ヘッセの読書術

制作 : フォルカーミヒェルス 
  • 草思社
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本棚登録 : 161
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794213464

感想・レビュー・書評

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  • 良薬口に苦し?!


     すばらしい書物との出会いは、深い慰めと癒しをもたらしてくれます。本の外の音が聞こえなくなるほど物語にとりこまれて、何時間も帰ってこないときの至福感! そののち、ここで大量の感想文を書きちらすに至っている、激しい活字中毒者の私なのです。
     ただ、この読みかたでいいのか? 疑問も感じ始めています。何でも読んでどれでも興奮しているだけでは、自分に思想がないかな★

     果たせるかな、セピア色の写真(表紙)の中から、ヘッセ先生は眼鏡の奥で厳しい目を光らせていました。ヘッセは乱読者を好まないのです。

    「ザルに水を注ぐように何でもかまわずせっせと読みつづける貪欲な読者がいる」――ザル疑惑。本好きと活字中毒は違うのですね。
    「小説の中の出来事を、そのサスペンス、そのスリル、そのエロティシズムや、すばらしくて魅力的なものか、気が滅入るほど惨めなものかによって評価する。あるいは、作品と作者の芸術家としての力量を、結局は常識の域を出ない一つの美学を基準にして評価するのである」――鋭いご指摘です。
    「少しヨーロッパ風のイルミネーションで彩られたいろいろな理想」も、翻訳物を読む際の妨げになっているかもしれず、凹みました……。

     にがい味がしたのは良薬だからと信じよう★
     しかしヘッセは薬にマーマレイドを添えてくれたらしく、薦める本や作家の名は好いものばかりでした。

    ・ペトラルカのソネット。美しい!
    ・ワグネリアンが反応する『ニーベルンゲンの歌』『トリスタンとイゾルデ』は間違いないそう。
    ・英国詩人ではシェリーとキーツが別格扱いだった。
    ・フランス文学ならスタンダール。
    ・スカンジナヴィアはイプセン。
    ・ロシア文学の扱いも納得。

     そんなに趣味が外れてはいなかったので、引き続き気になる作品を追いながらも粗い読みかたを何とかしようと、自分の乱読を戒めたのでした。
     もっと深く味わって読みます☆

  • 独学で古今の書物を読破し、作家として大成したヘッセが教える読書の楽しみと読書の意味。なぜ本を読むのか。どんな本を読むべきか。レクラム文庫(ドイツの古典文庫)のために書かれた読書案内エッセイ「世界文学文庫」(ヘッセの推奨する本のリスト付き)を中心に、読書をめぐる随想を集めたエッセイ集。読書の重要性についての指摘は時代を超えて今も感銘を与える。

  • 「人生の下劣さに抗する最良の武器は、勇気と、わがままと、忍耐です。勇気は私たちを強くし、わがままは愉しさを生み出し、忍耐は平安をもたらしてくれます」。
    本書は「わがまま」もしくは「個性の尊重」をテーマに、ヘッセの書簡、短編、詩などをまとめた詩文集。ドイツ語ではeigen(我の、自分の)とSinn(心、魂)の合成語からなる「わがまま」。日本と同様、ドイツ語圏でもあまり良い意味で用いられる言葉ではないというが、ヘッセはその「わがまま」を最高の美徳として用い、自分の心に忠実に生きていくことを信条とした。ヘッセが徹底的に嫌った「一致した考えを持つ大衆の利益のために、個性を抹殺する現代世界の傾向」は、現代の私たちが抱える心象風景に『汝自身であれ』と強く呼びかける。訳者の岡田朝雄名誉教授は、『庭仕事の愉しみ』『人は成熟するにつれて若くなる』(いずれもヘッセ作品)ほか、数々のドイツ書の訳を手がけている。

  • その人その人に最適な蔵書があり、「最良の蔵書」なるものは存在しない。各人が運命の出会いとともに構築しないといけないもの。
    本は真剣に取り組まれるのを待っている。多読が読書家なわけではない。
    だいたいそんな内容。

    大学図書館019H53

    あと新聞はよくない、新聞に論文や小説を連載するのはもっとよくない。ってあった。

  • 初ヘッセ。すごく洗練されていて、難しくレベルが高い文章だと思った。正直難しくて内容がよく分からなかった。

  • 新書を大量に読破する立花隆と、小説を丹念に味わうように読むヘッセ。
    私はヘッセ的読み方のほうに共感した。

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著者プロフィール

ドイツ生まれのスイスの作家。主に詩と小説によって知られる20世紀前半のドイツ文学を代表する文学者。南ドイツの風物のなかで、穏やかな人間の生き方を描いた作品が多い。また、風景や蝶々などの水彩画もよくしたため、自身の絵を添えた詩文集も刊行している。1946年に『ガラス玉演戯』などの作品が評価され、ノーベル文学賞を受賞した。

「2022年 『無伴奏男声合唱組曲 蒼穹の星』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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