肉食妻帯考 日本仏教の発生

著者 :
  • 青土社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791766291

作品紹介・あらすじ

日本仏教の大きな特徴にして到達点とされる「肉食妻帯」はいかにして形成され、定着したのか。国家宗教として仏教が日本にもたらされてから孕みつづけている最大の問いを考究し続けた著者の研究成果のすべて。

感想・レビュー・書評

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  • 肉食妻帯が本のタイトルとなっているが、日本の仏教論といったほうがよい。
    普段何気なく見過ごしてしまっている、肉食、妻帯、差別等の起源と思想的背景を古典や歴史を紐解きながら興味深く解説していき、日本仏教の発生と変遷を辿る。

  • 2012.09.24
    親鸞・・・・(・_・?)

  • 真宗に注目し、それが教義とどう関係し、他宗派や国家との関わりから、どう再編されるか考察する。著者は肉食妻帯を日本仏教のひとつの帰結というが、外来思想が内発的に展開せず、つまみ食い的に流用されるという指摘に首肯。この国の思想風土に切り込む一冊。

    著者も私もそれを糾弾するのは意図ではない。親鸞の時代からよくある現象にすぎず、「悪人正機」で合理化されるものでもなかった。しかし後々教義が「合理化」に動員される。これは問題なのだろう。加えて維新後の「勝手次第」への対峙がない歴史は残念なことだ。

  • 「肉食」と「妻帯」という2つのキーワードから日本仏教の姿を浮き彫りにしていく

    本書の著者は日本思想史・比較宗教学を専門とする。病気で亡くなっため、まとめ残した論文を、研究者仲間が編集して発刊したという体裁の本である。
    肉食・妻帯をキーワードとするいくつかの論文や講演原稿が収録されている。

    門外漢であることもあり、少々敷居が高く、あまり深い読み込みが出来なかった。
    ・日本の仏教が、僧侶の肉食・妻帯を容認している点で、特殊なものであること。
    ・その背景にある、仏教伝来以前の日本の宗教の姿。
    ・仏教を「日本化」するにあたって、変わってきた点。
    ・明治期の太政官布告(「肉食妻帯勝手タルベシ」)を皮切りとした新政府の混乱ぶり。
    などは勉強になった。

    親鸞の妻帯が、悪人ですら救われる(タブーを犯しても、成仏できる)ことを体現するためであったこと、またよんどころない肉食は許される説話の例(『霊異記』や『今昔物語』中のもの)などは興味深く読んだ。

    編者のあとがきにもあるように、著者が永らえて、このテーマで執筆されたら、さらにおもしろかったのかなぁとは思う。

    素人の断片的な感想で申し訳ない。


    *折口信夫が肉食嗜好で同性愛の人だったというのも初耳。何か、複雑そうな人だなぁ。『死者の書』は昔すごく好きだった。

  • 第Ⅰ部 肉食妻帯と日本仏教
    第一章 女犯肉食と肉食妻帯の距離
    第二章 肉食妻帯
    第三章 <日本仏教>の発生――肉食を巡る禁忌の形成に関連して
    第四章 「仏教の日本化」をめぐって

    第Ⅱ部 肉食妻帯と近代仏教
    第一章 「おのづから」と「無戒」――「肉食妻帯」に見る日本人の宗教意識
    第二章 「肉食妻帯」問題から見た日本仏教
    第三章 日本の仏教にとって「肉食妻帯」とは何だったのか

    第Ⅲ部 殺生と肉食
    第一章 殺生罪悪感と草木成仏思想
    第二章 東国教団における「悪人」たち
    第三章 「血食」とカニバリズム
    第四章 不殺生戒と動物供犠

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著者プロフィール

学習院大学教授

「2009年 『日本文化論キーワード』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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