徳川慶喜家の子ども部屋

著者 :
  • 草思社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794207326

感想・レビュー・書評

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  • 徳川慶喜の孫が書いた自伝。

    最初の
    小石川・第六天町 徳川慶喜邸見取り図
    がとてもよい。
    こういう地図が大好きだ。
    これを見返しながら、読み進める。

    ◯からからと、からを一枚読むほどに、お手つき申すな、取られ申すな p23
    ☆お正月には、やはり百人一首をしていたらしい。一年生から一枚札を自分の前に置き、それだけは絶対取る、というところから始めたというのだから、今と変わりがなくて嬉しくなる。
    空札には、君が代を読むこともあったそうだ。私も初めて聞いた時は、え!!!となったが、この記述を見ると、昔は案外自然なことだったのかもと思えてくる。
    この激動の時代、生きていくだけてすごいとしか言いようがないが、まさにこの方の幼少期は「お姫様の時代」だったのだろう。
    後になると、戦争色が強くなっていく。

    ◯夫は、軍の機密をこまごま写して政治家や重臣方(近衛文麿公、木戸幸一内府、松平康昌式部長官等)に、もう日本には物資がありません、と説き回っていたのだ。 p241
    ☆日本は一枚岩ではなかった。軍は、戦争を続けたい。国民は、そうでもなかったのかもしれない。言えない状況であったから、言わなかっただけで。
    志ある人は、日本のことを考え、戦争を終わらせようと動く。しかし、不穏な動きは、たとえそれが本当のことだったとしても、力で封じ込められる。
    政治も内閣も、軍が動かないと作れない仕組みになっていたから、いいなりになってしまっていたのか。

  • 美しい文章である。「お-」つき言葉が嫌味にならない敬語、かと思うと廊下を走り回り、木登りをし、すり傷をこさえるおてんばで、面白くもあり、ときにその人の目を通して映るものの姿に思わず涙を覚える。稀有な本である。

  • 徳川慶喜のお孫さんの少女時代〜戦後までの回想録。以前読んだ徳川宗家の方の本にチラッと引用されていたので興味を持って読んだのですが、こちらはより貴族的な印象。過去の日記の絵や写真などもあって面白かったです。木登りして笑顔で写ってる写真が好き。

  • 最後の将軍徳川慶喜の孫、姉は高松宮妃殿下喜久子さまという名門に生まれた作者が、小石川のお屋敷「第六天」で育った大正から昭和初期の殿様家の日常を日記を元に邂逅した随筆集。
    慶喜も亡くなるまで住んだお屋敷こそ広大だが、衣食住は非常に質素で、武家らしく質実剛健が徹底されていたことに驚く。
    ご主人も大名家の方だが、和平終戦工作に奔走され、戦中戦後は大変ご苦労されたとのこと。しかし知的で率直な筆は、じつにすがすがしい。
    まだご存命とのこと、長寿をお祈りする。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    徳川家第15代の最後の将軍慶喜は、維新後晩年は名誉回復され、公爵に叙せられ、東京小石川第六天町の宏壮な屋敷で余生を過ごした。著者は慶喜の孫に生まれ、慶喜の思い出の残る第六天の屋敷でその幼少期を送った。本書は著者の第六天での夢のような少女時代の回想録である。高松宮妃となる姉上の盛大な婚儀、夏休みの葉山や軽井沢へのお転地、四季折々の行事や毎日の暮らしなど、日記をもとに多感な青春時代をつづる。戦前の華族階級の一面をうかがい知ることのできる好個の記録でもある。

  • 著者が15代将軍の徳川慶喜のお孫さんだというので、思わず購入しました。華族の暮らしぶりなどを興味深く拝読しました。

  • 徳川最後の将軍・徳川慶喜の孫である著者が、子供時分からつけていた日記を元に書いた回想録です。

    「第六天」と呼ばれるお屋敷(著者によると三千坪に建坪千坪の「質素な」日本家屋)で
    過ごした幼少期の記述からは、いかにも箱入りお姫様という、のほほんとした感じを受けました。
    後半(戦中戦後)ではお子様を亡くしたりして辛い記述も見受けられます。
    それでも、市井の人の生活よりマシじゃないかと思うのはひがみでしょうか。

    当時の女性としては先読みの力に優れ、当時の女性らしく愛国心に燃えていたであろうことが
    感じられます。

    ぐだぐだと書きましたが、面白い一冊です。オススメ。

  • 最後の征夷大将軍・徳川慶喜の孫娘に生まれた著者の少女時代の回想録。

  • 徳川慶喜の孫が著者です。昔の生活等日記帳にかかれています。一般の世界とはちょっと違う旧華族の生活が見えてきます。

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著者プロフィール

1921(大正10)年、東京小石川第六天町の徳川慶喜家に一男四女の三女として生まれる。父は慶久、母は有栖川宮家から嫁した実枝子、姉は高松宮妃殿下喜久子様。女子学習院を経て、1940(昭和15)年、越後高田藩の元譜代大名、榊原家の第16代当主、榊原政春氏と結婚。一男一女を授かる。2013(平成25)年、逝去。著書に『徳川慶喜家の子ども部屋』『殿様と私』『大宮様と妃殿下のお手紙 古きよき貞明皇后の時代』などがある。

「2020年 『榊原喜佐子遺歌集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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