- Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791762910
作品紹介・あらすじ
フィクションとは、作者と読者が互いの手の内をうかがいながら丁々発止とわたりあう、遊戯的闘争の場である。超一流の書き手にして読み手が、古今東西から選りすぐった実例にもとづき、その戦略・技法の全てを具体的かつ実践的に伝授する。
感想・レビュー・書評
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大学講義の覚書とのことで、筋道が立っているとはいいがたいがそこが妙に引き込まれる文体となっており、主観的な少しのシニカルも交えながら、小説の読み方を教示てくれる。
個人としての解釈ですが、小説の読書は作者の思惑を一片の狂いもなく汲み取ることが真義ではなく、多様な各読者ごとの環境、時代背景、個人の心理状況に影響を受けながらそれぞれの読み方がある、ということでしょうか。
後半は小説の語りに焦点を当て、語ることの対話性、読者による疑念や反駁は避けられず、一人で語ることは許されないという、広大な論理を展開している。
また、回想録と告白と違いを、特定の作品を例に述べ、一人語りの技巧の差異を形式だって学んだ。
最後のマイノリティの文学。これは、本当に価値を見出せるくらいまで読書という技術を上達させたいものです。総じてですが、難しかったわー。満足。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者が大学の講義で行なった内容について、覚書をまとめなおした本のようだ。大学の講義というと、お堅くて眠気を誘うようなものを想像してしまうが、それとは対極にあり興味深い内容である。小説の読み方について、ちょっと違う感覚を得ることができる1冊でした。
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文学
本の本 -
著者のエッセイを読み小説論としてまとめてあるものを探してこの本にたどり着いた。自分としては保坂和志につながる小説論の本だと思う。現代小説(非物語小説)の書き方読み方のいろいろ良いヒントをもらった。創作科の講義録を元にした本のようだ。図書館で借りていたが問答無用で購入した。
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小説は極論すると記述>物語というのは納得。「カラマーゾフ」や「ロリータ」は物語的にメロドラマ(←悪い意味ではない)だという下りで、ああ、小説をあまり読まない人の感想に時々ある、「で、この作品は結局何を言いたいの?」というのは小説=物語という発想がもとにあるんだな、と妙に腑におちた。
あと、数章を費やしてとりあげられている「語り」の解説が面白かった。ディエーゲーシス・ミメーシス、回想・告白、モノフォニー・ポリフォニーとか。僕の好みはディエーゲーシス、回想、モノフォニーかな。 -
"「自分が面白いと思うこと」をやるべきか?「他人が面白いと思うこと」をやるべきか?"(teruyastarはかく語りき)
http://d.hatena.ne.jp/teruyastar/mobile?date=20110220&guid=on§ion=1298205146
を読んでいた直後。興味深かった。 -
2010/7/20購入
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物語偏重の享受姿勢に疑義を呈する挑発的な小説方法論。「作品は表現者と享受者の遊戯的な闘争の場」とする戦闘的な佐藤氏、ブログでも「馬鹿は読むな、時間の無駄だ」と豪語する通り、読者に期待する水準は決して低くない。正直、気を張りつめて記述の要素だの構成だのに目配りしてまで読む必要があるのか、そんなことを言ったら今出版社の屋台骨を支える大衆作家のほとんどとその読者のほとんどは切り捨てられることになろうとは思う。思うけれど、個人的にこのところ物語ありきの小説に興味がもてなくなってきていることへの一つの解答が与えられた気はした。決して主流にはなり得ないだろうけれど、孤高を持する姿勢には一定の共感を覚える。
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読了。