日本統治時代を肯定的に理解する 韓国の一知識人の回想

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794217752

作品紹介・あらすじ

1926年、朝鮮・京城(現ソウル)で生まれ、終生、韓国の民主化を追求しつづけた1人の知識人が、20歳で終戦を迎えるまでの日本統治下での青春の日々を回想。開明的な祖父や学生時代の恩師の思い出とともに、創氏改名、独立運動の実際を、驚くほど率直、公正な筆で綴る。そこから浮かび上がってくるのは、現代化し始めた京城の、おっとりとした街の佇まいのなかで営まれる穏やかな日常であり、それは「虐政を施された植民地朝鮮」という一般通念から想起される光景とはかけ離れたものだったのである。戦後教育によってつくられた、日韓合併に対する一面的な見方を克服し、肯定的側面を直視することこそ、真の日韓親善に繋がると信じて書き遺された、渾身の一冊である。

感想・レビュー・書評

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  • これも積んでおいた本ですが、面白く読んだ。1926年に京城に生まれ、その後、アメリカの大学で勉強し、朝鮮戦争に参加し、トロントに在住したインターナショナルな朝鮮人が書いたエッセイ(など)をまとめたもの。

    非常にクールで、かつ理路整然と議論を進めていく筆致には説得力がある。正直言ってタイトルは(例によって)内容を反映しておらず、日本人教師の理不尽な暴力や、太平洋戦争時代の軍の愚かさも指摘しており、決して日本バンザイという内容ではない。むしろ従軍慰安婦問題なども、それぞれの立場を相対化して非常にわかりやすい議論が展開されている。従軍慰安婦問題で(どちらの立場からも)これくらい説得力のある議論は見たことがなかった。

    韓国人が日本人を語るとき、このようにクールに語ることが出来る人は多いのだと思う。声がデカくないだけで。ぼくがNYにいたときも、イスラエル人とシリア人とか、パキスタン人とインド人とか、平気で仲良く仕事をしていた。そんなものだ。

    本書の巧みな点は、このようなクールな語り口の本を引用して「ほらみろ、日本人は別に悪くなかったんだ。こういうクールな議論もあったんだ!」とヒステリックに韓国罵倒のツールに使えない点にある。

  • かなり身分がよく、育ちのいい家庭だったようです。それより下の人たちとは感じ方がいくぶんか違ったかもしれませんが、いずれにせよ貴重な資料だと思います。いかに反日教育(中国含め)がいきすぎているかがうかがえる本でもあります。

  • 2010年の夏に、日経ビジネスの表紙を9人の女性グループが飾った。そこから韓国に興味を持ち、手当たり次第にタイトルに韓国と書いてある本を読んでいる。
    そんな中で、今の韓国にとって少なからず影響しているとおもって本書を読んだが、果たしてその通りであったか。非常に冷静な内容で(日本人から見れば)理解しやすいが、教育水準の高い家庭に育った著者の考えが他の民衆と同じであったかはよくわからない。
    いずれにしても、少女時代を媒介に日本統治時代を考えるとは、オレってクールだな・・・。

  • 昨日みつけてパラパラめくりこれはやはり読んだ方がいいと買ってきました。

    広い読みをしてみて、感じたのは冷静な書き方で偏向や捏造はないだろうと。

    例えば「ヨボ」という使い方では蔑称になる言葉について、植民地時代に良く使われていたと書かれた日本の本を読み、自分の記憶と照し合わせているが、そんな経験も目撃もないと書いている。また、1930年以前生まれのトロント在住朝鮮人にアンケートをとったと質問と回答数を書いている。(著者はトロント在住だった)また、弟や妻の話も載せており、弟はヨボの蔑称を聞いており、妻は体罰にあった同級生の証言をしている。一方でひどい体罰にあった日本人児童の話もある。


    私がよく違和感覚えることの一つに、厳しい時代で日本人の回想でも聞いたような話が、ひどい待遇として差別として語られたり、戦争犯罪として言われることであるが、たんたんと記憶にあることを日本人も含め書いており時代感が浮かぶ。


    創氏改名についても、強制ではなかったので、改名しなかった家の例と同時に自分の家の例をあげている。父親がある日「うちは松原と創氏することにする」と言い出したが改名は各自ですることになり、自分で正雄と決め、弟は真田幸村に心酔しており幸雄にしたそうだ。回りの創氏改名例もとりあげてるが、悲惨なイメージは感じられない。のどかな感じだ。


    友人や先輩の回想等もあるのだが、美化もされておらずたんたんと書かれている。


    当時を経験者として書いている貴重な本の一冊だと思う。

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