自閉症児イアンの物語―脳と言葉と心の世界

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制作 : Russell Martin  吉田 利子 
  • 草思社 (2001年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794211026

自閉症児イアンの物語―脳と言葉と心の世界の感想・レビュー・書評

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  • 自閉症の少年の人物評伝。同種の書にも書いたが、この種の評伝は余り参考にならないことが多い。それほど自閉症・発達障害というのが多様性をもつ疾病だからだ。しかも、教育システムの全く異なる海外のそれは、療育という観点からも有用性は欠けるのだろう。自閉症賛歌には共感するし、その不可思議さ、能力の高さに驚嘆する面もあるものの、そこに止まっていてはいけないのも現実である。

  • 最近では、自閉症者自信がその肉体的障害を乗り越えて、自分の内面を文章で表現する感動的な本が何冊も出ている。
    その舞台裏では新たに開発された幾つかのPCソフトが支えているようだ。

    自閉症者が持つ恐怖感によって時々襲われるパニック状態は、肉体的な拒否反応や懇願であるらしい。
    しかし精神的にはまったく正反対で、前向きな希望や体験をして学びたいと言う思いがあることも多いらしい。
    表面に表現された有り余る破壊的実態とは裏腹に、その心は自分の肉体による暴走を止めることができずないことにいら立って傷付き、その裏では深く状況を見渡した上で社会に参加したいと思い、その実力も育んでいるという事実を突き止めてもいる。
    この本では生後19ヶ月で自閉症に見舞われた子供とその家族が体験してきた壮絶な物語を、母親の弟が記録したドキュメントであり、研究書でもある。
    著者は、科学的眼を持ったジャーナリストであって、ドキュメントを中心にした物書きである。心の内面を掘り下げた小説を一遍書いてもいる。
    そんな彼が甥という身近な存在に対する愛を感じながら、自閉症である本人や家族よりも一歩はなれた広い視野で見つめた事実と幅の広い科学的調査を織り成した観察を元として公開したのがこの本である。
    言語・会話・伝達・表現・意思・納得・など人が集うという事に関するあらゆることに関心を示しながら、多重人格的行動をいかに理解するか、あるいはどうやれば克服できるのかという疑問に迫ろうとしている。
    机上から抜け出して現場を踏まえての冷静な探求であって、一度読めばいいというものでなく資料として読み応えがある。
    主人公であるイアンが三種混合ワクチンによるものと思われる副作用からなる障害を負って以来の、苦悩と挑戦による家族の日々を通して、生きるということ・集うということ・それに伴う脳と心と、そしてコミュニケーションの手段としての言葉と文章について哲学的に掘り下げ、現状における科学を紐解いて自閉症というものを説明している。
    日本語の題名は「物語」となっているけれども、けしてイアン一人の問題を綴ったものではなく、自閉症にまつわる諸問題を広くとらえながら、現状における詳しい事情をわかりやすく開示してくれたドキュメント情報である。
    客観的でありながら現場を押さえた掛け替えのない素晴らしい内容である。

  • ジャーナリストの著者が、
    甥イアンの成長を描きつつ、
    自閉症の正体を追究してゆく。
    脳と言語の深遠な世界に読者を引きこむ、
    たぐいまれな書。

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