼身自殺をしたという痛ましい事件がありました。
    この本の著者は名誉の殺人から、奇跡的に生き残った女性が書いています。彼女は恋に落ちたが為に、義理の兄によってガソリンをかけられ火やぶりされるという恐ろしい悪夢を生き延び、痛ましい火傷の痕とともに、今もご健在です。
    彼女は慈善団体の保護とサポートのおかげで、愛するパートナーとかわいい娘さん二人を授かって、幸せに暮らしているそうです。
    この本をできるだけ多くの人に読んでもらいたい。この21世紀で、いまだにこんな残酷な事が、世界のどこかで繰り広げられているのだという事実を知ってほしい。

  • 私はいつでも人に向かってほほえみかけ、どんなことにも「ありがとう」
    と言う習慣がついていたが、これには皆が驚いていた。ほほえむ、これはやさしくしてくれる人に対する私なりの返事であり、それから先も唯一のコミュニケーション手段となった。

    ありがとうという言葉は礼儀と敬意を示す素晴らしい言葉だ。誰かに言われれば嬉しく感じるように、私も誰かにありがとうと言うのが嬉しかった。





    フランス語はできる範囲で勉強した。短い文章や表現をオウムのように何度も繰り返し、すこしでも多くの言葉をアタマに叩きこもうと努力した。




    まずは新聞の星占いを読むことから始めた。誰かが、私は天秤座の生まれだと教えてくれたので、毎日、天秤座の欄で自分の運勢を読んでみることにした。私の理解できる程度では書いてあることを正確に読みとることはできなかったが、最初のうちは、短い簡潔な文章に触れる必要があったのだ。記事全体を読めるようになったのは、ずっとあとのことだ。




    しばらくすると、仕事に行く前にカフェでお茶を飲みながら新聞を読むのが習慣になったが、この時間が私は大好きだった。最良の勉強方法でもあった。




    たとえば、鏡のない世界で、きみの目はブルーだと人から言われたら、一生、自分の目はブルーだと信じるだろう。鏡というのは文化や教育、自己および他者の知識を映し出す。私は鏡を見るたび自分はなんて小柄なんだろうと思うが、鏡がなければ横に大きな人でもいないかぎり、小柄であることなど気づきもせずに歩くだろう。知らないというのは、本当に恐ろしいことだ。





    一年の授業で紹介されて、怖くてずっと読めなかったんだけど気になり続けていた本。ついに読んじゃった。
    訳がうまいのでさらさら読める。怖い。でも現実味がない。この感じ、なにかに似てるなと思ったんだけど、ダレン・シャンだ!あれも意外と現実なのかもなぁ…。
    昔読んだら、こんなの今はないだろー⊂( ^ω^)⊃ ってなってただろうけど、今はそうではない。ブルカとかいろいろやったしね。まだまだ知らないことだらけ。
    あたりまえはなにもあたりまえじゃない。
    文化ってなんだ。
    怖いし今すぐなんとかしなくてはならないことだし、でもなんとかなってないのもわかる。
    そういうのをぬきにして、スアドの変化も怖かった。
    ヨーロッパに来てから、どんどんわがままになっていってる。いいことなんだけど、我をもてた、自由をもてたってことなんだろうけど、これが西欧か…ってなんかそれはそれで怖くなった。
    ヨーロッパにきたはじめの頃は、とても素直で、そのまっすぐさが素敵だった。
    でも後半はとにかくどろどろで。

    しかしこんなに恋ができるってすごいね。人生で二度も恋に落ちてるんだよ。
    村では娯楽がまったくなかったから恋におちたのかもだけど、ヨーロッパでもだもんね。

    とにかく訳がうまい。

  • 読んだあとも他人事な気がしてしまうほどの、現実と考えるまで時間がかかる悲惨な常識の話。

  • 「名誉の殺人」を御存じですか?イスラム圏などで、女性が家族の恥、名誉を汚すと家族から殺される。 年頃の女性が1人で出歩いたり、親族以外の男性と話しをしたり、目を合わせるだけでも 売春婦と見られる、家に閉じ込められる。それはただの近所の人々の単なる陰口や勘ぐり、 うそでさえもその女性は売春婦といううわさが広がる。 婚前交渉なんてもってのほか。 自分の娘が、妹が、姪が、売春婦とは。。。婚前交渉とは。。。 そんな封鎖的な社会で「名誉の殺人」は行われる。 殺人と咎められることもない。それは昔からのしきたりだから。。。 場所は中東のシスヨルダン。著者スアドは結婚前に恋愛、そして性交渉を持ち、妊娠。 それが家族に知られて、義理の兄に焼かれる。その後、彼女は奇跡的に助かるが。。。

  • 読んでいる途中、何度も嫌悪感で気持ちが悪くなりました。村の因習で一番、心の残ったのは、村の男たちが自分の自尊心のために結婚前に自分が処女を奪った女性とは決して結婚しない習慣があると書いてあったことだ。自尊心ほど、やっかいな、難しいものはないと思った。
    トルコに住んで4年になりますが、本に出てくることで文化的に重なることが多くて、本と現実のこととを行ったり来たりする、今までにないくらい特別な読書経験となりました。この本の中はシスヨルダン。
    私がトルコでトルコ人から聞いたものとの共通点は、・・・・・簡単なことで言えば、ファトマという女性の名前。トルコ人にもよくあるものでした。もう少し具体的なことで言えば、結婚するとき処女であることが大事にされ、初夜の後、ベランダから血のついたシーツを皆に見せるという習慣。トルコでもあったと聞きました。トルコで、私は処女よとこちらが聞きもしないのに、自分から語りだすトルコの若い女の子が多く、重なるにつれ少しの違和感とともの心に残っていました。それから、今でも村では結婚して最初に夫が妻を殴り家の主人が自分であることを示すこと、村で、結婚前に性交渉を持った女性が村民の目前で殺される儀式があり警察が不干渉という現実があると、トルコ人の人から直接聞いて驚いた経験を思い出しました。しかも、そのことをトルコ人が皆知っているということも。もちろん、だれかれに私から質問して確かめたことはないけれど。私にとっても外国のタブーに触れることはとても恐ろしいことでした。聞いたけど、心の入れておくだけのことでした。しかしながら、この本を読むことによって、実際のトルコ人から直接聞いた話をひとつひとつ思い起こしました。本の世界と聞いた話を行ったり来たりして体験するようでした。

    それから、悲しい事実だと思ったのは、こういう慣習とは無関係のような都会の人でも、どんなに自分が進んでいる、自分は違うと思っても、
    自分の育った環境、国、そういったものからは、なかなか、自由ではありえないということです。それは誰にもいえることですが、一生分からないかもしれないくらい、自分の個性の中には、育った環境の中で培われた考え方がしみているということです。
    私のトルコとの関りは、トルコのことが大好きという段階から、愛着はたっぷりだけど、異文化ゆえに、嫌悪感になる面も否めない、そういう段階に入っている気がしています。何でも少し知っているくらいが無条件にいい、大好きと言っていられるのだと思いました。

    作者のスアドのすごいところは、最後には自分のお母さんさえも、許したことです。
    人はどうやったら人を許すことができるのでしょうか。自分が幸せだと思えたら人は許せるというのは、どれくらい本当なのでしょうか。

    スアドを救い出したジャックリーヌが次のように語っているのも印象に残った。
    {大胆な性格の私でも、最初は彼らに会うのが怖かった。今は恐れもないし、あれこれ評価を下すつもりもない。ただ「かわいそうな人たちだ」と思う。人は皆、それぞれ独自の運命を負っているのだ。(191p)}
    スアドの両親についての考え方だが、そういう考えもとても理解できた。どんな人も自分の環境での役割を生きなければならないとこの本の他のところでも書いてあった。

    それから、最後の「日本の読者のみなさんへ」でスアドが日本の女性が自然に優しく接してくれたこと、来日の後自国に戻ってから、自分のやけどの痕(あと)を整形する予定を変更してやけどの痕を出すことを選んだこと、整形にあてる時間を、働くことにあてようと思ったことを語っている。
    前から感じていたことだが、日本人には、人を見下げない、たとえ見下げてもそういうことを口にしない、そういう、しっかりと根付いたものがあると思う。ときどき外国の人が普通に人のことを個人レベルでも国民レベルでも批判する口調の悪さに驚ろくことがある。やはりこれは、日本の教育の成果だと思う。世界の中でも、ほこれるものがあるように思う。

  • この本は複雑です。感じることは様々です。例えば「女性」とはどういう存在なんでしょうか?著者がいた国は家畜よりも価値のないものとされています。

  • ヨルダンの奥地ではこんな女性迫害が公然と行われていると知りショックを受けた。
    法の下の殺人・・・
    なんて怖い話なんだろう。
    実話です。

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