- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791765713
作品紹介・あらすじ
9・11以降ますます精緻化する監視システムとは?いまや監視社会は電子化・グローバル化による市民識別管理にシフトした。生体認証システムやIDカードシステム整備をめざす政府とその利潤に群がる企業群。セキュリティと自由のバランスをどこに見出すのか?監視社会論の第一人者が、電子監視社会の進化形を手際よく総覧し、市民識別の視点からあざやかに斬る。
感想・レビュー・書評
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明治薬科大学図書館 ベストリーダー2019 49位
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個人識別システムの進化は、科学技術の進化がもたらす当然の結果ではあるが、政治的には様々な問題を引き起こし、社会を不自由にする。
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アイデンティティとアイデンティフィケーションを混同してはならない。
カード・カルテル、ボディ・バッジなど、監視社会を考える上で使いやすい概念が提供されている。 -
2011/04/07 『大量監視社会―マス・サーベイランス 誰が情報を司るのか』の関連書として
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個人IDが奴隷制、アパルトヘイト、ホロコーストの発想に発展するのは考えすぎではないか。
パスポートだって、結構保険証だってIDなんだし、外国人登録証だってIDのシステムの一つでしょ。
イタリアでではIDカードが導入されている。
ユダヤ人とアーリア人。フツ族とツチ族のIDとは異なるのではないか。
行政の効率化ができればよいのではないか。
身元特定による統治の意識が甘いのは日本人だけなんだろうか? -
パスポートのIDとしての機能って,「自分は"国家間移動を制限されている人"ではありません」というものだったはずなのに,
9・11以来,「自分は"テロリストと同じ国籍を有している人"ではありません」というものになってきている.
IDのフィルタリングや序列には,少なからず差別的,人権的な問題をはらむ.
とか云う事をくっそ難しく書いてあります.
そのくせ何も面白く感じませんでした.あばば.
余談ですが,パキスタンへの入国履歴がある人は,米国への入国が困難になる場合があるそうです.たとえ世界最強の日本のパスポートを持っていたとしても...
-my bookdarts-
この世界では、資源へのアクセスを有している人々(国際的なビジネスマンや旅行者など)は動きやすく、彼らの身元特定システム(クレジットカードから航空会社のカードまで)がその「動きやすさ」を加速させている。しかし、その対極にいる人々、例えば移民労働者や失業者、難民、ムスリムやアラブ系の名前を持った人などにとっては、こうしたシステムは彼らの国内的および国際的な移動を、阻害する方向に作用する。
IDカードシステムについて分析するのであれば、少なくとも、国民IDによって最も悪影響を受ける可能性の高い(外見で分かる)マイノリティの人々(アラブやムスリムなど)や、福祉受給者、難民などに、それがどのような結果をもたらすのか、そして政治的なオルタナティブがあるのか、追究する必要がある。彼らにとっては「堆積する不利益」が現実であり、容易には(差別の対象であると)外見からは分からなかった人々(例えば貧困者)も、IDシステムによって国家からの可視性を増している。