本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784790713555
感想・レビュー・書評
-
これまであまり研究がなかったというアジア系アメリカ演劇を、マスキュリニティ(男性性)の表象という切り口で分析した一書。
アジア系アメリカ演劇は、そのひとつの始期といえる1970年代においては、白人の「覇権的マスキュリニティ」に対抗するため「非男性化」あるいは「再=男性化」に取り組むことになった。
1988年にデイヴィッド・ヘンリー・ホワンが『M・バタフライ』がアジア系アメリカ人劇作家としてはじめてトニー賞を受賞する。『M・バタフライ』が「西洋における東洋人ステレオタイプを痛烈に攻撃」(p230)したことに現れているように、アジア系アメリカ演劇は「再=男性化」によらないオルタナティブなマスキュリニティをめざす動きが出てくる。現在もその潮流のなか、覇権的なマスキュリニティの脱構築と再定義がさまざまな方向性から模索されている。
僕が見たことがない作品ばかりが題材となっているのだけど、それでも論旨が理解できたのはひとえにこの本の叙述の優秀さによるのだろう。分析視角として「男性性」を据えるというやり方に触れたことが、面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示
全1件中 1 - 1件を表示