アジア系アメリカ演劇: マスキュリニティの演劇表象

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  • 世界思想社教学社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784790713555

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  • これまであまり研究がなかったというアジア系アメリカ演劇を、マスキュリニティ(男性性)の表象という切り口で分析した一書。

    アジア系アメリカ演劇は、そのひとつの始期といえる1970年代においては、白人の「覇権的マスキュリニティ」に対抗するため「非男性化」あるいは「再=男性化」に取り組むことになった。

    1988年にデイヴィッド・ヘンリー・ホワンが『M・バタフライ』がアジア系アメリカ人劇作家としてはじめてトニー賞を受賞する。『M・バタフライ』が「西洋における東洋人ステレオタイプを痛烈に攻撃」(p230)したことに現れているように、アジア系アメリカ演劇は「再=男性化」によらないオルタナティブなマスキュリニティをめざす動きが出てくる。現在もその潮流のなか、覇権的なマスキュリニティの脱構築と再定義がさまざまな方向性から模索されている。

    僕が見たことがない作品ばかりが題材となっているのだけど、それでも論旨が理解できたのはひとえにこの本の叙述の優秀さによるのだろう。分析視角として「男性性」を据えるというやり方に触れたことが、面白かった。

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著者プロフィール

山本 秀行(やまもと・ひでゆき):1945年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、お茶の水女子大学名誉教授。専攻、ドイツ現代史。著書に、『ナチズムの時代 』(山川出版社)、『ドイツの歴史』(共著)、『社会史への途』(共著、いずれも有斐閣)、訳書にデートレフ・ポイカート 『ナチス・ドイツ ある近代の社会史――ナチ支配下の「ふつうの人びと」の日常』(共訳、三元社)などがある。

「2024年 『ナチズムの記憶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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