意識する動物たち―判断するオウム、自覚するサル

  • 10人登録
  • 2.67評価
    • (0)
    • (0)
    • (2)
    • (1)
    • (0)
  • 1レビュー
制作 : Lesley J. Rogers  長野 敬  赤松 真紀 
  • 青土社 (1999年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791757251

意識する動物たち―判断するオウム、自覚するサルの感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 動物の意識を巡って書かれた一冊。知性、計算能力、コミュニケーション能力、認知、心的表象、自己認識など、意識を持っていることの側面として扱われる様々な現象について、それらがヒト以外の動物においてどの程度あるのかを扱っている。特に本書の特徴の一つは、「知能や意識の進化について論じる科学者から無視されたり過小評価されたりするのが通常」(p.133)である鳥類について、様々な事例が紹介されていることだろう。

    しかしこの本は残念ながら、論述がいまひとつはっきりしない。動物の意識については、存在を認めるか、どの程度認めるかについて科学者間に合意はない。そのため明確に科学的事実を述べる形にはならない。本書は「~かもしれない」という文が頻出するのはその反映だ。だが、そもそも「意識」という言葉で何を意味しようとしているのかが不明だ。著者自身、意識は「より高度なレベルで複雑さを概念化することが必要であり、さらに神秘的なものさえちょっと関わってくる」(p.226)など書いている。「意識」はconsciousnessの訳語だろう(p.24)が、本書の原題は"Minds of their own: Thinking, and Awareness in Animals"であって、ここには「Mind心」「Thinking思考」「Awareness気付き=意識」といった語が登場している。フォーカスはどこにあるのか。論点設定がいまひとつ明確でない。

    さらに言うと、本書は様々な実験事例を紹介しつつ、どこに著者が立場を取っているのか極めて分かりにくい。何かの立場に反対して論じているようにも見えない。各章の最後に結論できることがまとめられているが、ほとんどは何も結論できない、結論するには現在の我々に分かっていることは弱い、といったものだ。例えば、他者を欺いていると解釈できるような行動が犬や鳥に見られる。欺く能力が彼らにある「かもしれない」が、断定するには証拠が足りない(p.59-67)。例えば、鳩は回転された図形を認識するし、二年経っても画像を記憶している(p.84-90)。鳥類は通常考えられるよりも遥かに知的能力が高い。しかしながら、知的であることは意識を持つことの必要条件だが、十分条件ではない(p.123)。例えば、鳥類は哺乳類と違って、成長してもニューロンを新しく作れる。ゆえに記憶やさえずりに秀でた鳥は脳の部位のサイズが大きい(p.123)。しかしもちろん、脳の構造からは意識の存在は分からないし、まして人間の特異性も分からない(p.150)。

    ううむ。鳥類の知性について多く論じられているのは楽しいのだが、結局何がしたい本なのか。よく分からない。

全1件中 1 - 1件を表示

意識する動物たち―判断するオウム、自覚するサルを本棚に「読みたい」で登録しているひと

意識する動物たち―判断するオウム、自覚するサルを本棚に「読み終わった」で登録しているひと

意識する動物たち―判断するオウム、自覚するサルの作品紹介

意識はヒトだけのものか。数百種類の模様を記憶するハト、他人の考えを読みとるチンパンジー…。驚くべき能力をもつ動物たちは人間的な「心」とは別種の意識を構成している。大脳生理学から動物行動学まで、広範な文献とフィールドを渉猟し、人間中心主義を脱する新たな意識の世界を探る。動物行動学のフロンティア。

ツイートする