オ-トポイエ-シス: 第三世代システム

著者 :
  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791753871

作品紹介・あらすじ

「ホメオスタシス」「自己組織化」を乗り越える第三世代のシステム論「オートポイエーシス」。システム論の全歴史を通観しつつ、生物学・社会学・心理学・経済学・法学・科学論・歴史学・文学などあらゆる分野の常識を覆すこの革命的システム論を初めて明確に定式化。

感想・レビュー・書評

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  • 扱っている話題は結構すきなんだけど、考察に雑さが否めない。
    多元主義はメタ位置から導入しなければならない。直感的妥当性にもかかわらず、現実のコード化はいまだその手法を明示しえていない。
    多元主義には但し書きが必要。
    多元主義そのものを崩壊に導くような立場を禁じる//

    これじゃ新たなファシズムの可能性がある。やはり一定範囲内で闘技的にふるまう、か真実の存在を確定させずその信念を所有できないとするか。
    いずれにしても現実化が非常に難しいことはかわらない。
    ただやはり直感的な妥当性は感じる。

  • 「オ-トポイエ-シスは境界をみずから作り出すことによって、そのつど自己を制作する」と考える著者の、従来のシステム論-ホメオスタシスや自己組織化-を乗り超える第三世代のシステム論。著者はシステム論の全歴史を通観しつつ、生物学・社会学・心理学・経済学・法学・科学論・歴史学・文学など、あらゆる分野の常識を覆すこの革命的システム論を、初めて明確に定式化せんとする。

  • 面白そうなんだけど、難解で何言っているのか分からないマトゥラーナとヴァレラの「オートポイエーシス」論。

    で、日本語の解説書(?)でも読めば、ちょっとは分かるかと思ったが、もっと分からなくなった。。。。

    これは、解説書でも、入門書でもないな。

    ベルタンフィの一般システム論からオートポイエーシス論につながる流れは概観できるんだけど、その部分からしてかなりの前提知識を必要としている感じ。結局、著者のいうシステム論第2世代の「自己組織化」と第3世代の「オートポイエーシス」の違いは、今ひとつ分からないのであった。

    で、本論の「オートポイエーシス」の説明になるとお手上げ状態。これならかなり難しいと思ったヴァレラの本のほうが、まだ読みやすいな。

    まあ、印象としては、ドゥルーズ=ガタリの「リゾーム」とか、「千のプラトー」とかでの哲学的な議論をもっと科学的にやっているということかな?でも、この本読んでも、それ以上のところは理解できなかった。

    最後のカフカの「審判」のオートポイエーシス的な読解がスリリングで、ちょっとした救いであった。

    だれか、もっと分かりやすくオートポイエーシスを説明してくれないだろうか?


    ・・・
    再読しました。
    だいぶわかってきた。

  • ニクラス・ルーマン経由でオートポイエーシスに触れ、生理学に起原を持つというこの思想についてもっと基礎から学びたいと思っていた。この本はそんなときに店頭で見つけて衝動的に買ったものである。
    自然科学から人文学、哲学、文学まで視野に入れたなかなか面白い書物だ。ただしこれがオートポイエーシスに関する普遍的な定説となっているかどうかはわからない。なにしろルーマンもこれをじゅうぶんに定式化しえなかったのだから、理論としてやはりまだ完成していないのかもしれない。
    著者によると第一世代のシステム論は「動的平衡系」で、これは近代の生命学説、ホメオスタシスなどを含む。第二世代「自己組織化」に関しては私も既にいくつか関連書を読んだなかでだいたいわかっていた。
    これらに対し、第三世代「オートポイエーシス」になると、システムには「内部も外部もなく」「入力も出力もなく」、システムの境界はシステム自身によって決定される。
    著者は「観察者の視点」はオートポイエーシス論において無効化されている、と執拗に繰り返している。するとそこでは「外的刺激」を区分けすることが無意味になってしまうという。
    機能関連による結びつきを示すこの第三世代システムは、位相学的に分布した構成素から成っており、もはや常識的な空間(ユークリッド幾何学)は超えられてしまっているのだ。
    ここで、前回読んでおいたトポロジーの入門書が、早速役だった。
    ニクラス・ルーマンが「人間はシステムではない」と断言していたのは私には非常に不可解だったのだが、社会システムではない、の意であったろうか。
    私は「人間」も、「音楽」も、オートポイエーシスによって語りうると思っており、それを今後も研究していきたい。
    音楽についていえば、物理的な音(波動)そのものはシステムではないが、構成素としての諸処の「音」と「心的システム」が関わりあう(感受し、作用する)ところに、人間にとっての「音楽」は現象するのであり、そうした現象としての音楽は、個々の人間の意志を超えて、独自の自律性を持つのではないか、と考えている。
    さらにシステム論をさぐっていきたい。

  • 相対主義の極北に近いものを感じた。
    概念的に面白い本。でも理解が難しい。。。
    読み方としても、時間をかけて読みすぎて全体像がまだまだ。
    ルーマンの本とかも読んでから戻ってきたいよね。
    また知識をつけてから読み返そう。

  • 河本先生がオートポイエーシスに真っ向から切り込む。
    第一世代:要素還元論、第二世代:自己組織化、第三・・・

  • この本を手にしたときはドキドキした。
    しかし
    解らない。

  • というかこの人は小説を書いた方が良い。文章が面白い。
    内容も示唆に富み面白いです。

  • 第12回:生命はなぜ人形ではないのか<br>
     はじめに<br>
     1章・動的平衡系〜第一世代システム「システム論前史」...(07.02.12)<br>

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著者プロフィール

1953年、鳥取県生。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了(科学史・科学基礎論)。現在、東洋大学文学部哲学科教授。専門は哲学・システム論・科学論。著書に『オートポイエーシス』『〈わたし〉の哲学』『哲学の練習問題』など多数、編著に『iHuman──AI時代の有機体-人間-機械』『見えない世界を可視化する「哲学地図」──「ポスト真実」時代を読み解く10章』など多数。

「2022年 『創発と危機のデッサン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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