ソーシャル化する音楽 「聴取」から「遊び」へ

著者 :
  • 青土社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791766901

作品紹介・あらすじ

ソーシャル・ネットワークをつうじて、次々と新たなムーヴメントが起こる音楽シーンを全方位レヴュー。コンテンツの現在を大胆に描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • ◆7/17オンライン企画「わたしの”好き”を見つける」で紹介されています。
    https://www.youtube.com/watch?v=roZ2LviU1jQ
    本の詳細
    http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=1914

  • 2013年。 著者は円堂都司昭。 出版時50歳。

    インターネットのソーシャル・ネットワークが発達した2000年代以降において、ポップ・ミュージックがどのように歩んできたかを考察した本。

    冒頭から村上龍の『69 sixty-nine』が引用されてて嬉しい。 映画版も悪くなかったけど、小説の方が面白いと思う。

    CDからデータに変わり、アルバム単位で聴いてた時代から一曲づつ買える時代になった。 そして初音ミクやらニコニコ動画やら、AKBの握手券目当てのCD買ったりなど、音楽を取り巻く状況も変化し続けている。

    ネットが発達して、音楽の価値が下がって、ネタっぽく使われるのが一般化してきたと思う。 ぼくはシリアスにロックを聴いてるのが好きなので、まあ人それぞれ楽しんだらいいと思う。

    AKBなどは歌唱力とか楽曲の良さというよりも、練習がんばってたとか選挙で勝ったとか、その過程や物語を楽しんでいると書いてあり、深く納得した。 でもよく考えたらロックも、ジョン・レノンの生い立ちとかシド・バレットがラリッてたのエピソードを楽しみながら聴いてる人も多いと思うので、同じ事ですね。

    ウッドストックなど古いロックの歴史のまつわる話やロッキング・オンが「ロキノン」と揶揄されているなど、色々な情報が知れて楽しかった。

    バランスの取れたフラットな視点も好印象でした。

  • 【由来】
    ・?

    【期待したもの】
    ・音楽の流れとしてJamendoに代表されるような、これまでにはなかった音楽の提供が、技術の力によって可能になってきている。この潮流に対する何らかの視点が得られれば。

    【ノート】
    ・残念ながら、自分にとっては分かりきった部分と、全然分からない部分の両極端に分かれる内容だった。議論の流れがチグハグな印象があったが、あとがきを読むと、書き下ろしではないとのことで、それが理由か。

    【目次】
    序章 祝祭の風景の一九六〇年代とゼロ年代以降

    第1章 ガジェット化する音楽
    1 音楽のトランスフォーム
    2 音楽遊び?:分割
    3 音楽遊び ?:変身
    4 音楽遊び ?:合体

    第2章 キャラクターをめぐる人形遊び
    1 初音ミクと人形遣い・ボカロP
    2 AKB48をめぐる物語消費

    第3章 ライヴ感の共同体のなかのライフ
    1 「バンド」という「つながり」の物語
    2 キャスト化する人々
    3 音楽+映像+α
    4 命を吹きこまれる像

    第4章 音楽遊びの環境<<ルビ:アンビエント>>
    1 ディスク時代の黄昏
    2 “街鳴り”と“WEB鳴り”

    第5章 浮遊する音楽論
    1 アニメ音楽の非ジャンル性と菅野よう子
    2 編集2.0のプリンセス・やくしまるえつこ
    3 彷徨えるロック幻想

    終章 繰り返されるトランスフォーム

  • 学校の課題で、自由に本を読み込むという課題があり、音楽マネジメント学科だし、音楽の本を選択。帯の 「やくしまるえつこ」「神聖かまってちゃん」に惹かれて購入したものの、村上龍の「69」について書かれる冒頭から始まるこの本は 音楽の楽しみ方の遍歴について、詳しく書かれていて、知っている単語と知らない単語の割合がちょうど良くて、最初から最後まで没頭して読めました。
    筆者の方がテクノファンともあって、ちらほらYMOが登場し、度々 私のテンションもあがりました、、
    課題で読み込んだので、内容がしっかり頭に入っていて、良い読書時間を過ごせました。

  • 今日の音楽が置かれている上昇を、作品・演奏という概念がいずれも揺らいでおり、トランスフォーム=音楽のガジェット化と捉え、その変容を分割(様々なレベルで作品としてのまとまりを分割・分解)、変身(音楽の形を変える・リミックス、マッシュアップ、着うたetc)、合体(アーティスト以外の人間がかかわる・カラオケ、エア芸、パチスロetc)の三つに分類(これらは単独で起こっているのではなく、相互に連関しあっている)、その詳細を追う。

    ライブ重視の方向にシフトし、フェスの中でのワンオブゼム、選択肢の一つという位置づけで、リアルを充実させたい観客の選び方次第になりつつある「バンド」。ゆえにカリスマが生まれにくくなった現在のバンド。そのイメージと、かつての距離感との違いを指摘したり、消費する側が主となっている現象(~してみた系とか)や「つながり」のためのCD、などの音楽遊びをめぐる状況など、多岐にわたる視点から10年代初頭の音楽の消費状況について解釈していく(そう思うとクラシック音楽の消費のされ方はいつまで持つんだろう)。
    現代の音楽を考える上での論点の提示、という意味でも内容のある一冊だったと思います。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784791766901

  • 色々なことが書いてあるのだが、通して読むと何が言いたいのかよく分からなくなってしまう不思議な書物。
    それにしても、日本で一番有名なあの覆面バンドのことに一言も触れないとは、なぜだろう。そればっかり気になって仕方なかった。

  • 音楽のトランスフォーム(変身、分割、合体)が音楽のトレンドとのこと。それぞれが独立してでなく、絡み合って起こっていると。

    初音ミク、AKB商法、放課後ティータイム、金爆、涼宮ハルヒの学園祭のステージにあわせたMAD動画、Perfume、村上龍の69、毎回「革命」やら「新時代」のロキノン批判。

    狭い視点でなく、とても広い視点で色々な角度から切り口から語られていた。

    読んでいて楽しかった。

  • フェスもミクも同じ音楽の楽しみ方だといった前半の評論は面白く読めたが、後半ちょっと息切れした感じ。

  • サブカル総まとめ、みたいな。

    大概知ってたけど、やっぱりアニオタ系は追えてない。

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著者プロフィール

円堂都司昭(えんどう・としあき)
1963年生まれ。文芸・音楽評論家。1999年、「シングル・ルームとテーマパーク――綾辻行人『館』論」で第6回創元推理評論賞を受賞。2009年、『「謎」の解像度――ウェブ時代の本格ミステリ』(光文社)で第62回日本推理作家協会賞と第9回本格ミステリ大賞を受賞。ほかの著書に『YMOコンプレックス』(平凡社)、『ゼロ年代の論点――ウェブ・郊外・カルチャー』(ソフトバンク新書)、『エンタメ小説進化論――“今”が読める作品案内』(講談社)、『ディズニーの隣の風景――オンステージ化する日本』(原書房)、『ソーシャル化する音楽――「聴取」から「遊び」へ』『戦後サブカル年代記――日本人が愛した「終末」と「再生」』(以上、青土社)。共著に『バンド臨終図巻――ビートルズからSMAPまで』(文春文庫)など。

「2019年 『ディストピア・フィクション論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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