自分とは違った人たちとどう向き合うか ―難民問題から考える―

  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (134ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791769735

感想・レビュー・書評

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  • 移民の数は、グローバル化する地球の中の発展が終わった地域と発展途上の地域の所得格差が異様なほど拡大したために起こり、その格差のつり合いが取れる地点まで増大する傾向にある。

    自国の中で虐げられてきた下層の人々が、移民という更に下層の人間を目にし尊厳と自尊心を取り戻す。このことは、近年の過度なナショナリズムと愛国主義を掲げる政党の成功の説明に役立つ
    また、移民の流入が引き起こす不安につけこむことが、政治家にとってまたとないアピールチャンスである。だが、壁を作ったり隔離したりする場当たり的な政策は、分断を深めるだけである。

    恐怖心が高まったときに、それを目に見える具体的な敵(移民)に結びつければ、原因がわからないため恐怖心が分散し、いくぶんか耐えやすいものとなる。またそうした特定の仮想敵への団結は、国民の自尊心を奮い立たせる。
    安全保障化政策により、移民がテロリスト予備軍のカテゴリに分類されれば、移民の扱いに対する責任や道場や配慮への義務の圧力から逃れるようになる。
    移民を社会的に排除することこそ、EU内のイスラム教徒の若者を過激化させる原動力であり、それこそがイスラム国の狙い。→迅速かつ断固たる行動をとり、常に関心を持ち続けることが大切

    宇宙的な恐怖(強大なものに対する畏怖)は今や公の恐怖に練り直されイデオロギー化している。昔は宇宙的な恐怖は宗教・政治な公認の恐怖とすり替えられ、今は生活を営む上での恐怖にすりかえられている。社会に見放されて孤立した個人が、自信や自尊心を取り戻してくれそうなレイシズムやナショナリズムにすがっている。
    1.個人化(社会の不確実性によって生じる問題を個人に肩代わりさせること)
    ex)業績主義社会により生まれたうつ病患者と不適任者の問題を、自己責任と自力解決に頼ること
    2.グローバル化の進展にという止められない波に対し、外国人の流入を阻止する(トランプのような)という夢想を掲げる。(それを実行に移す力はないが)

    収容能力の限界に基づいた満杯の地球の中で、どう平和的に異種民族と共生したらいいのか。
    →国の違いを無くすのではなく、交際する権利(意思疎通を図りながら親密な交際を行い、精神的に高め合い、有益な友人関係を構築すること)
    現在起こっているのは、人間の相互依存の関係とは裏腹に、道徳的義務の領域、受容性が縮小していることであり、移民を非人間化、中傷し非難することである。

    移民問題をヨーロッパ全体で対処しようとする取組の実態は、根本原因である貧困問題を無視した移民問題の治安問題化に他ならない。

    ネットの発達により、ファクトチェックを得ないまま情報を拡散させる行為や、単純な二項対立の図に収める行為により、移民問題に対する有害な働きをしている。

    理解は「地平の融合」のプロセスである。
    異なる生活様式をもつ人々との会話により、食い違っていた共通認識と生活世界の融合を果たさねばならない。

  • 社会
    政治
    戦争

  • 東2法経図・6階開架:369.3A/B28j//K

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:334.4||B
    資料ID:95170335

  • 訳者まとめから読んだほうが読みやすい

  • あまり良い訳とは言えない。
    英語の文法で翻訳しているから?

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著者プロフィール

1925年、ポーランドのポズナニのユダヤ人家庭に生まれる。ナチス侵攻によりソヴィエトに逃れ、第二次世界大戦後ポーランドに帰国。学界に身を投じワルシャワ大学教授となるが、68年に反体制的知識人として同大学を追われる。イスラエルのテルアヴィヴ大学教授などを経て、現在リーズ大学名誉教授、ワルシャワ大学名誉教授。現代の社会学界を代表する理論家である。邦訳書に『個人化社会』(青弓社)、『コラテラル・ダメージ――グローバル時代の巻き添え被害』(青土社)、『コミュニティ――安全と自由の戦場』(筑摩書房)、『リキッド・ライフ――現代における生の諸相』『リキッド・モダニティ――液状化する社会』(ともに大月書店)、『廃棄された生――モダニティとその追放者』(昭和堂)など多数。

「2012年 『液状不安』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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