Googleがほしがるスマート脳のつくり方 ニューエコノミーを生き抜くために知っておきたい入社試験の回答のコツ

  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791766611

作品紹介・あらすじ

世界最先鋭のクリエイティブ集団・Googleは、夢のように充実した職場環境をそなえ、その恩恵に授かる社員の採用試験では、自由回答の難問で知的能力を試す。ありきたりでない質問をしてこそ、どの企業も求めていながら、測り方を知らない資質=「革新を生む能力」をはかれるのだ。Google元面接官は言う-「面接の目的は、どこでアイデアがつきるかを見ることだ」。

感想・レビュー・書評

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  • 本書はアメリカ合衆国のIT企業Googleの採用面接で問われた問題を集めて解説した本。

    人材採用は経歴(学歴、職歴)を経てから、パズルのような問いを課す面接しているとのこと。
    面接で聞かれるのは算数や数学や物理学に関わるようなのものであったり、フェルミ推定であったり、
    この本の最後にあるように、試行錯誤をしながら、答えに辿り着くのは誰でも結構大変だと思う。
    全部で10章の構成になっていて章末に問題が数題載っている。
    問題の中には分かる問題もあったが、解けない問題の方が多かった。
    最初に書いたようにパズルのような問題を聞かれるのだ。

    アメリカ合衆国のIT企業に、自分の力に自信のある者が入社を希望する。
    有望な人材がアメリカ合衆国のIT企業に殺到し、優秀で選ばれたものはそこで働き優れた成果が出て、IT技術がさらにアメリカ合衆国の覇権を不動のものにして行く。

    そこで感じたのは、最初の書類選考でもう大方決まっているのであろうということだ。
    実際に寄与しているのは面接での受け答えだけではなく、そもそも優秀なものが書類選考を通過して
    面接での影響はそれほどではないのではないかということだ。

    IT技術はアメリカ合衆国で進んでおり、世界で大きな存在となっていてほぼ独占していると思われる。
    日々Googleの発明したものを使う人は全世界で莫大な数であろうし、その有用性については業績で証明されているのだろう。
    業績を把握していないし、詳しくないが、ここまで生活に入りこんでいると、IT技術はこれからも進展していくであろう。

  • 現在、知的能力を試す自由回答において最も難問が出されることで知られているのがGoogle社である。本書は、世界一の頭脳集団とも称されるGoogle社の難問を紹介しながら回答のコツを徹底的に研究しようという、野心的な一冊だ。

    通常、受ける側の立場として語られることの多いのが面接の宿命だが、問題を出す側だって必死なのである。その面接官の裏側が、本書を通して実によく見えてくる。ありきたりでない質問をしてこそ、どの企業も求めていながら測り方を知らない資質も試せるというものだ。そして求めている資質とはズバリ、革新を生む能力である。

    まずは、本書の冒頭で紹介されているこの問題を考えてみてほしい。

    あなたの体が5セント玉くらいの大きさに縮んで、ミキサーのなかに投げ込まれたとします。体は縮みましたが、密度は通常と変わりません。60秒後にミキサーの刃が動きはじめます。あなたはどうしますか?
    答えはいろいろ考えられると思う。ブレインストーミングよろしく、出来るだけ多くの切り口を考えることも、一つのアピールポイントだ。
    ①ミキサーの刃の下で体を伏せる②刃の横に立つ③刃の上に登って軸の上に体の重心をのせる④ミキサーの壁をよじ登って脱出する⑤電話かメールで助けを呼ぶ、などなど。

    ここで残念なお知らせがある。これらの答えのどれ一つとして、Googleでは点数を稼ぐことが出来ないそうだ。まず重要なのは、どの部分に着目するかということである。面接官がわざわざ密度などという言葉を出したのなら、ここですよとヒントをくれたようなものであり、これを見抜かなければならないのだ。

    正解は、「ミキサーから飛び出す」というものである。要するに、この問題では、「スケールの変化による効果」ということがテーマになっているのだ。

    体のサイズが通常の1/nに縮んだら、筋肉のエネルギーはn³の倍数で減少する。しかし、さいわいなことに体の質量も同じくn³の倍数で小さくなるだろう。だから5セント玉の大きさになっても、ジャンプできる高さは増えも減りもしない。(※エネルギー保存の法則によりh=E/mg h:高さ、E:エネルギー、m:質量)

    よって、通常の体のサイズで30cmジャンプできる人であれば、誰でもミキサーから飛び出すことが可能なのである。

    そして唸らされるのは、この問題を出題する意図だ。企業の成長とは、ある意味においてスケール変化とも言える。つまり規模の拡大である。規模の小さいときに通用した問題の解決方法が、拡大した時にも同じように上手くいくとはかぎらない。スケールが変化したときに、何が変わり何が変わらないのか、この見極めを本問では要求されているのである。それもこれもひとえに、グーグルの事業内容と急成長が他に類を見ないことによるものなのだ。

    また、このような深い洞察とは、逆方向の能力が求められる場合もあるから厄介だ。

    例えば、こんな問題。

    あなたはボブがあなたの電話番号を知っているかどうかを確認したいと思っています。ボブに直接たずねることはできません。そこでカードにメッセージを書いて仲介役のイヴからボブにわたしてもらいます。イヴはボブから返事をもらってあなたに渡してくれます。しかし、あなたはイヴに自分の電話番号を知られたくありません。ボブにどう指示しますか?
    ある領域のプロフェッショナルであればあるほど、「ボブ」と「イヴ」という名前を聞いて、すぐにピンときてしまう。コンピュータサイエンスの教科書では、昔から「アリス」が暗号化されたメッセージを「ボブ」に送ることになっているからだ。そして悪役はいつも「イヴ」というスパイである。

    はは~ん、これはRSA暗号だなと、決めてかかると痛い目にあう。たしかにRSA暗号の概略を説明するメッセージを上手に書くことは、間違いではない。ただし、シンプルさに欠けるのだ。

    正解は、「ボブに電話をくれと伝える」というだけのことである。この問題は専門知識より稀有なものを試しているのだ。それは、不要なら知っていることを無視する能力だ。

    つまりここでは、エンジニアという領域に限定しないスキルをが問われているのだ。起業家とエンジニアは、どこが違うのか。その答えの一つに、エンジニア的なものの見方を捨てられるということがあるそうだ。「創造性」とは、ときに単なる常識なのである。

    「Googleは業態を変えながら成長してきました。決まった仕事に就いても、5年後には正反対の仕事をしていたりする。一つの仕事のために人を雇えばよいわけではなく、Google全体を考えて雇いたいのです」とは、人材担当責任者の弁である。

    本書を読んで改めて思うのは、問題を出す側の創造力も半端ないなということだ。自社がどのような人物を欲するのか、そしてどうすればそのような人物を見極めることができるのか。それを考え抜くことが、企業の成長と直結する。

    もちろん答える側だって、より良いポジションを得るために必死なのは言うまでもない。面接とは、お互いが創造力の威信をかけて対峙しあう場所なのだ、そんな緊張感がひしひしと伝わってくる。

    一口に創造力とは言うが、その能力は千差万別である。しかし、それがどのような領域のものであれ、共通する部分もあるのだという。それは、創造力は試行錯誤の中からしか生まれないということだ。

    試行錯誤に伴う、脳のゆっくりとした活動によって「まったく異質のアイデアや斬新なもの、独創的なものがどんどん結びつけられていくのではないか」ということが近年の有力な説となっているそうだ。そして、仮に面接で試行錯誤が結果に結びつかなくても、粘り強さだけはアピールでき、評価も上がるのだと著者はアドバイスする。

    本書は問題を解くことの面白さのみならず、問題の意図を読み解くことの面白さも、余すところなく伝えている。そして、そこで培われる試行錯誤の習慣は、絶えず変化するこの世界で生きている以上、誰にとっても大切なことであるだろう。面接前の対策本として慌てて読むだけでは、少しばかりもったいないなと思わせてくれる一冊である。

  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18451

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BB09926286

  • 絶えず革新を求められる企業の欲する人材は、発想力が豊かでなければならないという大前提で採用試験も構築されている。
    困難な問題に直面した時にも、諦めずに解決方法を探し続ける知力と体力が必要です。
    特にスピードがモノをいうデジタル社会では、何日も悩んで正解にたどり着く人よりも、試行錯誤しながらも発想力や推理力などを駆使して短時間で目標に近づく人物の方が適任だということのようです。
    どんな問題が出題されているのか興味のある方は、一読をお勧めします。

  • googleの採用試験に出された問題集。難問奇問の連続で、面白い。が、これがわかればgoogleに採用されるわけではないだろう。

  • 図書館
    挫折

  • フェルミ推定とかですね^_^

  • さすが、Google。スマート脳とは常識ではなく、イノベーションできる脳ということですね。参考になります。

  • Google元面接官は言う--「面接の目的は、どこでアイデアがつきるかを見ることだ」。本書はグーグルの面接試験で出題された難問奇問を集め、紹介したものです。僕は彼らとの知恵比べに全敗しました…。

    世界最高峰の頭脳集団であるGoogle。この会社の人材採用方法はとてもユニークであることは有名かとは思いますが、ここでは、実際に面接担当者がグーグルで働きたいと望んできた人間に対して問われた難問奇問を記したものです。帯のコピーが『世界一の頭脳集団と、知恵くらべ』とあるのですが、僕はこの戦いに完膚なきまでに敗れ去ってしまったようでございます。

    『悪魔に魂を売り渡す契約書を作成してくれ』『水の中とシロップの中では、どちらが早く泳げますか?』など、アトランダムに抜き出しても『一体これにどう答えていいんだ!?』というような質問ばかりで、本当に難儀しながら読んでおりました。

    しかし、こういった質問の中で求められるのは『模範解答』では必ずしもなくて、その答えにいたるまでにどういった『思考過程』をし、それを説明できるか?というところに重きを置いている、といった点は、やはり彼ららしいなとさえ思いながらページをめくっておりました。本書の中でもたびたび比較対照とされるものが筆者の前著でもあるマイクロソフトの入社試験に対する回答であって、ある問題に対して『マイクロソフト的解答』と『グーグル的回答』と記されているものがいくつかあって、マイクロソフトが『王者』としての地位を守るという側に即した回答であるのに対し、グーグルが『日の出の勢いの新興企業』という姿勢を明確にしたと思われる回答の胎児が面白かったです。

    本書では『問題編』と『回答編』の2部構成になっていて『問題編』に出された問題の『模範解答』が解説されているのですが、これはあくまでも一例だそうで、面接担当者を驚かせるような答えを導くことができれば、それもまた『正解』なんだそうです。個人的には『回答編』を見ても『あぁ、そうなんですか』とただただ頷く事しかできず、これがどのようにして正しいのか検討する力がないことが本当に悔やまれてなりません。

    どなたか、理系の知識があって、ここにつづられている難問奇問を解き明かせる力のある方は知的刺激に満ち溢れたものであるかとは思いますが、僕には正直、歯が立たぬものが多いので、『グーグルに勤めている方はこういった問題に対して当意即妙な方が大勢いるんだろうな』という感想しかもてなかったのが実感でございました。もしも就職試験を受ける際に、これ以上の難問奇問には出会うことがないだろうと思って読んでいただけたら…。そんなことを考えております。

  • Googleが採用面接で出題している、様々なジャンルの難題と解答が載せられた本です。どういう問題が出るのだろうと、好奇心で買ってみました。

    私もそれぞれ解いてみました。知っていれば解ける問題はまずなく、どれも試行錯誤が必要な問題ばかりです。自分なりに答えを出してみても、本書の解答では、よりスマートに切れ味のよい回答が載っていて、最善の解にたどりつくのは至難の業だと思います。ちょっと考えただけでは、どういうアプローチを取ればいいかまったくわからない問題も多数。ただ、本書によるととにかく色々なアプローチを思いつくだけ考えて、試行錯誤しつつも、よりベターな答えは無いか模索する姿勢が重要らしいです。
    問題は、数学の問題(組合せの数から、調和級数のようなものまで。オイラーの等式など当たり前のように知っていないといけない)、大学の情報系学生が習うようなアルゴリズムの知識を生かす問題(二分探索のような基礎的なものから、グレイコード、最近点対問題のような情報系専攻外の人は聞いたことがないようなものまで)、フェルミ推定、柔軟な発想を問うものまで様々です。
    これらの問題は、ブレーンストーミングや、ロジカルシンキングの練習に、あるいは普段仕事で数学的な思考が求められる人にとっては、思考を強化する材料として役立つのではと思います。

    Googleで採用を承認するまでのプロセス、問題の出題意図、また誤採用をなくすための思想も詳しく解説されています。そのため、人事の人にもお勧めできる本です。

    ちなみに、Googleがためこんでいるデータを分析したところ、コンピュータに早くから触れていた人ほど、入社後の業績がいいらしいです。

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