サトラップの息子

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794212832

作品紹介・あらすじ

革命に揺れるロシアからフランスへ家族とともに亡命してきた少年は、パリで友人ニキータと再会を果たした。そうだ、小説を書こう!と、少年二人は意気投合。題は…そう、『サトラップの息子』だ。荒唐無稽な思いつき、次々繰り出される「盛り上がり」。日曜ごとの小説作りの試みはニキータ一家の夜逃げによって唐突に中断する。ニキータの行方は、そして『サトラップの息子』の続きは-。二人の少年に訪れる運命の皮肉。著者自身が実名で登場する自伝的物語に、小説家らしいたくらみを凝らした傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 帝政ロシアの富裕層だった主人公一家が政変で国を捨て、亡命先のフランスで生活を始める。
    富んだ者から困窮気味の平民へ一変してしまった生活に順応していく主人公と姉と兄、馴染めずに過去を想う両親、何も分からない祖母と家族内での受け止め方も様々。
    上手いこと立ち回って亡命先でも裕福に暮らす主人公の友人一家との対比や一緒に小説『サトラップの息子』を執筆しようとする友人と主人公の心の違いと言った亡命と言う非日常的な世界を日常に暮らす人々の姿が何だかとても切ない。
    終盤の作家として成功した主人公と『サトラップの息子』を一緒に考えた友人のその後(最期)、友人の義姉兼同棲相手であった女性の美しさを喪った姿、と時の変遷の無常さもあって読後は本当にしんみりとしてしまった。

  • 「未知の作家の文章を読んでいて、それがもちろん私などとは無関係に書かれたとわかっていても、不思議なことには、まさしく私に向けて書かれたとしか思えない場合がある」<BR>
    今春に亡くなったH.Troyatの少年期の自伝的小説。「物語の誕生」と題して作者本人から邦訳に寄せられた原稿が、そのままこの作品を、そして小説家としての彼自身を体現しているように思う。

  • 家にあったので読んでみました。他の著作も気になります。

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著者プロフィール

1911年モスクワ生まれのロシア系フランス人作家。1935年に処女小説『ほの明かり』を発表して以来、2007年に95歳で没するまで精力的に小説、伝記、エッセイ等を発表した。日本でも多数の作品が翻訳されている。主な著書に、『女帝エカテリーナ』(中公文庫、1985年)、『ドストエフスキー伝』(中公文庫、1988年)、『バルザック伝』(白水社、1999年)、『プーシキン伝』(2003年)、『ボードレール伝』(2003年)、『ヴェルレーヌ伝』(2006年)、『フロベール伝』(2006年、以上、水声社)等がある。

「2023年 『モーパッサン伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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