大国の興亡 下巻 決定版: 1500年から2000年までの経済の変遷と軍事闘争

  • 草思社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (502ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794204929

作品紹介・あらすじ

20世紀末の世界的大変化を見事に解読した画期的な労作。原注・参考文献・索引を付した決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 上巻に比べ、アカデミック的・政治学的な分析に重点が置かれているように思う。

    終章の「二十一世紀に向かって」は、現在において必ずしも参考にできるとは言えないが、当時の未来予想として面白い。

    「かつての「ナンバー・ワン」諸国が直面した共通のジレンマは、相対的な経済力が低下し、海外からその地位を脅かされたために、より多くの資源を軍事面に投入することを余儀なくされた結果、生産部門への投資が圧迫され、長期的には成長率のいちじるしい低下、重税、支出の優先順位をめぐる国内の意見の対立によって、防衛面での責任負担能力が低下するというものだった」(368頁)

  • 後半は時代が追い越してしまったので、そういう見方だったのね(特に日本部分は当時日本が元気だった時代であったため。)、という印象だが、これだけのスケールのものを書ける人がどれだけいるだろうか。
    自分の国を自分の力で守ることのできる国、すなわち大国という要約は塩野七生の海の宮古の物語を彷彿とさせる簡潔な表現。
    歴史学を学ぶ人の必読書。

  • 1993年(原著1987年)刊行。

     いわゆる近代以降の国家の栄枯盛衰を大河風に叙述する書。全2巻中の2巻目である。
     叙述対象時期は、ベルサイユ体制から冷戦崩壊直前まで。

  • とにかく長い・・・後半は「これからの予想」に割かれる分量が多く、読んでいてさらに息切れ感が募る。正直この本が大ヒットしたというのが信じられない。。。日本のことが凄まじくよく書いてあるので、とりあえず買ってみたはいいが、途中で息切れした人が多いのではないのだろうか。

    著者のポール・ケネディはいわゆる「ハードパワー」派の人で、この本の主張をざっくり一言で言ってしまえば「国力(特に軍事力)は経済力による支えが必要」ということ(こういう風にざっくり切ってしまうと筆者は間違いなく怒るだろうけど)。もちろん経済力をどのように定義するのか、という話や、経済力を支える諸要素間の相互作用をどのように評価するのか・・・ということで、歴史上で「覇権」を握った国家は違った道のりを歩む。

    しかし10年ちょっと前までは、こういった感じで日本がまだまだ伸び続けると思っていた人は多かったんだよね・・と嘆息せずにはいられない。2000年といえば僕は大学生でいわゆる「不況しか知らない世代」だったので、こんな感じで海外から見えていたのかと思うと、不思議な感じがする。

    それから、地政学的にも人口と言う意味においても当たり前のように予想可能な話なのだが、将来の大国候補として「中国」が取り上げられている・・・というか、ここで書かれた段階では既にある程度力を持ってきているという位置づけ。やはり見えている人には、当たり前のように見えているのだな、と今の日中間の力を見て。

  • 『BQ』(林野宏著)ビジネスパーソンに必須の23冊
    7国家とは何か

  • 下巻も読了。
    本書は第一次世界大戦終結した1919年から冷戦まっただ中の1980年までの歴史を俯瞰するような内容になっています。
    その中で、重点とされるのが、ライフサイクル。軍事的な政治から世界経済の関係性を大国の発展から衰退というカタチで表されています。

    世界経済として継続されている各国の課題に対して、提起されており、非常に興味深く読むことができました。
    歴史を読み解くための大切さを今更ながら気付かされる部分が多いです。

    色々な視点から考えることで、視野を広げることができ、より学びを深くしたいという気持ちになります。

  • 元々、この本は20数年前高校生のとき
    私の周りで一番世界史の成績が優秀だった友達が
    「これ読んだら、近代史余裕でわかるよ」
    と言っておりました。

    今回読むきっかけとなったのは
    もういちど読む山川世界史
    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4634640317/dropcoke-22/ref=nosim
    を読んだ時に、なんか物足りないなぁと感じた事と、
    やっぱり、21世紀までの流れをわかるような本が読みたい!
    というのが動機です。

    しかし、かなりのボリュームで速読術を使わず結局上下巻2冊で1ヶ月半費やしてしまいました。
    (内容が内容なので体力がないと読めなく、その気力を上げる事がなかなかできなかったと言い訳)

    この本が書かれた時代にはソ連はまだ存在していたし、
    インターネットも普及されていないので今との状況は比較できないが
    ある程度、的を射ていると思います。

    著者も語っているのですが、小さな国々の小さな問題は取り上げていません。

    とにかく、どのように国が形成され、戦争が行われ、どれだけの損害を受け
    国力はこれだけあがり、各国のパワーバランスはこうやって変遷してきたのだと
    言う事をのべています。
    そして、全世界がそれに翻弄され今もまだその過渡期であるという事。
    結局は生産力が高くなれば国力があがる。

    ということを考えると今の中国の過剰な自信はあり得ない事はない。
    ただ、軍事費の割合が国家予算を圧迫しはじめると、
    いろんなところで問題を抱える様になる。
    本来であれば、国民を救えるために使えた、
    先端技術(軍事以外)への投資に使えた。
    などなど。

    まぁ、全然まとめられなかったのですが、
    とりあえず、1990年日本のバブル絶頂期までの大国の変遷がわかりますよ
    ということで、許してください。

  • 20100706
    ポール・ケネディ
    1500年代から現代にかけての大国の変遷
    下巻

  • 未来は予測できない。当たらなかったじゃないかと文句を言うのは簡単だ。
    さまざまな要素が関わっている

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著者プロフィール

山本文史

近現代史研究家。1971年フランス・パリ生まれ。獨協大学英語学科卒業、獨協大学大学院外国語学研究科修士課程修了、シンガポール国立大学(NUS)人文社会学部大学院博士課程修了。Ph.D.(歴史学)。著書・翻訳書にアザー・ガット『文明と戦争 上下』中央公論新社、2012年(共監訳)、『検証 太平洋戦争とその戦略(全3巻)』中央公論新社、2013年(共編著)、Japan and Southeast Asia: Continuity and Change in Modern Times (Ateneo de Manila University Press, 2014) (分担執筆)、キショール・マブバニ『大収斂――膨張する中産階級が世界を変える』中央公論新社、2015年(単訳)、『日英開戦への道 ―― イギリスのシンガポール戦略と日本の南進策の真実』中公叢書、2016年(単著)、ニーアル・ファーガソン『大英帝国の歴史 上下』中央公論新社、2018年(単訳)などがある。

「2020年 『イギリス海上覇権の盛衰 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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