まだ科学で解けない13の謎

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794217578

作品紹介・あらすじ

21世紀の科学革命は何か?
その萌芽は「すでにわかったこと」の中ではなく、「まだわからないこと」の中にある!
宇宙論から自由意志、セックス、常温核融合、地球外生命、代替医療まで、13の謎が巻き起こしうる科学革命の未来像を解説。

感想・レビュー・書評

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  • 好奇心が刺激される一冊。
    最近読んだノンフィクションの中では一番面白かった。

    生命とはなにか、宇宙はどうなっているのか。
    ミクロの謎とマクロの謎と、どちらも同じくらいの深淵を持っている。
    つまり460億光年と同じくらいの不思議が
    この頭と体にも詰まっているということで、
    そう考えるとすごいことだ。
    この世界、やっぱり「神がサイコロを振っている」んじゃないかな。

    ********************
    21世紀の科学革命は何か?
    その萌芽は「すでにわかったこと」の中ではなく、
    「まだわからないこと」の中にある!
    宇宙論から自由意志、セックス、常温核融合、地球外生命まで、
    解決したら科学革命間違いナシの13の謎の現在を解説する。

    ●本書で扱う13の謎
    1 暗黒物質・暗黒エネルギー
    ――宇宙論の大問題。でもそんなものは存在しない?
    2 パイオニア変則事象
    ――物理法則に背く軌道を飛ぶ二機の宇宙探査機
    3 物理定数の不定
    ――電磁力や強い力、弱い力の強さは昔は違っていた?
    4 常温核融合
    ――魔女狩りのように糾弾されたが、それでよかったのか?
    5 生命とは何か?
    ――誰も答えられない問い。合成生物はその答えになる?
    6 火星の生命探査実験
    ――生命の反応を捕らえたバイキングの結果はなぜ否定された?
    7 ”ワオ!”信号
    ――ETからのメッセージとしか思えない信号が一度だけ……
    8 巨大ウイルス
    ――私たちはウイルスの子孫? 物議をかもす異形のウイルス
    9 死
    ――生物が死ななければならない理由が科学で説明できない
    10 セックス
    ――有性生殖をする理由が科学ではわからない
    11 自由意志
    ――「そんなものは存在しない」という証拠が積み重なっている
    12 プラシーボ効果
    ――ニセの薬でも効くなら、本物の薬はどう評価すべきか?
    13 ホメオパシー(同種療法)
    ――明らかに不合理なのになぜ世界じゅうで普及しているのか?

  • 科学によってほとんどのことが解明されて解説されている という考えが単なる思い込みで、まだ判っていない事柄が多くある。科学者のフロンティアはまだまだ健在だ。と、科学万能・終焉論に水をかけつつ、ここで上げられている「謎」の解明に期待し夢が膨らむ本。
    噛み砕いた説明があるとはいえ最先端といってもいい話なのでかなり難しいが、謎に関わる歴史や背景といった物語だけでも十分に楽しめるものになっている。

    ただ『科学の終焉』という本の「科学の輝ける日々、偉大な冒険としての科学は終りつつある」に対するアンチテーゼとして書かれてますが、各分野がますます専門化して新たに考える前に学ぶだけで大変、実験に多額の費用が必要で結果から得られる利益は不透明な状況でどう予算を集めるかといったことには答えがあるわけではなく、期待し楽観しているだけではダメなんだろうと思う。

  • 【科学の面白さを再発見!】
    今現在、この世の中において、科学をもってして解き明かすことの出来ない13の事項を掲載している本である。13の項目のうち、3つは科学をカジっていないと理解が難しい項目があるため、注意が必要。ただそれでも、「死ー生物が死ななければならない理由が科学では説明できないー」、「セックスー有性生殖をする理由が科学ではわからない」、「自由意志ーそんなものは存在しないという証拠が積み重なっているー」、「プラシーボ効果ーニセ薬でも効くなら、本物の薬はどう評価すべきかー」、これらの章は、我々が普段当たり前だと思っている事を科学の側面から説明できない理由を論述するため、非常に面白い。
    ただし、科学で説明できない為、読み終わってもさっぱりはしない笑。

  • 最高でした。
    今まで読んだ本の中でも確実に五本の指に入る衝撃と興奮。(そんなに沢山読書してるわけではないけど)
    今の科学じゃ説明出来ない13の例外(変則事象)を紹介する本。

    生き物が何故死ぬのかわからない
    人間に自由意志などないという証拠があまりにも多い
    万有引力の法則では説明出来ないズレがある
    物理学で最も重要で基礎的な定数が過去と現在で異なっているかもしれない
    …などなど13個の、単独でも面白い謎、それら一見別々の謎が読み進めているうちにすべてつながっているというのが分かるのも爽快


    「明らかだとおもっている事への謎がまだ13もあるのか」と驚いてたら、最後の章に「おそらく我々にとって一番身近な物質である水について、少なくとも64の変則事象がある」という言葉。

    もう今後一生「俺は頭がいい」なんて思いません。

  • 幅広く13項目選択されてるが、パイオニアアノマリーについては発電システムの熱問題ということで解決されてる模様。基本的には取材ベースなので過去の研究の経緯や逸話などがメイン。カジュアルな雰囲気ながら説明が難解なところも見受けられた。有性生殖の有利性については多様性確保が環境変化に有利だからだとザックリ思ってたが、科学的根拠にはなっていないとのこと。真核生物への進化で複雑化していく過程で、死と性が表裏一体かもしれない説も紹介。もう少しうまく掘り下げてほしかった。ホメオパシー療法は日本人には馴染みがなさすぎてどんなものか不明で興味が持てなかった。漢方みたいなものか

  • 量子物理学者の話しはおもしろい

    著者が選定する2010年時点での謎
    www.michaelbrooks.org
    科学を前進させる " 変則事象 " が、シュレディンガーが1951年に提示した「われわれはいったい何者なのか?」に答えられる日が来ることを期待して 現代の謎を考察している
    変則事象があったからこそ、これまで人間の知的活動に進歩があったことを著者は強く主張している
    理にかなわないことは重要なことだと言う

    量子論と相対性理論は両立しない中で、ひも理論が接合役をするのではと言われていながらもノーベル賞科学者達でも結論には達していない
    ボーアとアインシュタインの論争に変化を与えたのは1997年に観測された変則事象である
    超新星からの光を観測・分析した結果、宇宙は膨張し続けており、それは暗黒エネルギーともいう不可解な力が働いていることだった
    そこで最初の謎はダークエネルギー、ダークマターだ

    1.ダークエネルギーとダークマター
    まず、ひも理論では説明できない
    宇宙全体の96%を占めるという
    エネルギーを計算するアインシュタインの方程式を使っても宇宙全体のエネルギーの70%がダークエネルギーだという
    宇宙が高速で広がっていることを1929年に論文でまとめたのはハッブルだが、先に計測していたのはひかえめな研究者のスライファーだったという
    そして超新星という言葉も作ったツヴィッキーという天文学者の発見
    1980年からテーマに上がってきたダークマターの謎は、未だWIPMという何らかの素粒子の可能性が推測されるという程度らしい
    ワインバーグはいくつもあるうちの、この宇宙での出来事と表現しているそうだ
    量子論の不確定原理という、曖昧さを基本特性に持っているとする考えがベースになるそうだ
    泡のようにたくさんある宇宙の内のひとつの時空間が私達の宇宙という考え方だ
    この考えを検討や検証しようとしても別の宇宙の観測はできない
    果たして観測も検証もできないものが物理学なのかと著者は言う
    もしニュートン力学を修正すれば、ダークマターも不要になるという考え方もあるそうだ
    しかし2006年にNASAはダークマターの直接的証拠を見つけたと発表
    ふたつの銀河団の衝突の観測からの発見だった
    ちなみにニュートリノはダークマターのごくわずかな一部を構成するものとされている

    2.パイオニア変則事項
    ミスなのか?計算が合わない
    パイオニアとは宇宙探査機だ
    その航行経路が物理法則に背いているのだという

    3.物理定数の不定
    重力、陽子・電子質量比、強い力・弱い力、、
    実際に観測値を計算した物理学者は、批判を覚悟の上で定数を変化させると計算が成り立つことを論文で発表する

    4.常温核融合
    金属原子内での核反応だが、1989年に実験成功の騒動が起きて以来反証も多く、スキャンダル化してしまったそうだ
    当然研究者達は名誉も職も失い、このテーマを取り扱うこと自体が避けられるようになっているそうだ
    日本でのSTAP細胞事件のような感じかなと思う
    それでも常温核融合についてはパラジウム合金と重水素系での変則的効果として余剰熱を発するという研究を続けた者もいたそうだ
    ただ、皆不幸な人生を歩んでしまったという
    2004年以降アメリカのエネルギー省が常温核融合には注目すべきものがあると発表してから、CR39というプラスチックを劣化ウランのそばに置いておくと核反応が裏付けられる線で覆われる事が検証された
    著者はこのテーマへの取り組みが、決してこの実験は暴挙ではなく、むしろ核物理学の新たな展開が生まれることを期待している

    5.生命とは何か?
    変則事象にひそむ意義が大きい
    なぜ分子が集まって生命が生まれるのか
    分子の集合体に生命を吹き込むスイッチは何か
    シュレーディンガーの結論は、秩序から無秩序へというエントロピーの自然な移行過程を覆えすシステムが生命である としたが、著者は、ろうそくの炎も同じだと言う
    ポール・デイビスは生き物の特性として、自律性を挙げた
    自分の行動を自分で決定する
    生命を化学成分から合成しようとする合成生物学の実験が紹介される
    カール・セーガンも1995年に確信を持って期待した論文を発表しているが、未だ化学成分に生命は宿っていない
    生命はまだ変則事象のままだ
    クレイグ・ヴェンターの最少遺伝子研究
    ピエル・ルイジ・ルイージの最小細胞研究
    フィリップ・アンダーソンの 多は異なり という言葉
    創発とは、相互に作用する多くの要素から成り立つシステムは思いもかけない形に自らを組織するというのが基本的な概念だ
    カウフマン、ラフリン、パインズといった複雑系の科学者期待を寄せる
    そして地球外起源説にも魅力を感じている

    6.火星の生命探査実験
    1976年にスタートしたNASAのバイキング計画
    当初生物探しが加熱したが、現在は地質、気象探査が中心だという
    複数の探査チームが活躍する中で、微生物の反応を探知したチームもあれば有機物質を見出せない探査チームもあった
    総論として生命の存在は否定されたが、その後の探査での新たな可能性が発表されるなど生物学者は研究から離れてしまったのだそうだ
    ピーター・ウォードの著作で地球外生命の発見について参照できるという

    7.Wao信号
    太陽系外からの知的な信号
    1977年に受信、ジェリー・イーマンがデータ出力し余白にWaoと書き込んだ
    通信を行うほどの知的生命体であれば水素が発生する1420MHzの周波数を使うはずだと予測された通りの周波数帯で送られてきたからだ
    しかし送信元の正体を見出すには至っていない
    地球外知的生命体:SETI研究を進めるには現状は予算が足りない状況のようだ

    8.巨大ウィルス
    初めてウィルスというものが発見され論文に発表されたのが1892年のこと
    1992年に発見されたブラッドフォード球菌という微生物が発見された
    2003年バクテリアに間違えるほど巨大なウイルスの発見が公表される
    一般のウィルスを人のサイズとすると、その巨大ウイルスは12階建てのビルのサイズに相当するそうだ
    細胞核の祖先ではとの見方もあるという
    ウイルスは自ら蛋白質を作れない規制するものとされているが、この巨大ウイルスは自ら蛋白質を作る点が異なる
    真核生物、原核生物、古細菌以外の生命樹を作るべきという論文が2004年に出たという
    そして現在でも海水から新種の生物と遺伝子の発見は続いており、新種のウィルスも数百万はあるものと見られているそうだ
    また癌細胞を殺すレオウィルスの臨床試験もされているという


    9.死
    老化しない動物 亀の他にも様々な種があるという
    死こそ変則事象だという
    自然死の場合欠陥の蓄積が死に至るのが普通の考え
    線虫やショウジョウバエでは寿命を延ばす遺伝子が見つかっている
    1960年代に細胞の複製は50回程度までしか培養できない事が発見された
    染色体にあるテロメアの消耗による
    テロメアを復元する酵素としてテロメラーゼがある
    問題点はテロメラーゼを使用した細胞は腫瘍に発達する事だ
    アポトーシスが化学シグナルに反応するとカスパーぜという酵素が細胞を破壊する
    加齢は遺伝子スイッチによるものか、損傷の蓄積によるものか
    どちらも反証はある
    群選択での進化、即ち、若い世代に場所を譲るために死ぬ種が残ってきたという提示もある
    2007年加齢についてのヘイフリックの論文では、無作為に蓄積された突然変異が加齢と死の要因だとする
    元来毒性の強い酸素を活用しATPに変換して進化した生物なのだ
    ミトコンドリアはエネルギーを作るとともに有害な活性酸素も作り出すのだ
    遺伝子のDNAを考えると死の進化と性の進化が誘発されている事も考えられるという
    活性酸素による細胞損傷への対応として性が進化したのではないかというものだ
    死が付き纏うために有性生殖による遺伝子を再編成して死のメカニズムを緩和しているという考え方だ

    10.セックス
    有性生殖をする理由はまだ科学では解明できない
    なぜ無性生殖だけではないのだろうか


    11.自由意志
    脳科学では否定されている自由意志

    12.プラシーボ効果
    ニセの薬が絶大な効果を生む
    心が痛みや医療効果に多大な成果を示している
    しっかりと繰り返し検証されている
    科学では説明できないものの、病んでいる人には重要な効果なのは受け入れなければもったいない

    13.ホメオパシー 同種療法
    不合理なのに効果があると信じられている
    ホメオパシーとは、「その病気や症状を起こしうる薬を使って、その病気や症状を治すことができる」という原理のもと、1796年にザムエル・ハーネマンが提唱した代替医療
    人間の自然治癒力に働きかける治療法と言われているが、日本では馴染みがない
    ヨーロッパでは40%程度の人が経験あるそうだ
    漢方以上に西洋科学の根拠に乏しいと 著者は指摘する
    民間療法というより、おまじない みたいなものだからだ
    痛いの痛いの 飛んでけー
    アッ 泣きやんだ
    というようなものだ
    でも 泣きやむんだから不思議だよね

  • 面白い。一気に読ませてくれる。

  • サイエンス

  • 図書館
    予約中

  • 説明がくどい。結局解けない謎が何なのかぼやけてしまっている。

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著者プロフィール

上智大学外国語学部イスパニア(スペイン)語学科を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校言語学部卒業。サンフランシスコ州立大学英語学部修士課程修了。同大学の学部・大学院の元講師(翻訳、通訳、日本語)。英日・日英の両方向に翻訳できる数少ない産業翻訳者の1人として独自の翻訳教室を開講、主に北カリフォルニアで活動する。Apple社などのIT関連、機械翻訳、ウェブローカリゼーションの各企業で言語学プログラマー、エディター、およびシニア翻訳マネージャを歴任。毎日新聞社、UC Berkeleyなどの主催による講演履歴を持つ。現在フリーランス翻訳者・講演者。主な著書に『英日翻訳の技術 — 認知言語学的発想!』(共著、くろしお出版)。

「2023年 『英和翻訳の複層アプローチ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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