複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線

  • 草思社
3.59
  • (45)
  • (59)
  • (124)
  • (6)
  • (2)
本棚登録 : 679
感想 : 71
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794213853

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今年ベスト。2005と古いが複雑系とネットワーク科学の醍醐味を、6次の隔たり、スモールワールド、神経、ウェブ、自然、生態系、行動科学、感染症、社会資本までたっぷり味わえる。おすすめ。

  • ネットワークのスモールワールド性について分かりやすく述べられていた。全体を部分に分けず、全体の性質を知ると言う科学はこれからの課題であると思うので、ネットワーク理論は良い取っ掛かりになると思う。

  •      -2006.07.27記

    長梅雨もやっと明けて、一気に夏本番。
    早朝、近くの公園の樹々の下をそぞろ歩くと、ひととき蝉時雨に包まれ、不意に異空間に滑り込んだかと思われるほどだ。
    蝉たちのさんざめきは夏の一炊の夢にも似て儚いが、それにしてもこの大合唱の同期現象は造化の奥深さに通じているというものだ。

    4月頃に読んだのだが、マーク.ブキャナンの「複雑な世界、単純な法則-ネットワーク科学の最前線」-草思社刊-に出てきた
    <ホタルのファンタジック.スペクタル>

    「パプア.ニューギニアの熱帯雨林の黄昏時、10メートルほどの高さのマングローブの樹々が150mほどにわたって川沿いに伸びるのをタブローにするかのように、何百万匹ものホタルが樹々の葉の一枚一枚に止まり、2秒に3回のリズムでいっせいに光を明滅させて、そのきらめきの合間には完全な漆黒の闇に包まれる」という。
    なぜホタルたちは同時に光を放つことができるのか。この驚くべき壮観な光景も、造化の不可思議、蝉時雨と同様、同期現象のなせるわざだが、これは我々人間における心臓のペースメーカーにも通じることだそうだ。
    人工ではない心臓のペースメーカーは大静脈と右心房の境目にある洞結節と呼ばれる部分の働きによるらしい。
    この心筋細胞の集まりは、心臓の他の部分にパルスを発信し、これが心臓の収縮を引き起こすもととなる。蝉時雨やホタルのファンタジック.スペクタルと同様、厳密に同期した信号を発生させ、それらの信号が各部位の細胞に伝えられるたびに、心臓の鼓動が生じているということだ。心臓のぺースメーカーたる洞結節に不調が起これば、心拍は乱れ、たちまちに死が訪れることにもなる、という。

    先に紹介した「海馬-脳は疲れない」でも触れられていたが、最近の脳科学の知見においても、知覚の基本的な働きでは、脳内の何百万もの細胞が同期してパルスを発信させることが不可欠であることが明らかとなっているように、これもまた同様の同期現象と捉えうる訳だが、どうやら、自然界には組織化へと向かうなにか一般的な傾向があるようだと、「スモールワールド」をキーワードに最近のネットワーク科学を読み解き、さまざまな視点から紹介してくれているのが、本書「複雑な世界、単純な法則」だ。

  • 15年前の本なのに色褪せることなく、むしろ、Covid-19やテレワークなどの体験を通じて、さまざまな思いを巡らせることができ、2020年の最後に読んでよかった。
    グラフ理論、また、勉強し直そうかな。

  • 複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線
    (和書)2010年12月09日 15:32
    2005 草思社 マーク・ブキャナン, 阪本 芳久


    柄谷行人さんの朝日新聞の書評でチェックしていた本です。

    面白い見方だなって思いました。

    様々な領域でそれを見ることができて、物理学の世界観も変わるかもしれないというのも面白かった。

  • "脳のシナプスのつながり、コンピュータネットワーク、電力網、人脈など一見なんのつながりも法則もなさそうなつながりにはパターンがあるという話。
    物理学、医学、生物学、社会学、経済学など様々な分野に共通したものだという。
    世界中のだれかとつながるには、どんな人でも最大6人の紹介でつながることができるという。そんな不思議を俳優業界の中で、ケビン・ベーコンさんにつながる人数で検証している。ネットワークの不思議を理解することは、現在の生活でなんかしらの役に立つ。本書に登場した人物の著書を読み広げたい。"

  • 6次の隔たりという言葉がある.
    これは,案外知らないところで身近な知り合いがいるものだという経験的にはよくあることを実証したものだ.
    そのことが理論的に説明されてきたのは2000年代に入ってからだ.本書は,このようなネットワーク科学の最前線をたくさんの研究をもとに紹介したものである.

    今日的な問題となった新型インフルエンザもネットワーク科学が扱う範疇である.
    毎日,ニュースで見るインフルエンザ対策も,基本的にはこのようなネットワーク科学の知見から導かれたものである.
    単純な手洗い・うがいの効果性を保証しているのは,この本が示している内容なのだと考えると多少向き合い方も変わってくる.

    そのような意味では,ネットワークの持つ本当の意味を私たちはまだ知らないのかもしれないと気付かせてくれる良書である.
    そして大事なことは,数学的なモデルは,多様な現象にあてはめられるということだと思う.
    就職やインフルエンザが同列に扱える不思議.モデルを持つことの可能性・重要性に気付かされた.

  • ネットワーク科学、理論についての著書。事例と調査をもとに理論をわかりやすく表現している。
    まだこれからの分野なので現在語られていることは非常に極一部と思うが、それでも十分理論の一旦は理解できる。
    人とのつながりや周囲の組織など応用も可能だと思う。関連書籍を読みたいと思う。

  • 複雑系

  •  人や物などのつながりに興味がある人は必読。2200円だが、5000円以上の価値がある。

     <a href="http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20080505/p1" target="_blank">http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20080505/p1</a>

マーク・ブキャナンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×