途方に暮れて、人生論

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著者 : 保坂和志
  • 草思社 (2006年4月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794214928

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途方に暮れて、人生論の感想・レビュー・書評

  • 本書は一貫として「考えること」をしている。
    現代社会に覆われているが、皆の心のどこかにある疑問や不安に対峙し、
    言葉にしている。
    この作業こそが、真剣に生きていくことにつながっていて、
    今の時代に必要なものだと思う。

  • 人生で用意されている時間はいつも長く退屈で、それを見ないために一は楽しいことを探し続ける。
    人生とは自分が生きることではなくて、人によって生きられるものなのではないか。それも傑出したヒーローでなく、自分のような人によって生きられる。
    人生とは本質において、誰にとっても、遅く生まれすぎたか、早く生まれすぎたかのどちらかを感じるようにできているものなのではないか。つまり個人が人生において直接経験することなんてたいしたことではないし、他人に向かって語るべきものではない。
    人生とか人生の意味なんて、問題が大きすぎて、人生を一回しか経験することのできない人間に応えられるはずがない。人生という問いはいかにもまじめでまっとうな設問であるように見えて、その実、解決できる範囲の小さな問題を放棄してきた硬直した精神が袋小路に陥って慌ててでっちあげたアリバイ工作のような設問なのだ。

    優越感というのは勝ち負けが根底にあるものだから、今このときにあなたが優越感に浸ってとても満足しているとしても明日になったらあなたは敗北感とともに勝った人を見ているかもしれない。優越感というのは敗者があって成り立つものだから、常に敗北する恐怖に脅かされている状態であって、気持ちが深く安らぐことはない。そのおうな状態を幸福と言えるだろうか。

    今の学生は心理学や精神分析に関心を持っているけど、彼らの関心は昔の学生が哲学や文学に持っていた関心と同じものである。哲学、文学、歴史など文学的なものに対する学生側の重要は実際には大きい。文学的なものをつぶすことは、学生の真の意味での教養を求める芽をつぶすことになる。
    人間を支えているのは教養であり、教養の中核になるのは文学、哲学。
    教養というのは、その外にいて十分な地位や名声を得ていると自負している人にとっては、ある種、秘境的に感じられるところがあって、簡単に言えば自分に理解できない言葉をしゃべっているということだ、そこに入れないと思う気持ちが攻撃性に転化する。そういう雰囲気が社会の全体を覆いつつあるのが日本の現状だ。

  • 対談者の質問に対して、保坂和志が淡々と答えてくれるが、
    それは保坂和志の感じたことであり、大事なのは常に「あなたはどう感じるか?」ということ。

  • 読んだこと無かった

  • 今まで自分が生きてい行く意味について疑問に感じてきたことの答えがあちこちに散りばめられているような内容でした。

  • 相手が自分以上の想像力を持っていることを想像すること、それを敬意と呼ぶ。
    善は自分以外のことを考える、悪は自分中心に閉じている。
    ふと自分を見つめさせられる言葉があった。

  • 「途方に暮れて、人生論」
    人生のあいまいで複雑な豊かさについて粘り強く考え、丁寧に言葉をつみかさねていく。


    表題に「人生論」とあるから、「きっと哲学的な解釈があったり、人生を真剣に見つめたりしているのだろう」と思って、この本を読んだ場合、ちょっと拍子抜けするかも知れません。しかし、それはある意味、こちら読者側のミス。なぜなら、表題には「途方に暮れて」とあるから。「途方に暮れて」とあるくらいだから、ある程度のユルさがある。


    しかし、「途方に暮れて」とあるけれど、人生論は人生論。決して侮ること無かれ。途方に暮れながら柔らかく、時には気の抜けた表現で綴っている内容は、実に大切なことで、普段の生活の中でなかなか見つめないこともある。


    例えば、「善と悪は本当にあるのか?」は、途方に暮れないで考えそうなことだし、「原罪と経済」もそう。「教養の力」なんか、新書とかで丸々一冊使う題材だと思います。そんな大事な題材を、途方に暮れながらも、実に考え深く書くあたり、只者では無い、と思ったら、幾度無く賞を頂いている作家さんでしたw


    一番印象深いのは、「私が老人を尊敬する理由」です。おばあちゃんの知恵は、老人になってもなお役立つことが求められる所が、結局、老人を役立たずに追い込む効率優先の社会の発想である、という視点は興味深い。それに、社会が老人に対してすべきことは、老人としてどういう役割があるか、を考慮することでは無く、その人が最盛期に持っていたパワーに対して敬意を持つことなんじゃないか?という保坂氏の考えにも共感。


    勿論、だからといって、老人達は何をやっても許される訳では無い。これは全年代の人間が頭に入れるべきことでもあり、常識とか倫理そのものに近い。最近、ここ数年は、まさしくこれが頭に入っていない人間が多すぎるのではないだろうか?とふと頭をよぎる。


    総評としては、思った以上に実りありな本でした。図書館で借りたけど、古本で手に入れようかな。それにしても、気品ある老人になりたいものです。これが、密かなプライベート目標。

  • たまたま、「季節の記憶」を読んで以来、なんとなく
    気になっていた作家さん。

    初めてエッセイを読みました。

    答えを出そうと焦らなくていいよ、と諭されたような気持ちになりました。
    一歩間違ったら、へりくつになりそうな考え方をユーモアを込めて
    展開しているので、ぐっと心に深く刻まれました。

    目標についての考え方とか、目を覚まさせられたような衝撃がありました。
    目標を達成することにばかり、意識が向いてしまいがちだなぁ。
    そうじゃなくて、本質的に一日一日を迷いながらしっかりと生きていくことの方が大切だな、と改めて考えさせられました。

    全体的には、自分も日ごろうっすらと感じていたことと似ていたので、「そうそう、そうなんだよ!」と心の中で強く相槌を打ちながらあっという間に読み終えました。

  • 『世代像がないから人生と向き合える』の章で「人生とは本質において、誰にとっても、「遅く生まれすぎた」か「早く生まれすぎた」かのどちらかを感じるようにできているものなのではないか。」には思わず首肯した。私は20歳代の頃はいつも遅く生まれすぎたと団塊の世代の人々を羨ましく思っていたものだ。

  • 1章 「生きにくさ」という幸福
    2章 老いることに抗わない
    3章 家に記憶はあるか?
    4章 想像力の危機
    途方に暮れて、考える―あとがきにかえて
    初出一覧
    (目次より)

  • 最初の方は、いいなあと思った言葉や文章に付箋を付けていたけれど、キリがないからやめました。

    「普通の人の人生というのは、密度ではなく空虚さによって実感されるようなものなのではないか。」
    「≪今みたいなこんな時代≫を楽しく生きられることより、生きにくいと感じられる方が、本当のところ幸せなのではないか。人生としてずっと充実しているんじゃないか。」
    「小説家というのは言葉を操る人ではなくて、言葉に対して疑問を持つことのできる人、言葉に対して違和感を感じることのできる人のことだからだ。」

    何に対して不安や不満を持っているか自分にもわかっていなくて、
    人には説明できないもやもやを
    この本を読んでどれだけの人が救われたんだろう。

    だから本っていいなあ。

  • 「言葉との出合いというのは、そこに起こるから力を発揮する。自分の中にすでに下地として持っていた考えと同じ方を向いた言葉と出合うことで、ただ下地であった考えにしっかりとした輪郭が与えられる。」「信じられるのは<あやふやさ>や<よるべなさ>しかないと思う。」「想像力」「生きることは考えることであり、考えることには結論なんかなくてプロセスしかない。>この人の作品はなぜかいつもあとをひく!2008/2

  • 暇潰しに終わらず、世界を見て考え、生きることを冷静に優しく見抜くエッセイ。初めてエッセイを面白いものだと思った。

  • エッセイ集。いい意味で、いやな奴で、だからこそ保坂さんはいい。と思う。別に人生論なんて語ってないです。もっともっと根本的なことです、ここで語られているのは。根本だけど、あまり気づかないこと。早く小説書けよー。いや、待つけどさ。そろそろいいんじゃないのかなって。(06/8/4)

  • 観かたや思考回路が似ている。

  • 教養はつまり文学と哲学なんだよ、ってあたりの考え方がやっぱり好き。大きく頷きながら読みました。

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