誤訳の常識

著者 :
  • 聖文新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784792217105

作品紹介・あらすじ

誤訳の『構造』・『典型』に続く三部作の完結編。頁を追わず、頁数に関係なく、どこを読んでも英語の「核」に触れ、楽しみながら学べる。翻訳で大切な役割を果たす「オノマトペ」を、「英←→和」の翻訳例で実証。これも本書のユニークな特長。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で借りた。誤訳のシリーズ3冊目。
    基本的にはシリーズ通してコンセプト・内容は一緒。プロの翻訳家が犯したミスについての紹介と解説。常識と題されたこの本では、初期の英和辞書が紹介されたり、国際関係つまり政治に影響した誤訳が紹介されたりしており、話題が尽きない。
    また、プロが多用するというオノマトペ(擬音語・擬態語)についてもまとまっており、面白い。

  • 【書誌情報】
     『誤訳の常識』
    著者:中原道喜
    版型:四六 判 216 頁
    定価:本体 1,600 円 ( 税別 )
    ISBN:978-4-7922-1710-5

    『誤訳の構造』・『誤訳の典型』に続く完結編
    ● どこから読んでも英語の「核」に触れ,楽しみながら学べる.
    ● 翻訳で大切な役割を果たす「オノマトペ」を,「英⇔和」の翻訳例で実証.これも本書のユニークな特長.
    http://www.seibunshinsha.co.jp/books/ISBN978-4-7922-1710-5b.html

    【目次】
    はしがき [i-ii]
    目次 [iii-viii]

    Part 1 誤訳の点描――珍訳のユーモア,独創訳の妙味 001
    1 派手なスーツに身を包み 002
    2 むき出しのベッドに腰を下ろし 003
    3 表情を一変させた 004
    4 大西洋を越える行列 004
    5 一瞬,激しくもどす 005
    6  彼女とはいつもより遅く寝る 006
    7 タンクが道を転がり落ちる 008
    8 変態的な作曲家? 009
    9 恐ろしくて,わからない 010
    10 眼鏡ごしに見上げる 011
    11 雨の中で,彼女の心は大声で歌う 012
    12 木に登れば,わめいて気が狂う 013
    13 どんなことも嬉しいような悲しいような 014
    14 毒々しいフルーツ・プディング 015
    15 睥睨するばかりか,歯を剥きだす 016
    16 彼は呑んだくれになれるか 017
    17 心のどこかに不安が 018
    18 手袋をはめた冷たい手ではなをかむ 019
    19 とやかく言う筋合いではない 020
    20 やめて,速すぎるわ 021


    Part 2 翻訳・誤訳の今昔――初期の辞書から同時通訳まで
    〔1〕 初期の英和辞典に見られる“苦心訳” 024
    〔2〕 訳語の変還 025
    〔3〕 新語の訳語 026
      〈1〉新語が辞典に訳語・記述の工夫を求める場合 027
      〈2〉新語が誤訳を生む場合 028
    〔4〕 国際関係に影響を及ぼした誤訳 030


    Part 3 誤訳の姿態――さまざまな形の原文離れ 033
    《1》誤植に類した誤り 035
    《2》誤植か誤訳か 037
    《3》ぽか 038
    《4》でたらめ訳 042
    《5》語義の取り違え 046
    《6》訳し落とし 050
    《7》水増し訳 053
    《8》複合誤訳 055
    《9》卑俗な表現 057
    《10》化ける引用文 058
    《11》地の文が会話文に変身 060
    《12》固有名詞と冠詞の落とし穴 061


    Part 4 誤訳の類別――各種の誤訳の分類・解説 063
    〈1〉名詞 064
    〈2〉代名詞 073
    〈3〉動詞 075
    〈4〉形容詞 083
    〈5〉冠詞 088
    〈6〉助動詞 090
    〈7〉副詞 094
    〈8〉前置詞 096
    〈9〉接続詞 102
    〈10〉否定 107
    〈11〉比較 112
    〈12〉仮定法 118
    〈13〉不定詞 118
    〈14〉分詞 120
    〈15〉動名詞 122
    〈16〉関係代名詞 122
    〈17〉疑問文 124
    〈18〉強調構文 125
    〈19〉文の種類 126
    〈20〉慣用表現 126
    〈21〉挿入 129
    〈22〉共通構文 130
    〈23〉構文 131
    〈24〉オノマトペ(擬音語・擬態語) 134
    ■参考■ 『副詞』とオノマトペ 139


    Part 5 オノマトペ(擬音語・擬態語)――日本語の特技,翻訳の妙味 141
    § 1  英 → 和の訳でオノマトペが多用される語 142
      (1~100)

    § 2 翻訳とオノマトペ 146
    〔1〕オノマトペが訳文で効果的に用いられた例 146
      [1]村上春樹 
      [2]野坂昭如 
      [3]丸谷 才一 
      [4]青山 南 
      [5]小野寺 健 
      [6]大熊 栄 
      [7]吉田迪子 
    〔2〕同一の英文を異なる訳者が訳した例 157
      [1]①多田幸蔵, ②福島正実,③北村太郎,④柳瀬尚紀,⑤山形浩生
      [2]①大久保 康雄,②遠藤寿子,③神山妙子,④田部隆次,⑤小尾芙佐
      [3]①大久保康雄,②飯島淳秀,③大津栄一郎,④小鷹信光
      [4]①延原 謙,②田中純蔵,③鮎川信夫,④阿部知二
      [5]①青山 南,②村上春樹
      [6]①富岡多恵子,②落石八朋
      [7]①横山貞子,②上野直蔵
    〔3〕オノマトペ訳がよく用いられる典型的な語の翻訳例 164
      [1]bang 青木日出夫 
      [2]slam 村上春樹 
      [3]laugh 川副智子 
      [4]grin 川本三郎 
      [5]chuckle 上野直蔵・松山信直 
      [6]burst out laughing 田辺五十鈴 
      [7]burst into tears 田辺五十鈴 
      [8]clatter 大熊 栄 
      [9]clack 新熊富美子 
      [10]roll 筒井正明 
      [11]dry, goggle 丸谷才一 
      [12]stagger, crumple 鈴木建三  
      [13]trot 青木久恵 
      [14]lumber 酒井洋子 
      [15]trudge 村上春樹 
      [16]swing 亀井よし子  
      [17]hang out 亀井よし子  
      [18]snap 小川芳男 
      [19]crinkle 市川美佐子 
      [20]scrub 龍口直太郎 
      [21]sniff 土屋政雄 
      [22]flutter 安藤一郎 
      [23]twitch 成川裕子 
      [24]duck 三好玲子 
      [25]tinkle 沖本昌郎 
      [26]squeal 村上博基 
      [27]trickle 亀井よし子 
      [28]smack 村上春樹 
      [29]plump, curling 落合八朋 
      [30]afraid 村上春樹 
      [31]shaggy 小川高義 
      [32]nervous 乾 新一郎 
      [33]beat-up 上野直蔵 
      [34]briefly 篠原慎 
      [35]violently 中野康司 
      [36]vigorously 米本義考 
      [37]roughly 横山貞子 
      [38]briskly 鈴木建三 
      [39]cruelly 荒このみ 
      [40]slowly 沖本昌郎 
    〔4〕日本語の作品で用いられたオノマトペとその翻訳例 173
      『雁』(森鴎外) 
      『暗夜行路』(志賀直哉) 
      『銀河鉄道の夜』(宮沢賢治) 
      『雪国』(川端康成) 
      『細雪』(谷崎潤一郎) 
      『野火』(大岡昇平) 
      『金閣寺』(三島由紀夫) 
      『斜陽』(太宰治) 
      『黒い雨』(井伏鱒二) 

    § 3 詩歌とオノマトペ 181
    《1》「詩」 182
      『富士』(金子光晴) 
      『サーカス』(中原中也) 
      『自由』(黒田三郎) 
      『動物の受難』(岩田 宏) 
      『顔』(茨木のり子) 
      『駱駝』(室生犀星) 
      『0』(石垣りん) 
      『一人は賑やか』(茨木のり子) 
      『寂しさの歌』(金子光晴) 
      『雪の日に』(壺井繁治) 
      『牝鶏の視野』(深尾須磨子) 
      『感傷の秋』(新川和江) 
    《2》「短歌」 187
      岡野弘彦   俵 万智 
      三輪タマオ  河野裕子
      大谷睦雄   砂田真綸香
      勝部秀明   東 直子
      米川千嘉子  木村恵子
      梅内美華子  内藤 明
      尾崎まゆみ  傳田 宏
      伊藤俊雄   田中江子
      久保田智子  加藤みづ江
      伊藤 亮   松平盟子
      杉浦とき子  原田由樹
      加藤治郎   篠 弘 
      倉見和枝
    《3》「俳句」 189
      金子兜太  本井 英 
      石田郷子  関根和夫
      向井克之介 紙田幻草
      石橋富子  大角真代
      吉房山鶯  ふけとしこ
      尾上有紀子 辻田克巳
      竹田藤太  越前春生
      金子広夢  鈴木繭美
      辻 桃子  松永典子
      松浦輝美  内田美沙
      柴山芳隆  金子兜太
      坪内稔典  夏目漱石
      小林一茶 

    索引 [193-201]
    オノマトペ索引 [202-205]



    【メモ】
     自分用メモ。「Part 5 オノマトペ」の「§ 2 翻訳とオノマトペ」から、「〔2〕同一の英文を異なる訳者が訳した例」。英文の方の出典も加えた場合の部分的な目次を作った。
     ただでさえ、パート5だけ飛び抜けて長くなってしまったということもあるので、別にした。

    ―――――――――――――――
    〔2〕同一の英文を異なる訳者が訳した例
     [1]
       Lewis Carroll: Alice's Adventures in Wonderland (1865)
       ‎①多田幸蔵,②福島正実,
       ‎③北村太郎,④柳瀬尚紀,
       ‎⑤山形浩生

     [2]
      ‎ Charlotte Brontë: Jane Eyre (1847)
       ‎①大久保 康雄,②遠藤寿子,
       ‎③神山妙子,④田部隆次,
       ‎⑤小尾芙佐

     [3]
       O. Henry: The Ransom of Red Chief (1910) 
      ‎ ①大久保康雄,②飯島淳秀,
       ③大津栄一郎,④小鷹信光

     [4]
       Arthur Conan Doyle: A Study in Scarlet (1887) 
      ‎ ‎①延原 謙,②田中純蔵,
       ③鮎川信夫,④阿部知二

     [5]
      ‎ Raymond Carver: Neighbors (1971) 
      ‎ ‎①青山 南,②村上春樹
      
     [6]
      ‎ Gertrude Stein: Three Lives (1909)
       ‎①富岡多恵子,②落石八朋
      
     [7]
       ‎Flannery O’Connor: A Good Man Is Hard to Find (1953)
       ‎①横山貞子,②上野直蔵
    ―――――――――――――――

  • 2017/08/03
    3冊目。

  • 著者の中原氏は、あの「原の英標」の原しぇんしぇーの後継者・・・てことで、安心・安定のクォリティです。なんだか真摯なお人柄が感じられる本でした。

    読んでいると原の英標をほうふつとさせる受験参考書っぽい雰囲気。
    前半は、大学受験レベルな指摘が続いていて、とても初歩的で、一瞬、え?こんなもんなの?と思いましたが、後半はちらほらと難しいのも出てきます。そういうのには「英文を読みなれているかどうかが試される難問である」なんて書いてあって、ふふ、やっぱり参考書っぽいな、と思いました。つまり、寄り道がなくシンプルで無駄がないです! 知識まっしぐら。
    お勉強してます~っていう気分になって、読んでいるとすぐ眠くなるのが難点でしたが。

    シリーズ3部作の3番目だと知らずにいきなりこの本を読んでしまいました。先に出た2冊の方が評価が高いようなので、それもいつか読まなくちゃ、と思います。

    しかし、この本で誤訳の例文として取り上げられているものを見ていると、日本語に訳された本を読むのが怖くなります。ちょっと驚くレベル。
    まさかこんな低レベルなものばっかりが世に出回っているわけじゃないとは思いますが、同じ文章でも訳す人によって全然違うのを目の当たりにすると、いろいろと考えさせられました。

  • 中原 道喜 (著)
    『誤訳の構造』『誤訳の典型』に続く、完結編。どこから読んでも英語の「核」に触れ、楽しみながら学べる1冊。翻訳で大切な役割を果たす「オノマトペ」を、「英←→和」の翻訳例で実証する。

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著者プロフィール

中原道喜: 元開成高校教諭。長年にわたる経験にもとづく的確な指導と,入念な著作には定評があり,広く信頼された。主な著書に『基礎英文問題精講[3訂版]』『基礎英文法問題精講[3訂版]』『英語長文問題精講(新装版)』(以上旺文社刊),『英文標準問題精講[新装5訂版]』『英文法標準問題精講[新装4訂版]』(原仙作著,旺文社刊)補訂。


〈補訂者〉下永裕基: 明治大学准教授。専門は中世英文学,英語史。兵庫県生まれ。長崎・海星高等学校を卒業後,上智大学文学部英文学科を経て,同大学院英米文学専攻博士後期課程満期退学。オックスフォード大学キャンピオン・ホールに客員研究生として留学。浦和明の星女子高等学校,東洋大学,上智大学などで講師を務めた後,現職。本書の旧版に編集協力として関わる。

「2021年 『基礎英語長文問題精講』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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