書きあぐねている人のための小説入門

著者 : 保坂和志

• 草思社 (2003年10月31日発売)

作品紹介・あらすじ

小説を書くために本当に必要なことは?実作者が教える、必ず書けるようになる小説作法。

感想・レビュー・書評

[室園元さんの感想 · 2023年11月5日]

友達から借りていたのをようやっと読み終わった。

[リカさんの感想 · 2010年10月20日]

本を読むと、文章の成り立ちに興味がわくため、こういった文章論も、おもしろく読んでいます。
ガチガチの作文法などは、肩が凝ってしまうのですが、著者自身が、巷にあふれる作文レクチャー本をよしとしないため、ここにもハウツーが書かれているわけではなく、強い持論で読者を縛り上げることもなく、さらりと文の書き方について述べられた、読みやすい内容となっていました。

物語を書いていくと、必ず不幸のニュアンスが加わってくるとする著者の意見は、新鮮でした。
そういうものでしょうか？
その不幸色を一切排除した物語を作ったら、平明単調なものになったとのこと。
自分も文章を書いてみると、その真偽がわかるのかもしれませんが、今は心に留めておくだけになりました。

フロイトは、心理学者として認識されているけれど、実は哲学者だということに驚きました。
井上ひさし『ひょっこりひょうたん島』は、「火山噴火時にみんな死んでいた」という裏設定があったということもびっくりです。
ゴリ押しの文章ではありませんが、豊富な知識量に裏打ちされた話は、興味深く読めました。

新人賞受賞のための文章法は、まるで受験のための、点を取るための勉強法のようですが、もっと広い意味での人生の勉強のようなものを、作文法に置き換えて説いているような本で、自分にも読者にも誠実であろうとするスタンスが見えてくる、安心できる一冊でした。

[わかさんの感想 · 2010年5月31日]

非常に興味深い、というか勇気をくれる本。
そうかーそれでいいんだなっていう気になった。

大切にしているものをこうやって表すのはいいなあって思う。

[どらさんの感想 · 2023年12月29日]

もう20年前の話だから使えないところも多いけど、まあそうだよねえ…と頷けるところもあるのはいい。下手にテクニックに傾倒する本というよりは、「なぜ書くのか」を考える手掛かりになる本。

[上海蟹子さんの感想 · 2023年7月23日]

小説を書く技術論でなく、小説を書くということへの付き合い方を書いた本。小説を書く大変さはプロもアマも同じで、ただ大変なことに逃げずに取り組んで実力がつくというくだりは執筆も労働だなと感じた。これを読んだら小説の旨みを重層的に摂取できるかも。

[setsusan3さんの感想 · 2022年8月15日]

素直にどの言葉も受け止められた。この著者が向いている方向とそう離れていない場所を歩こうとしていると思えた。小説を一作書き出す前に、一度この本を読むのがいいかもしれない。
本の中で紹介されている作品を読みたくなった。とくにアンナ・カレーニナは読みたい。

[ﾄﾓﾐさんの感想 · 2022年2月2日]

記録

[ykikuchiさんの感想 · 2018年10月17日]

小説家が教える小説のイロハ。人物、風景描写のコツを学びたかったので読んだ本。

[whitepapersortさんの感想 · 2018年9月12日]

小説執筆マニュアルではないとのこと。
いわゆる文学を書きたい人のためであって、エンタメ系を想定したものではない。
小説とは自由であり、小説っぽいものを書こうとすると新しくはなくなる。

[メサイアさんの感想 · 2018年3月17日]

小説を書く合間に、何度も開いて読む。平易な言葉づかいで、つかみどころの無い話が展開される。まるでこの本自体が小説であるかのような感覚。

著者プロフィール

1956年、山梨県に生まれる。小説家。早稲田大学政経学部卒業。1990年『プレーンソング』でデビュー。1993年『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、1995年『この人の閾（いき）』で芥川賞、1997年『季節の記憶』で平林たい子文学賞、谷崎潤一郎賞、2018年『ハレルヤ』所収の「こことよそ」で川端康成文学賞を受賞。主な著書に、『生きる歓び』『カンバセイション・ピース』『書きあぐねている人のための小説入門』『小説の自由』『小説の誕生』ほか。

「2022年 『ＤＥＡＴＨか裸（ら）』 で使われていた紹介文から引用しています。」