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- Amazon.co.jp ・本 (132ページ)
- / ISBN・EAN: 9784790715146
作品紹介・あらすじ
ベルク風景論最上のエッセンス!-美しい風景を蘇らせるために。いつの時代にも生きられていた風景の確かな趣味、近代の主客二元論が置き去りにしてきた"風景という知"を、いかにして取り戻すか。この"小さな風景の物語"には、そのための貴重な手がかりが込められている。
感想・レビュー・書評
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風景を客体化してその評価をする(風景についての知)のではなく、大地と我々の生活のレベルのあいだを相通じる知(風景知)を通じて風景を整えていくことの大切さが述べられていた。
著者は、和辻哲郎の『風土』などを参照しながら、風景知が形作られるプロセスを述べている。
風景知を構成するものは、自然環境だけでも人間の働きかけた自然(里山などであろうか?)だけでもない。人間の生活のとの関わりの中で生成されてきた風土の領域から、生物の進化の過程で形作られてきた生態系の在り方、さらには地球史的なレベルでの変遷によって生まれた大地の構造までが、互いに関連しあっている様を読み解くことが求められている。
それらの、「人間の生活圏」、「生態系が形作る生態圏」、「地球の造山運動などで形作られる大地」との相互関係は、客観的、決定論的な捉え方でも、主観主義的(それを推し進めていった先の無根拠主義)な捉え方でもなく、それら相互の「通態化」によって捉えられなければならないことが述べられている。
風景を考える際に、もう一段深いところまで領域を広げて考えることを促してくれる本だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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