ピーティ (鈴木出版の海外児童文学 この地球を生きる子どもたち)

  • 鈴木出版
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本棚登録 : 143
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784790232322

作品紹介・あらすじ

人生の大半を施設ですごすピーティ。ひとつひとつの出逢い、目にするもの、耳にするものによろこびとおどろきを味わい、自分の人生を生ききった、胸を打つ、光あふれる物語。

感想・レビュー・書評

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  • ピーティは脳性麻痺のため生後まもなく施設に預けられる。脳性麻痺の人は、知的障害も伴うと考えられており、豊かな感性をもつピーティはもどかしさを抱える。自身を理解してくれる人々と出会い、ピーティの新たな世界が開かれていく。

  • 心の核に響きました。

    実在の方をモデルにしているとのこと。
    重いテーマの中に感じた清々しさ、前向きに生きる強さ。しばらくピーティは頭から離れそうにありません。

  • こんなに心に残る作品はなかなかないです。
    読み終わってから何ヶ月か経ちましたがいまだに思い出すと目頭が熱くなる感じがします。

    内容 以下ネタバレかもです
    脳性まひのため、両足が折れ曲がり、頭は横を向き、腕は鳥の羽のように折りたたまれているピーティ。
    1922年、わずか2歳でウォームスプリングスの精神病患者収容施設に入ることになりました。
    1965年ボーズマンの介護ホームへ移るまで、ピーティは日々のほとんどをベッドで過ごしています。
    体の自由はききませんが、本当は自分でいろんなことを考えることができる…
    そのことに気づいてくれる人に出会ったり、初めて外に出たり(11歳になるまでずっと施設内)、よき理解者に出会ったり。

    後半の舞台は1990年春、ピーティは70歳になっています。とあることから八年生のトレバー・ラッドとの出会います。

    感想

    解説に、
    「本書は、すばらしい文学作品であるのと同時に、障害者の歴史をかいま見ることのできる貴重な作品であると思います」
    とありました。
    前半で描かれているのは、障がいについて正しい知識のない時代です。様々な出会いはあるものの、ぞんざいに扱われるピーティの様子に、「ピーティの人生なんて辛いんだ…」そう思っていました。
    でも、最後まで読むと、
    ピーティは誰よりも豊かな日々を過ごしていたんじゃないか?
    自分ならピーティみたいになれるか?
    先入観なしに障がいも持つ人を見ていないか?
    人間の幸せって何?
    等々、色んなことを考えることができました。

    涙が止まらず大変ですので(特に後半)、泣いても大丈夫そうな日に読んでほしいです。

  • 脳性麻痺で知的障害がないのに、ずっと知能が低いと思われていたピーティの物語。まともに処遇されず、過酷で辛い人生なのに、忍耐強く全てに感謝するピーティのもとには、人が引き寄せられていく…。
    実在の人物をモデルとした小説。人生を捉え直すきっかけに。

  • 中学生の時に初めて読んで、3回目くらいだろうか
    何度読んでもいいと思えるし、好きだと思える本。
    なんてことない些細なことの大切さについて考えさせられる

  • 再読。何年もまえに図書館で借りた作品。忘れがたく結局購入してしまった。

    読み直してみると、違う本と勘違いしたのではないかと思うくらい印象が違った(もしかしたら違う本なのかもしれない)。
    以前読んだときは、車椅子に乗った主人公が重い障害にも負けず明るく楽しく生きていくお話という印象だった。
    しかし、今回は主人公ピーティに対する周りの人々(いや社会)の偏見や嫌悪感があからさまに描かれ、差別的な言葉や態度、そして感情に溢れている。
    ピーティを応援しながら読んでいても、自分のなかにある醜さ、差別や偏見や、障害へのおそれと向き合わなければならなかった。
    脳性まひのため、施設の職員からは話すことができないどころか言葉を理解できないと思われていたピーティ。意思が通じないのはどれだけのストレスだろうか。初めから自分ができないと諦められているのはどんなに悔しかったことだろう。ピーティと自然に話ができるカルビンは、ピーティが言葉を理解できないなどと考えなかっただろうし、何よりわかろうとしたのだと思う。初めからできないと突き放してしまってはわかりあえない、また自分のなかの思い込みに気づく。
    物語はピーティの死で幕を閉じる。ピーティは70歳。あたりまえだが障害があっても年を取る。どうしたら幸せに生きられるか、何が幸せかを考えさせられる。

    トレバーの両親の気持ちの変化をはじめ説明不足だと感じられるところもあるが、それは読み手のなかで十分に補えると思う。

  • 夏休みの読書感想文にどうですか?シリーズ

     ピーティは脳性まひを患ったことで身体に重い障がいを持って生まれ、生後間もなく施設に預けられることになりました。
     その頃、ピーティのような子どもは、身体だけでなく知的な障がいを伴うと考えられていました。しかし、彼の知能にはほとんど問題がなく、感性もとても豊かでした。辛い誤解を受けながら、もどかしい毎日を送っていたピーティでしたが、小さなことにも喜びを感じ、感謝と思いやりに溢れる彼の人柄に触れた人たちは、ピーティと信頼関係を築いていきます。不幸なことをたくさん背負いながらも、出会う人みんなを幸せな気持ちにさせる彼の人生は本当に温かなものでした。
     本を読み終わった時に、ピーティと出会えたことに感謝の思いがあふれた、そんな物語でした。

  • 図書館の福袋企画で勧められていた本。
    自分では選ばない本だったけど、読んでみて良かったです。
    児童書ではあるのですが、大人が読んでも良いと思います。

    重度の身体障害のあるピーティの生涯が描かれた作品です。
    フィクションではありますが、戦前の障害児者を取り巻く環境って、こんな感じだったのか…という勉強にもなります(これはアメリカの話ですが、たぶん日本でもそんなに変わらないんじゃないかと)。
    ストーリーがあまりにサクサク進んでしまうことにちょっと物足りなさみたいなのを感じることはありますが、そういえば児童書ってこんな感じだったかも。

    第2部のトレバーとの交流は特に良かったです。
    トレバーの、最初にピーティに抱く恐怖心にも似た気持ちとその後の友情・愛情への変化は、障害児者へと接する気持ちとして割とリアルだと思います。
    トレバーの両親が、どうしてあそこまで理解がなかったのかが、ちょっと疑問ではあるのですが…普段あまり親子の交流がないとそうなってしまうのでしょうか。
    自分の子が福祉とかボランティア活動に精を出していることって、今ならもっと親に好意的に受け止められる気がします(時代背景の所為ですかね)。

    最後は少し泣きそうになりました。
    最期まで人を思いやる気持ちを忘れていないのが、ピーティの人柄の素晴らしさを表していると思います。

    ピーティはまだ、(ピーティなりの)言語で自己表現出来ますが、それさえも難しい障害の方々もたくさんいます。
    それでも考える力・感じる力が全くない訳じゃない。
    ともすると日常の中で忘れてしまいそうなその大切な事実を、再確認させてくれました。

  • 1922年米国、3人目の子ピーティは生まれたときから明らかに他の子と違っていた。この子は助からない、このまま何も分からないまま死んでいくと周囲に言われながらも、両親は必死に手当をする。が、ピーティは手足も縮んだまま反応もほとんどない。両親は泣く泣く精神病院に預ける。ピーティは、精神病院の小児室で育てられることになる。
    ピーティは脳性マヒなのであった。その頃、脳性マヒは本人に意識はなく、何も理解できていないと思われていた。しかし、ピーティは不自由な体で周囲をしっかり見つめていたのである。

    前半は、病院でわずかな友人との出会いと別れを繰り返し成長(?)していくピーティを描く。
    後半は、第二次大戦後脳性マヒの理解も進み、ピーティも歳をとり、介護施設に移っている。そこで出会った少年・トレバーとの交流をトレバー側から描いていく。

    前半のピーティーの成長と悲しみ、後半の友達もできず家族ともわかりあえない孤独なトレバーの成長。終始優しさを忘れないピーティの心深さに救われながら、読み進められます。

  • [ 内容 ]
    人生の大半を施設ですごすピーティ。
    ひとつひとつの出逢い、目にするもの、耳にするものによろこびとおどろきを味わい、自分の人生を生ききった、胸を打つ、光あふれる物語。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


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