夏目金之助 ロンドンに狂せり

著者 :
  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (523ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791761104

作品紹介・あらすじ

「文部省派遣留学生」夏目金之助。過酷で多難な長旅を経て、ロンドンでの自己喪失、幻視体験、狂気と紙一重の引きこもりを通し、自らを食い破って「小説家夏目漱石」へと変貌しゆく過程を克明に解き明かす、渾身の長篇評論。

感想・レビュー・書評

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  • Q1.夏目漱石はいかにしてロンドン留学で挫折したのか?
    Q2.狂せりと電報を打ったのは誰だったのか??
    Q3.金之助から漱石へ、どう変貌したのか???


    環境や文化の違い、アクシデントなどもありましたが、本書を読む限り、漱石の真面目で不器用な性格が、挫折を生んだように見えてなりませんでした。

    同じように海外留学した森鴎外や永井荷風たちは(彼らも挫折をしたかもしれませんが)作品や結果を残していることから、やはり漱石の資質を思わずにはいられません。

    始めは漱石さんも、誕生日パーティーをしてもらったり、初めて自転車に乗ったりと、ロンドンライフを楽しんだようにも見えたんですけど…


    A1.「僕は下宿籠城主義とした」p424
    次第に神経過敏になり、誰かに悪口や監視されていると思い込むパラノイア状態に。

    A2.「夏目狂せり」p459
    と電報を打った人が誰かは結局わかりませんでした。でもそんな噂が蔓延するほどひどい状況だったようです。

    A3.夏目金之助から夏目漱石へ
    「金之助が作家になったのは、英国に行って、『文学論』を書いたからだといってもよい」p440
    漱石は、この挫折のおかげで?後の作品が生まれたことから「深く感謝」p463と自虐的に言っています。

    …!Σ( ̄□ ̄)!
    『文学論』を読まねば!
    研究はまだまだ続きます。

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