春日井建全歌集

著者 : 春日井建

• 砂子屋書房 (2010年11月1日発売)

感想・レビュー・書評

[蓮さんの感想 · 2014年1月28日]

三島由紀夫が“少年の純潔な叙情”と讃えている処女歌集《未青年》の序文も入れて９つの歌集全てが収められている。官能美溢れる《未青年》は澁澤龍彦も褒め称えていた。読み進むにつれて作品は死の匂いが濃密になってゆき、父母や友の死、自身の病なども詠われる。だが死に静かに対峙し美学を昇華させた、運命の光と闇を見詰める眼に最後まで酔わされた。