クラウド時代の思考術―Googleが教えてくれないただひとつのこと―

  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791769667

感想・レビュー・書評

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  • 感想
    外付けの知識にアクセスできる。それでも内側に蓄えておかなければならない。曖昧な知識は混ざり合い新たな秩序を生み出す。それは存在価値。

  • 訳本故に日本人にはわかりにくい例が多い。ただ、様々な研究をまとめ、無知と収入等のその他指標との関連性を示した本。

    無知であることの弊害、無知であることを認識しにくいこと等がわかった。

  • 図書館で借りた。あー完全に理解したわ

  • 無知ゆえの選択

  • 知識や技能に欠けている者の特徴は自分の知識や技能の欠損に無自覚であること。そしてその結果生じる根拠なき過剰な自信をダニング=クルーガー効果と呼ぶ。インターネットに知識を依存する者は、覚える必要がないから覚えないという合理的無知のスパイラルに陥りつつ、知識について過剰な自信を持つようになる。 実際には文脈に基づいた幅広い知識を持っていないとネットで情報を検索したり、吟味することすらできなくなるので、ネットによって知的能力の格差は暴力的に広がる、という内容が様々な調査分析をもとに展開される。 いろいろ納得するが、知識の例が欧米文化に基づいているのでぜひ日本でも同じような調査をしてもらいたい。

  • インターネットは便利だけど、怖い。
    「インターネットは、決して私たちを愚かにするわけではないが、知識をデジタル・コモンズに外部委託することで、われわれは、自分が知らないことに対して、まったく無自覚になってしまう。自分の無能力を認識できないことが、思い上がった自己評価を導く。不完全な知識はやがて、ゆがんだ世界地図を作り上げ、そして、このような誤解が公私の場で、われわれの選択や行動や判断に大きな影響を及ぼす。」
    AIにより、私たちは自分用にカスタマイズされた情報をえられるようになったが、それは裏返せば、興味のない世界からどんどん遠ざかり、そんな世界の存在すら知らずに生きること。自分仕様の世界でよく知ったつもりで生きるって怖い。
    鳥が木の実を啄ばむように、都合のいい情報だけつまみ取りくっつけて結論を導くのも怖い。
    あふれかえる情報の中、広く注意を払うこと。その結果が、幅広い文脈的知識につながる。

    ネットで世界が広がっても、クラウドで容量が無限になっても、AIが出てきても、結局は今までと同じってことね。いや今までよりも大変かも。

  • 羅列
    すぐに検索できるなら人は覚えない、自前のことつらつら

  • いろいろな調査を著者自身がやっていると書いてあるが、著者の専門がいまひとつ不明である。また、全て収入と関連させて考えることは日本では不可能である。

  • 無知の自覚がないことがいかにすごいことか、という実験話が延々と続く。
    面白くないわけじゃないが、少々読み疲れる。

    「ダニング=クルーガー効果」

    これに自覚的かそうでないかで受ける損得が違ってくるわけよね。
    「無知の知」重要。

  • 〈事実を簡単に調べることのできる世界にいて、なお事実を知ることに価値があるのだろうか? この本はこうした単純な質問に答えを出す試みである〉

     能力がない人ほど自信を持っているという現象は、「ダニング=クルーガー効果」として知られている。自分が愚かだということを認識するためには、いくぶんかの知性が必要なのだ。一方で〈無知は合理的でありうる〉という。知識を獲得するためには努力が必要だが、その利益が努力のわりにあわないという場面はしばしば発生する。こうして、われわれはどんどん「知識」の価値を暴落させ続けている。

     本書における「知識」は、学問的な体系とか、専門知識ではない。一般的知識、トリビア・テストのごくかんたんなものである。たとえば〈科学者たちは、古代人がステゴサウルスやティラノサウルスのような恐竜の狩りをしていたと信じている――○か×か」いったものだ。しかし、こうしたテストで正解できるかどうかは、確実にある種の人たちを見分ける。本書にある興味深い事例のひとつは、「一般的知識に欠ける人ほど、メキシコとの国境にフェンスをほしがる」というものだ。これは何を示しているのだろうか?
     アメリカにおける富の分配について、連邦政府の赤字について、銃と犯罪について、マイノリティの人口比率について、さまざまな「無知」が調査によって明らかにされる。これらの知識は「調べればわかる」。しかし、自分の「信念に従って」投票する人たちは、決して「投票前に調べ」たりしないだろう。調べる必要を感じないからだ。つまり、「無知」は如実に、民主主義の成果である投票行為に反映されているのだ。
     米国に限った話では、決してない。現在2017年現在の自民党政権の支持率は、じつはこうした「無知」にささえられているのではないかという疑念を私は抑えられない。

     では、知識の価値はどのていどあるのか? 著者は第2章で「知識のプレミアム」つまり、トリビア・テストと所得との関連を探っている。金融リテラシーがある人は、ない人よりお金持ちか? そういえるといえば言えるようだが、それよりも「一般的知識」の有無のほうが相関があるということだ。

     知識がある人の意見は一致するか?といった問いも面白い。地球温暖化の原因が人為的なものかそうでないか、これと政治思想との相関をとった例がある。「科学的リテラシーがない」人の意見は、リベラルだろうと保守派だろうと変わらない(人為説をとる人は30%)。ところが、科学的リテラシーが高くなるにつれ、人々の意見が枝分かれしていく。科学的リテラシーで高得点の人を調べると、リベラル派は100%近くの人が人為説を支持したのに対して、保守派で人為説をとる人は10%しかいなくなった。人は、学びたいものを学び、自説を強化してくれる情報だけを取得するのだ。

     これに関連するのが、「フォックスニュースの視聴者は、他のニュース・ソースの視聴者より知識が少ない」という調査結果。原因はさまざま考えられるというが、全体にいえば印刷物の読者やラジオのリスナーはより知識に精通しているという。ニュースのカスタマイズをやりすぎて、興味のあること・自分にとって価値の高い情報だけをとりすぎると、結果として知識がやせ細っていくというのが興味深い。

     本書を読んで自分が得た結論は、「知識」がないものは結局グーグルを使うこともできないということだ。なぜなら「知識がない」人は、「調べよう」とも思わないからだ。これはとくに自分が「知らない」情報の評価に役立つ。なぜなら「文脈」を理解するには、周辺の「知識」が必要だから。今後は自信を持って「なんでも調べられる」時代だからこそ「調べずとも頭に入っている知識」が重要だと胸を張って言えるだろう。

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