- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794213471
感想・レビュー・書評
-
清酒業界にいた身からみると、この本には日本酒業界が「言いたくても自分たちからは絶対に口にしない」類のことが書かれている。
大体、日本酒業界というのは寡黙な業界だと思う。
大手が地酒蔵と技術をシェアして成長してきたことも、級別制度を廃止したのは税収を増やすためなんてことも業界内では常識だけど、絶対に口にはしない。そんなことを吹聴して自慢したり言い訳にしたりするのは「恥じ」だからだ。だから、業界外で大手メーカーが批判されるほど業界内で声高に大手を批判する地酒蔵や問屋も少ない。
それも、よかれあしかれ。
大手には過去の栄光にすがらずもっとしゃんとしろと言いたいし(NBとしての存在意義を自覚して欲しい)、地酒蔵にはいいかげん「大手にお任せします」とか「ルールなんて知りません(モンド・セレクション受賞をアピールするシールは、商品に首掛けにするのはいいけど、シールで貼っちゃうのはだめなのよ?とか)」という姿勢をもう少し改めた方がいいのではと思ったりもする(一部のところなんて大手よりずっと儲かっているんだから)。
色んな意味で今の清酒業界を俯瞰するのに、とてもよい資料だと思う。清酒が人の生活を豊かにできればいいと切に願っている全業界人の夢が花開く日の来ますように。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最近日本酒を好んで飲むようになり、それに伴い書籍もかなり購入している。
それらの書籍には必ず、日本酒業界が徐々に衰退しているということが書かれているのだが、あくまでも「酒好き(酒飲み)」や「酒造りの専門家」からの視点であり、ビジネス視点であったり本当の意味での現場の声についてがあまり分からない。
本書においておもしろいのは「地方の酒造」(これについては多くの書籍にて語られている)だけではなく「大手メーカー」「酒小売り」「飲食店」につてもふれられていることだ。
大手メーカーについて批判する本はかなりあるが、彼らは品質の一定したものを出来るだけ低コストで提供しようと切磋琢磨しているのも事実である。また、技術革新は常に彼らによって生み出されているのも事実だ。スーパーやコンビニで酒類を購入する割合がかなり高まっているが、そこで求められているのは低価格でかつ安定的な供給であるのだから大手メーカーの日本酒が優先されるのも経済論理としては当然だ。
世の中の思考が日本的テイストに傾きつつあることも、何となくそこに日本酒が含まれているような錯覚を持ってしまう要因といえそうだ。特に飲食業界では和風が大きなキーワードだが、案に相違してそれが日本酒には追い風とはならず、逆に仲間はずれの憂き目にあっている。
そこに日本酒の不幸があるという。
ルポライターであるプロの物書きが書くとさすがに違うなと感じる。非常におもしろい本だ。
-
かるいタイトルとちがって中身は熱血。せっせと日本酒を飲もうと思うのでした。おもしろかった。
-
小さな蔵から大手メーカーまで綿密な取材が行われている様子をみることができる。各蔵の良し悪しを公平に評価し、安易に「手作りで貴重な日本酒至上主義」というメッセージにおとしていないところに共感が持てる。「アルコール添加している日本酒なんか日本酒じゃない!」と思ってる人には一度読んでもらいたい。
-
日本酒の伝統を守り続ける各地の蔵を具体的に紹介。読み進むほどに、ますます飲みたくなる。焼酎もいいかも知れないけど、本当にうまいというより、本来の日本酒がなかなか手に入らなくなったことが残念。
-
最近焼酎ブームに押され人気も低下し、めっきり元気のない日本酒業界。日本酒は並行複発酵という過程を経る世界でも稀なお酒なのであり、まさに日本の伝統芸であるが、後継者の不足が指摘されている。日本酒の現在の状況と未来の展望を試みる。