書きあぐねている人のための小説入門

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著者 : 保坂和志
  • 草思社 (2003年10月31日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794212542

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書きあぐねている人のための小説入門の感想・レビュー・書評

  • 本を読むと、文章の成り立ちに興味がわくため、こういった文章論も、おもしろく読んでいます。
    ガチガチの作文法などは、肩が凝ってしまうのですが、著者自身が、巷にあふれる作文レクチャー本をよしとしないため、ここにもハウツーが書かれているわけではなく、強い持論で読者を縛り上げることもなく、さらりと文の書き方について述べられた、読みやすい内容となっていました。

    物語を書いていくと、必ず不幸のニュアンスが加わってくるとする著者の意見は、新鮮でした。
    そういうものでしょうか?
    その不幸色を一切排除した物語を作ったら、平明単調なものになったとのこと。
    自分も文章を書いてみると、その真偽がわかるのかもしれませんが、今は心に留めておくだけになりました。

    フロイトは、心理学者として認識されているけれど、実は哲学者だということに驚きました。
    井上ひさし『ひょっこりひょうたん島』は、「火山噴火時にみんな死んでいた」という裏設定があったということもびっくりです。
    ゴリ押しの文章ではありませんが、豊富な知識量に裏打ちされた話は、興味深く読めました。

    新人賞受賞のための文章法は、まるで受験のための、点を取るための勉強法のようですが、もっと広い意味での人生の勉強のようなものを、作文法に置き換えて説いているような本で、自分にも読者にも誠実であろうとするスタンスが見えてくる、安心できる一冊でした。

  • 非常に興味深い、というか勇気をくれる本。
    そうかーそれでいいんだなっていう気になった。

    大切にしているものをこうやって表すのはいいなあって思う。

  • 小説のことを考え続ける。
    小説にしかできないこと。

  • 最も根本的な部分を繰り返し説いている。
    この作者は信頼できると思った。

  • 筆者の方の独特な考え方を理解するのに少し時間がかかるけど、文章のあちこちで「ああ、わかる、なんとなくだけど言いたいこと、すごくわかります」という気持ちになりました。
    ジャズがお好きなだけあって、自分の中のリズムや流れ、動きに素直な方なんだな、と。
    最初から最後までとても楽しく、興味深く読みました。
    もう一度読み返したいです。

  • 小説とは何か、どういうものが小説かを論じる内容で、小説を書かない自分には体感が乏しいため難しい所がある。ただ読者としては実は筆者のいう小説とは違うものが好きという確認にはなった。ミステリー好きは小説好きとはいえないようだ。

  • 小説、とは何か?について根本から考えさせてくれる本。指南書というより、足場を再構築させてくれる本です。

  • 流れがとても秀逸。
    もともと語りをベースにしているというだけあって、話は前後するしまとまりが無いし曖昧な描写も多い。それでも、不自然じゃない。文体としての一貫性は無いけれど、全体を通して軸がある。読み進めるにつれて、著者の人間性と、更には作品にまで興味を及ばせるのも特徴的。
    小説とは何たるかという小説論のニュアンスが強く、細部に関しては共感点も多かろうし、批難もいくらでもできる。全てを真に受ける必要は無いのだろうが、書きながら迷っている人には一つの指針になるのかもしれない。そのくらい著者の中での小説論が一貫していて、ほころびが無い。
    そして小説家を目指す人間が読むのであれば、表題が「書きあぐねている人」に向けている意図を一度検討してから手に取ってほしい。読者に徹したい人や、自称評論家にもおすすめ。

  • この本は、ある程度小説を書いた事のある人向けの本ではないかな……。

  • たまたま手に取り、読み始めると止まらなくなった。
    保坂和志という方の作品は読んだことがなく、小説家をめざしているわけではないけれど、自分が普段どんなことを期待して小説を読んでいるのかとか、どんな小説を面白いと思っているのかとか、振り返るきっかけになった。
    この本の中で、筆者が『プレーンソング』という作品を書くときに、「悲しいことは起きない話にする」「悲しいことが起きそうな気配すら感じさせないように文章を書く」というルールを設定したとあり、興味を持った。

  • なるほどなあ、という感じ。

  • 小説を書いてみようと思うけどどこから手をつけて良いのか分からない人のための起爆剤になりそうな本でした。技術的なことはほとんど書いておらず、とにかく小説とはということを考えるためのものといった感じです。「えー!テーマなしでどうやって書けばいいの?」と終始考えながら読み進めて、最後まで読んだとき、「そうか、そうやってテーマって何?とか考えまくって試行錯誤して自分のやり方を見つけるのか」と妙に納得しました。
    そのうち一作品ぐらい完成させられるといいなー。

  • 起承転結がはっきりしない小説が、どういう意図で書かれているのか、理解できたように思う。

  • 今まで数百人の作家による「小説とは何か?」という話を見聞してきたが、これまでの常識を覆す内容で、ある意味逆張り的なポジションが際立っていて面白い。総じてエンタメ小説批判になっている印象。
    小説の楽しみ方は人それぞれなので、本書の内容が正解という事でもないのだろうが、「書き方本」というのは結局は「読み方本」でもあり、ありきたりに陥らないための違った読み方を示唆しているとは思う。
    <印象に残った箇所>
    ・「一気に読める」小説は生産性の志向であり、読者の内面的経験になってないツマラナイ小説
    ・自己実現や自己救済の小説は共感を生むが、読者の慰めにしかならない。そこには感銘はない
    ・テーマが設定された小説には豊かさがない。よってテーマを設ける事はマイナス
    ・すでにある社会問題を後追いしない。社会的弱者と小説内弱者は違う。視点の創出が必要
    ・ストーリー重視は多様性がない
    ・テンポのいい小説は何かのパクリ
    ・感傷的小説が流行るのは読者が成熟していないからであり、そのような小説は傍観者的態度という点で罪悪である
    ・テクニック重視は「既存の小説」という最悪の枠組みから抜けられない

  • 手元に置いておいて、たまに読み返したい本。
    書く技術ではなくて、気持ちの面で役に立ちそう。
    あとがきでも書かれているように、読むと書きたくなります。

  • 面白かったです。小説を読むときの視点が変わりそう。テクニックを求めている人には向かない本。現役の小説家が語るから価値があるけれど、この作家さんの本はまだ拝読したことがないので、今度読んでみようと思います。でもこの作家さんの考える小説だけしか世界に存在しなかったら、ちょっとつまらない気もするけれど、確かに読むのが難しかったり、読み終えるのが惜しい小説のほうが楽しいですね。

  •  これを読んでも小説は書けない。あたりまえだけどね!
     タイトルの通り、書きあぐねている人は書くきっかけになるかもしれない。というか、これで書ける人は、書きあぐねている理由が「自分の中の概念の小説と書いている小説が異なる場合」かなぁ。

     しかしながら、これ自体が軽やかで面白い読み物でした。

  • 具体的なテクニックというよりも、書く際の心がまえ、そしてなにより「小説とは生きて動いているもの」ということを勉強できた。
    まさしく私は小説を書きあぐねている人間なわけだが、「小説の書き方とは~」ってガチガチに固かった頭をやわらかくしてもらった感じ。

    ただ、あくまでも保坂さんの考えのみが書かれているので、すべてを鵜呑みにしてはいけないのかもしれない。それは、保坂さんの望んでいる読み方ではないとは思いますが。

  • 本書は「小説家を目指すひとのため」に書かれたことになっているが、スティーヴン・キング『小説作法』同様、人生論として示唆に富んでいる。弱者に寄り添う、「辺境」は他者を理解する助けになる、想定せずに時の流れに身を任せる、状況が生活のダイナミズムを産む、素材があるからこそ豊穣なキネティクスが起きるなど、「構えない」生き方を進めながら、「なにも決まらない」現実だからこそ、「なにものでもない」存在だからこそ、考え抜き、いまを生きるべきだと熱く語る。入社して2年目で手にしたときには「ちょっと」と思ったが、三十路半ばのいまは保坂和志の言葉が心に深く突き刺さる。不惑前に読むと前に進む気になります。

  • 「言葉の届かないところは闇。闇には言葉がない。言語化されなければ人間にはそこに何があるのか分からない。何かがあっても人間には理解できない。言葉がないということは、何もない状態と限りなく同じである。作家と呼ばれる人々は、それを人々に分からせる人々のことである。」なるほど、と思った。

  • 小説家の書いた小説ハウツー本。だが、いわゆる小説の書き方的なものをイメージするとかなり違う。文章表現のテクニックなどには一切触れず、書き進めていく中でおこる文学の運動性に身を委ねよという、非常に抽象的なアドバイスが書かれている。

    時間をかけて書き込んでいない、スカスカした小説のことを「高校の文化祭で演奏されるロックが、いくら音量を上げてもスカスカしているのと似てい」ると表現したのが面白かった。

  • 小説を書こうとする人のためのノウハウ本のようであるが、実際は「小説とは何か」ということについての筆者の考えが開陳されている。
    なるほどと思うことも多く、よく小説を読む人にはオススメ。

  • 言ってることは分かるがどうにも好きになれない。入門書というより著者の作家としてのなり立ち方といった方が正しいような気がする。万人向けとしては選択肢を狭めすぎているのではないかと。最後のワープロの下りなんかどこまで本気なのやら。

  • 何度も読み返している本。小説に限らず、何らかの表現活動をする人が考える必要のあることを、端的に示している本だと思う。

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小説を書くために本当に必要なことは?実作者が教える、必ず書けるようになる小説作法。

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