明治の寄席芸人 新装版 (青蛙選書 38)

制作 : 山本 進 
  • 青蛙房
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  • Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784790508915

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  • 明治27年の刷り物?「三遊社一覧」に掲載された芸人の評伝。落語家だけでなく、講釈師等も含む。文献と、落語家である著者自身のオーラルヒストリー両面に基づく調査。索引もあり、調べものに使えそう。
    こういう本を読むと、襲名という習慣が文献調査にとって厄介な壁であることが分かる。一人の人物が複数の名前を持つことはよくあるが、襲名の場合、名前の方も○代目○○という形で複数の人物に紐づく。落語家の系図に関心がある場合には名前の方から引きたい訳で、普通の典拠レコードだと苦労しそうだ。
    また「○代目」の考え方にも諸説あったりする。著者によれば芳村忠次郎の三遊亭小圓朝(のち金馬)は2代目だが、そのひとの息子である3代目小圓朝は「初代・倉片省吾の小圓朝は公認ではないから、自分の父が初代」と主張していたそう(p119)。参照する文献の考え方によって、「○代目」の指す人物が異なってくる可能性がある。
    典拠になった文献。デジタル化されているものもある。
    ・「落語家名前揃」[ https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000000601241-00 ]
    ・「東都噺家師弟系図」[ https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000011009553-00 ]
    ・「落語家奇奴部類」著者は国会図書館の所蔵本を参照したらしいが、デジタル化されていない。ただ霞亭文庫に同じ題名の本あり。写本なので同じではないかもしれない。[ http://kateibunko.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/katei/cgi-bin/gazo.cgi?no=567&top=1 ]
    ・「文藝倶楽部」には芸人の逸話や追悼記事が多く載るそう。
    もちろん本書の執筆当時にはデジタル画像など無く、文献ひとつ確認するのも大変だったはずだが、あとがきに「国会図書館の本につきましては、衆議院議員の稲葉修先生が、ご尽力を下さいまして、借覧に何かと便宜をはか」った(p345)とある。これも興味深い。

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