遣唐使全航海

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著者 : 上田雄
  • 草思社 (2006年11月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794215444

遣唐使全航海の感想・レビュー・書評

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  • 遣唐使に関する従来の「当時の日本は季節風も知らないほど航海術が幼稚で、造船技術も未熟だったため、ほとんどの遣唐使船が遭難した」という定説を正す内容。学問的に意義深いのはもちろん、遣唐使の冒険者としての側面が見える点でも非常に興味深かった。

    そもそも遣唐使に関する誤った定説がまかり通ったのは、その航海に焦点を当てた研究者が少なかったこと、その希少な研究者が季節風に関する知識も持たずにいい加減な論を展開したこと、さらに彼が権威ある歴史学者であったため後続が皆その論を疑わなかったことなどの要因があるらしい。

    気象学的には従来の説が唱える季節風の向きはまったく逆であり、遣唐使は風に従っていたと考えても差し支えない。また遣唐使船が当時の基準では破格の巨大船(唐や新羅の船は定員60人程度だったが、遣唐使船は120〜180人)であったことを考えれば、造船技術が未熟だったとも一概に言えない。むしろ、船を大きくしすぎたために暴風下での操船が困難になったのだろう。

    遣唐使は廃止されるまでに40隻の船を出し、そのうち12隻が難破しているが、それらの冒険譚もなかなかすごい。漂着した島で筏を作って脱出などは序の口で、原住民に襲われてほぼ全滅という事例は5回あり、生き残った5人だけで島人の小舟を奪い東シナ海を横断なんてケースすらある。

    腑ぬけた王朝貴族たちが未熟な技術で海に出て多くの犠牲を払ったかのような漠然としたイメージは、この本を読んだあとでは跡形もなく消え去るはず。

  • 今までの遣唐使研究の総括、批判と筆者による見直し。

    遣隋使、遣唐使遣唐使の派遣回数、時代区分、説の総括。
    全派遣の概観、遣唐使船の構造、気象学を踏まえた航海と季節風の関係。

    図表に遣隋使、遣唐使の派遣一覧、西高東低の冬型気圧配置と風向、1981年ポートピア博出で展示された遣唐使船復元模型の設計図、遣唐使船の船番号と乗船人員数一覧、遣唐使船の大きさ推定値表、航海速度想定表、日本周辺の夏、冬の気圧配置と風向、東シナ海の月別風向風速図、東シナ海海域の卓越風の風向と遣唐使船の渡海実績、遣唐使及びその後の日中間の航海の月別頻度、遣唐使・遣隋使渡航陣容一覧表、関連年表、遣唐使関連略地図

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遣唐使全航海の作品紹介

遣唐使についての盲点のいくつかを取り上げて、遣唐使の知られざる行き来の実態を描く。

遣唐使全航海はこんな本です

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