- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784790717331
作品紹介・あらすじ
「文化人類学は『これまでのあたりまえ』の外へと出ていくための『思考のギア(装備)』だ。本書はその最先端の道具が一式詰まった心強い『道具箱』だ。こんなに『使える』本は滅多にない」若林恵氏推薦。尾原史和氏による常識を覆すカバー付
感想・レビュー・書評
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自分、不器用なんで
どれを読んでいいか絞れずに、
人類学とタイトルに入っている本をあれこれ
手にとってます。
この本は、広いテーマを立てて
人類学的な捉え方を紹介してくれます。
自分の関心に近いテーマもあれば、そうでないのも
ありますが、ガイドブックというか
パンフレット的な作りと評価すればよいのかもしれません。
著者も多数いるのですが、「学問」世界の方々なので、
引用文献の明示など書き方の匂いがアカデミック
というか、シロートの読者を引き込む力が弱いかな。
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・比較を通して物事を相対化すること、安易に想定されている当たり前を疑い、多様な可能性に目を向けること(この比較の時代・地理的な「遠さ」が文化人類学に特徴的)
・現場の生の声に耳を傾けること、観念的な議論に終始しないこと。要素を排除して純化するのではなく現実の複雑な過程に向き合うこと(文化人類学の「近さ」)
・二元論的な考え方を脱し、相互因果による関係を捉えて、様々な境界を越境していくこと
この3つが文化人類学に特徴的な知的態度なのであろう。
様々な研究分野が紹介されているが、どれも具体的なテーマをもとに、この思考の枠組みを伝えることが主眼になっている。
13個のテーマがあるけど、どれも面白かった。現代文に出てきそうな文章も多かった。
人間がいかに自分のいる状況、文脈を絶対視してしまうかを痛感した。
あとは、安易に何かを断定したり、決めつけたりせず、様々な可能性に開かれた文化人類学の学問としての「優しさ」?みたいなものを感じた。-
思考対象が単体であるよりも複数あったほうが、理解が深くなる人間の思考、直観に反してて面白い。比較によって類似点と相違点を抽出することで、はじ...思考対象が単体であるよりも複数あったほうが、理解が深くなる人間の思考、直観に反してて面白い。比較によって類似点と相違点を抽出することで、はじめて物事を正しく理解できるよな。2022/08/31
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文化人類学がどういう学問かについて、扱う範囲を横断的に取り上げた入門書。学生向けのようですが、一般の読者にも大いに参考になると思います。
30年近く前、大学生の頃に少し文化人類学を学んだのですが、当時とは比べものにならないほど文化人類学側の意識が変わっていて、決して解釈を押し付けない、人々にどこまでも寄り添おうとする態度が印象的でした。
たとえば、呪術の章でシャーマニズムが取り上げられていましたが、大学時代にはこれが社会の安全弁として機能する側面もあると学びました。シャーマンとして託宣をする者が貧困層の出身で、託宣を聴きに来る者が富裕層である場合などは特に。
しかしこの本では、そうした解釈を価値観の押し付けだと切り捨てていて、30年近くも知識をアップデートしないままだった自分を恥じると同時に、文化人類学は約30年間、批判的に顧みてアップデートすることを続けてきたんだなと思いました。
煮詰まったとき、余裕がなくなったとき、選択肢は他にもあると思い起こすために、この本をずっとそばに置いておきたいです。 -
あまり印象に残らなかった。広く浅くテーマによって著者が違う。母についての話は「不道徳お母さん講座」で読んだやつだ!と思った。深掘りされていてあっちは楽しく読めたなぁ。
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「かもしれない」の領域についての話が面白かった。調査者が完全にフィールドの人々に同化はできないが、自分の更新前の考えとその差異に戸惑いながら「かもしれない」を生きていくという話が印象に残った。また、フィールドの人たちにとっても呪術は「かもしれない」の領域だというのが面白かった。
また、戦争と平和の章で関係が「深まりすぎてしまうから」戦わざるを得ないということがある、という話が面白かった。
またいつか読み直したい。 -
文化人類学とはどういう学問か、初心者にもわかりやすい言葉で書いてくれていて読みやすかった。考えるということの概念?幅?が広がったので個人的には面白くまた読み返したいと思った。
白黒つけず、どうすればいいか、読書が考える余白を持たせながら話が終わるので各章読み終わった後も余韻とともにいろいろ考えを巡らせたりもした。
しっかりと学んでみたいと思ったしまた、他の本も読んでみたいと思った。 -
今まで読んだ文化人類学本の総括的なもの。印象的なフレーズは
‘「ふつうの人」は直接には暴力をふるっていなくても、他者の排除を容認する空気を醸成したという点では、その暴力に無関係とはいいきれない。’ -
文化人類学を専攻してた人におすすめしてもらった。この書籍は良くも悪くも各パートで筆者とテーマが分散しており、この分野に明るくない自分からすると本の展開として発散的で部分部分しか印象に残らなかった
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文化人類学という学問をラジオで知り、詳しく知りたいと思い、手に取った一冊。文化人類学の考え方やアプローチ方法などはとても興味深いが、自分の理解力が乏しいためか、本書の内容は多々難解に感じてしまった。ただ、自分たちが「当たり前」だと思っていた多くの事柄は、別の地方や地域、国、民族、時代が異なれば、全く「当たり前」ではなく、そう言ったことなる文化を経験するからこそ、その差異に気がつくことができる。こういう文化人類学の考え方の一部を学べたことだけでも収穫だと思う。