科学がきらわれる理由

  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791755547

作品紹介・あらすじ

先鋭化する科学と社会のトラブル。科学の高度化・専門化は、「知」のスピードギャップを増大させ、根拠のない科学不信を生んでいる。ガリレオ以来の科学と社会の隠された闘争の歴史を、心理学・人類学の最新の理論で分析し、和解のプログラムを提示する、まったく新しい科学論。

感想・レビュー・書評

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  • [ 内容 ]
    先鋭化する科学と社会のトラブル。
    科学の高度化・専門化は、「知」のスピードギャップを増大させ、根拠のない科学不信を生んでいる。
    ガリレオ以来の科学と社会の隠された闘争の歴史を、心理学・人類学の最新の理論で分析し、和解のプログラムを提示する、まったく新しい科学論。

    [ 目次 ]
    1 序論
    2 この科学と呼ばれているものとは何か
    3 科学の自然史
    4 科学のルーツ
    5 なぜ科学はうまく行くのか
    6 不自然科学
    7 社会的脳
    8 鏡の国の科学
    9 開かれた社会再論
    10 帰属の分裂

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 心か人類学者のダンバーによる
    「科学にまつわる世の誤解や無理解」を
    彼なりの見方で真正面から論破していこうという
    科学啓蒙読み物。

    のちに彼が一般向けに出した
    「友達の数は何人?」などの科学エッセイが、
    その筆の軽さに特徴があるとするなら、
    本書は実に重い。もう、対照的なほどに。

    なぜ筆致が変わったのかと思うと、
    多分それは彼なりの「科学擁護」の戦術的適応の
    ような気がする。

    いくら真正面から科学を旗印に掲げても、
    世の人びとはそうそう動かない。
    もちろん、本書の時点でも、彼は痛いほどにそれを
    理解しているのだが、そのもどかしさをどう
    解決していいのかの深い悩みの中にいるという印象だ。

    たぶん、彼の中で、
    「それでも啓蒙し続けるしかない! …色んなやり方で」
    というマインドセットを改めて持って、
    以降、一般向けに一層の発信に取り組んでいったのかなと
    推測する。勝手な推測なんだが。

    本書のなかでは、いわゆる
    「人文学、社会学」に歪んだ傾倒を見せ、
    科学を相対主義の中に押し込めようとする人々への大変に
    厳しい批判もある。

    これが面白いのは、アラン・ソーカルが巻き起こした
    ソーカル事件と、本書の執筆タイミングが重なっていることだ。
    もちろん、ダンバーはこの時点ではソーカル事件は知らないわけだが、
    その顛末が明らかになっていく中で、
    間違いなく、科学サイドの人間として、痛快さを覚えただろう(笑)。

    本書の中で私が一番印象に残ったのは
    p.87に、世界の民族たちのもつ「科学としてか呼べないもの」でありながら
    西洋伝統とは無縁のそれらを引き合いに出したうえで語る
    「科学とはある理論の総体ではない。経験による観察を因果関係の
     推論と結びつける、世界についての知見を求める方法なのだ。」
    という言葉、その考え方だろうか。

    今日では人間の発達研究などを通じて、
    乳幼児が既に、「科学者」とでもいうべき理論保持と実践家で
    あることが示されつつあるように、
    人間は生まれながらに「科学的素養」があるのではないかと
    私は思う。

    ではしかし、なぜダンバーが本書後半で肩を落とすように、
    若者たちは科学を学ぶことに疲れ、逃避してしまうのだろう?

    それはある確率で不可避の事象なのだろうか。
    それとも、教育をはじめ環境次第では変化させられるものなのだろうか。
    科学教育、および経済的問題にも広く結びつく重要な観点ではなかろうか。

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著者プロフィール

オックスフォード大学の進化心理学教授。ダンバー数や社会脳仮説の提唱者として知られる。邦訳書は『友達の数は何人?』『ことばの起源』『科学がきらわれる理由』。

「2016年 『人類進化の謎を解き明かす』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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