フェリカの真実 ソニーが技術開発に成功し、ビジネスで失敗した理由

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著者 : 立石泰則
  • 草思社 (2010年11月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794217905

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フェリカの真実 ソニーが技術開発に成功し、ビジネスで失敗した理由の感想・レビュー・書評

  • フェリカの生い立ち、目指そうとした所(物販ではなく管理者としての収入)、チップの構造、現在の乱立の原因など、興味深く読んだ。
    フェリカのプログラミング本もあるそうで、それを読むのも面白いかもしれない。
    それにしても、最近Androidで入ってきているnfcを見ると、なにやら切なくなってしまいます。

  • 2010年11月刊。
    本屋さんで表紙の FeliCa ロゴが目に留まり、読んでみました。
    非接触 IC カード「FeliCa」(フェリカ) の開発ドキュメンタリーです。
    サブタイトルに「ソニーが技術開発に成功し、ビジネスで失敗した理由」とあります。
    技術的な話よりも、ビジネス寄りの話が中心です。

    最初はビルの入退場 IC カードからスタートして、電車の電子乗車券、そして電子マネーへ。

    Edy も Suica も nanako も WAON も、みんなソニーが作った同じ FeliCa という規格で作られている IC カードなのに、なぜ別々の電子マネーになってしまったのか。

    FeliCa の開発者は「本来は、電子マネーが乱立するはずはなかったんです。ひとつの決済手段として、みんなが共通に使える電子マネーになるはずでした」(p.13) と言います。

    FeliCa の電子マネー機能は、本来は IC カードで利用したサービスの代金を回収する手段として用意されていたものだったのが、ソニーが立ち上げた Edy のビジネスによって、「電子マネー」そのものが目的に変わっていく様子が描かれています。

    驚いたのは、JR東日本は最初は Suica の中に電子マネーとして Edy を入れようとしていたのに、ソニー側(ビットワレット)がそれを拒絶したというエピソード。
    「Edy は単独で展開するビジネスだから、JR と組む必要はない」との経営判断だったそうですが、現在の電子マネーの利用率では、Suica がトップ(2位は PASMO)で、Edy は Suica の半分に留まっています。

    もし、Suica の中に Edy が入っていたら、Edy が電子マネーのスタンダードになって、電子マネーがこんなに乱立することも無かったかもしれませんね。

    (2011/01/21 読了)

  • フェリカの開発と、そのビジネス展開に関して。
    フェリカの技術的な開発は、宅配系の管理から始まり、それがポシャったあとに、オクトパスカード、JR等に採用されていき、順調に進む。オクトパスカードでは、マイフェアと争い、その際に技術開発が進んだ結果、採用された。
    ビジネス的な面では、JR 東と組まずに、単独で Edy を運営していこうとしたことが、失敗した原因として挙げられていた。当初、JR 東は Suica マネーを独自に運営せず、Edy を電子マネーとして Suica に入れることを考えていた。開発担当者であった Sony の日下部さんもそのように考えていた。しかし、事業部では Sony 単独で事業を進めることにこだわり、Edy が Suica に乗らないような領域を使う仕様にしてしまった。
    もし、その時 Edy が Suica に乗り、FeliCa で唯一の電子マネーとして使われていたら、もっと便利になっただろうし、 Sony の FeliCa 関連の事業も発展していただろう。
    消費者に真に便利なものを提供することを考えていく必要性を考えさせられた。

  • ・パスモ成功
    ・モノ売りからサービス売りへ
    ・セキュリティ高

  •  同僚がスマホでおさいふケータイでアプリでカードを選択して支払いしてるのを見ていて、ずっと疑問だったんだよね。

     なんでおさいふケータイ一台でnanacoもWAONもSuicaも使えんの?
     プラットフォームは別なんじゃないの?と。

     本書を読んで、日本におけるICカードの規格のほとんどがFelicaをプラットフォームにしているという事を初めて知った。
     しかも作ってるのがSonyだったことも知らなかった。

     え?SuicaってJR東の独自開発じゃなかったんだ...へぇ~...。


     香港の交通系ICカードに参入したのち、さらに、シンガポールにも納入しプラットフォームとしてのFelicaは成功を収めたと言ってもいい。

     しかし、日本国内の現状はICカードの乱立を招いている。それは消費者にとってもマイナスである。

     フェリカが技術開発に成功し、ビジネスに失敗した理由とはなんだったのか。

     ビジネスは出口戦略を考えてスタートアップさせないと失敗する。
     手段を目的としてはいけないというのが、フェリカの失敗から読みとれる。

  • 身近にあるビジネスケースの背後を読む上で考えさせられる。
    ソニーは本当に失敗したのか…

  • プロジェクトX、その後。迷走するFeliCaの軌跡。Edy失敗の後、乱立する電子マネーはすでに通貨ではなく交換ポイントとなり、開発者の夢は果たされていない。”全て自社製品で”というのは音響映像系メーカの悪い思考習慣と感じる。

  • ソニー日下部進氏の立場でのフェリカビジネスモデルの推移と考察。

    ビルの個人認証システムから始まり、JRとの協業へ。
    磁気のクオカードに先を越されるものの、
    1994年、香港のオクトパスカードでカードのハードのみだが、採用になる。
    JRの国家クラスのビジネスで採用のためにはISO規格準拠がWTOでは必須。
    ISO審議で非接触近接型カードとしては負け、近接通信でISO化し死守する。
    勝者はtaspoや住民基本台帳カード、パスポート、運転免許証で日本にも普及する。

    電子マネープラットフォームとしてのビジネスモデルを考える現場に対して、
    会社トップはハードのみを切り売り、似たようなカードが乱立へ。
    しまいには、NTTと合弁会社を作り、子会社ビットワレットは最終的に楽天に売ることに。
    docomoのおかげで他社含めケータイの必須機能になり、発行数は増えたが、
    いちばん使われているのは、SUICAであるのも現実を端的に表している。

    ユーザー目線でない囲い込み路線まっしぐらの悪しきソニーの時代の象徴。

  • 前にレビューした『さよなら!僕らのソニー』の著者がソニーのFelica開発の舞台裏を取材したもの。
    『さよなら!~』が2011年秋発行、本書が2010年発行だからちょうど1年の間隔で似たテーマの本を上梓したことになるが、使い回しされた内容はほとんどなかったのはさすが。

    さて内容については、全編通して「ミスターFelica」と呼ばれるFelicaの生みの親を主人公にしてストーリーが進み、フェリカ技術がどのようにSuicaに搭載されて日本中に広がり、しかしそれ以上の成功は生まなかったのかが臨場感をもって語られている。

    ということで『プロジェクトX』的な読み応えは十分にあるが、その外側の事実については大変あっさりとしていたのが残念。副題が「ソニーが技術開発に成功し、ビジネスで失敗した理由」とあるのでその理由というものをぜひ知りたかったのだけど、結局は「技術開発に成功」したのは才能豊かなエンジニアが頑張ったからで「ビジネスに失敗した」のは経営陣が阿呆だったからという話で終わってしまっている。

    本書を読んで一番強く感じたのは、メーカービジネスの難しさ。SuicaをはじめあらゆるICカードや携帯電話に搭載されているチップと聞くと誰もが「大成功ではないか」と思うが、部品メーカーからすると「たかだか数千万個」という感覚だということに驚くだろう。確かに、単価はべらぼうに安く、消耗品ではないので毎年同じ数だけ出荷できるものでもないし、民生品のように次々と新技術を採用した新製品を投入するわけにもいかない。やはり売り切りビジネスは報われないものだということがひしひしと感じられた。
    その意味で、Felica技術を柱にプラットフォームビジネスを展開させるという本書の主人公の先見の明は素晴らしく、もし彼のビジネスアイデアが実現されていたらと思うと本当に残念だ。

    最後に一つ。上で経営陣が阿呆で終わっていて残念と書いたが、ソニーが電機メーカーから脱却できなかったのは、正確には「しようと頑張ったができなかった」というのが正しいだろう。経営陣同士の権力争いや国際交渉力の低さだけでなく、過去の成功体験や既存ビジネス、あと関連会社や製造拠点とのしがらみも非常に大きいのはまさに古典『イノベーションのジレンマ』で知られている通り。経営陣が阿呆でビジネスに失敗したという論調は市井の読者からは受けるだろうが、結果論なので深みは全く無い。この著者の守備範囲ではないかもしれないが、できればその深い取材力と鋭い分析力をもって将来に向けた提言などにチャレンジしてもらえたらと思う。

  • felica ICに興味があって読んでみました。
    開発者の苦悩と周りの企業の欲深さが、よくわかりました。

  • 一気に読み終えた。フェリカという優れた技術を開発しながら、モノ販売に終始し、モノ販売とサービス販売の一体化あるいはプラットフォーム化を進めなかったことがフェリカビジネスの裾野の広さを失わせ、結果として、電子マネーカードが乱立することになった。

    モノ作りとサービス作りの一体化、プラットフォームビジネスの重要性など、フェリカ開発者が見通していたのに、それがビジネスとして採用されなかった。拙著「ミッシングリンク」で取り上げた問題点の一つの代表例が本書には描かれていると感じた。

  • ソニーはもしかしたら電子マネーのパイオニアとして復活出来ていたかもしれない、そんな思いを起こさせる本です。

    数年前には日下部氏のような井深NDAを受け継いだ優秀な技術者が大勢いて、そうした技術者がFelicaの優位性をもたらし、それなのに経営陣は戦略を見誤り・・・、と、輝いていた時代と比べるといまのソニーは非常に残念だし日本経済にとっても大きな損失と痛感させられます。

    少々意外だったのが、当初したたかに見えたJR東日本の懐の大きさでした。それを蹴ってまでフェリカネットワークスとビットワレットを設立してNTTドコモと組むという経営判断に対する疑心。日下部氏が見切りをつけた気持ちがよく分かります。

    米国で裁判とロビー活動で権利ビジネスを勝ち得た創業者盛田氏がいまのソニーを見たらどう思うんでしょうね。

  • 本書は、FeliCaの開発からそのビジネスの失敗に至るまでを取材したものである。

    ■はじまり
    ・1987年、業務用機器の営業担当者からの「大手宅配業者が小包の配送先の仕分けを自動化したい」という要望
    → 試作をしたものの、大量のノイズが発生したことと製造コストが合わなかった(チップに100~200円、ICカードでは最大2,000円にもなった)
    ・その後、JRの研究機関から無線タグの研究成果の申し入れ。ただ、JRの切符電子化は別の案により持ち越しとなり、開発は中止となる
    → 当時の大賀社長の一声で再開、フェリカプロジェクトの始動

    ■三菱商事からの誘い 「香港プロジェクト」
    ・香港の主要公共交通機関が非接触ICカード専用の自動入改札システムへの切り替えを決定
    ・米国キュービック社と豪州ERG社(改札システム事業者)・・・ERG社に内定
    ・オーストリアのミクロン社も独自の非接触ICカード(マイフェア)を売り込もうとしている(フィリップスに買収され、半導体の一部門になる)=TASPO採用
    ・勝因:香港事業者(クリエイティブスター)側のスペック要求が日増しに高まっており、それに対応しようと必死だった(ミクロン社は対応できていなかった)
    ・月産50~60万枚でも10億円以上の設備投資が必要。香港で300万枚売れただけではビジネスにならない。次のターゲットを、2000年に磁気カード用の出改札システムが更新を迎えるJR東日本に決まった
    ・香港のICカードはオクトパスカードとされ、人口約700万人の香港で1,400万枚以上が発行、一日当たりの利用回数は1,000万回を超えている
    ・その後、シンガポール全ての公共交通機関、インドのデリー地下鉄、タイのバンコク地下鉄、中国の深圳の地下鉄・バス・タクシーで採用を勝ち取っていく

    ■フェリカビジネスのその後
    ・国際規格にはならず
    → ノウハウも含め、ある程度技術を開示して展開するという懐の深さがあまりなかった
    → タイプA(マイフェア)、タイプB(モトローラがフェリカのライセンスを受けて開発)、タイプC(フェリカ)、タイプD, E, F・・・と多発
    ・無線(NFC)で国際規格を目指し、取得
    ・フェリカビジネスはこのままで良いのか?
    → (日下部)香港プロジェクトの際は、ハードウェアを売るというビジネスしか考えていなかった。生き残るにはオペレーターになるしかない。
    → (日下部)JR東日本と組んでも製造して終わりになる。オペレーターになり、 交通系だけでなくコンテンツ決済機能や承認機能等のアプリを搭載しようとした
    ・2001年1月、NTTドコモや大手金融機関と共同でビットワレットを設立、電子マネー事業をスタート
    → (当初)非接触カードの手軽さを、それを使用したいどのサービス事業者にも提供、決済システムが付随するという形を想定
    → JR東日本も、Suicaを通じて電子マネービジネスを行う意図がないよう = JR東日本と組むことを提案
    → ビットワレット自社のみで開発、展開すると銀行系役員に却下され、それならばリーダーのみ共同開発しないかという提案にも、法外な開発費をふっかけて無くしてしまう
    ・NTTドコモとの提携「フェリカネットワークス」。モバイルフェリカチップの販売により管理費を徴収するというビジネスモデル
    → ビットワレットも管理費を支払わなければならず、ビジネスに大きなダメージとなる
    → 最終的に、モバイルフェリカは電子マネーの裾野を広げると同時に乱立を招いた
    → 問題は、共通領域に制御以外のアプリ(ドコモ)を入れたこと
    → 当初やりたかったビジネスは、ビットワレットとフェリカネットワークスを合せたことで、問題の意思決定(JR東日本とは組めず、NTTドコモとは組める理由)がどのようになされたかは不明

  • 本日本屋でたまたま見つけ、思わず購入。
    まだまだ会社を知らなすぎるなと思い、、、

    いろいろな発見がありました。
    なんで印刷会社が出てくるのかとか、JRとの経緯とか、、、

  • 社会人の方には既に有名なフェリカビジネスの開発から企画、商品化の顛末を綴った本。なぜソニーがあのすばらしい技術を持ちながら、大きく成功することができなかったのかが書かれており、おもしろかったです。電子マネーに興味ある方、taspoなどのカードに興味がある方、この顛末を知らない方は読んでみることをお勧めします。

  • なんだか切ない話だ。。
    思い通りにできないのがもどかしい感じ。

  • ソニーが技術開発し、世界のスタンダードになれる可能性もあったフェリカ。その開発から香港での導入、日本での導入に至る経緯、さらには世界標準化に失敗し、ビジネスモデルの構築にも頓挫して、日本における電子マネーの乱立をもたらした内情を当事者のインタビューを中心にまとめたドキュメント。

    日本のガラパゴス化はこのときから既に、と実感させられるとともに、ソニー社内における、ある意味官僚化的動きとそれがもたらした失敗については、ヒトゴトではないなと身の引き締まる思い。

  • 面白かった。
    ソニーは何を誤ったか?
    「権利」ビジネスではなく「物」のビジネスにこだわったこと。
    「自社」単独にこだわったこと。
    「手段」を「目的」にしたこと。
    開発者の視点からだけで書かれているから何が真実かは判らないけど、初めて知ることが多くて勉強になった。

  • 1 フェリカ 非接触式ICカード 日本のデファクトスタンダード
    2 マイフェア TASPO
    3 eLwise 住民基本台帳カード
    2,3は国際標準規格 ISO

  • FeliCaの開発ストーリーとその後の経営戦略の誤りによる迷走
    「グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた」
    と同じく現場の技術者は優秀だけどもトップがだめだとどうしようもなくなる

    これからはハードを作って売るだけでは儲からない時代
    同じ製造業に勤めるものとして考えさせられました

  • フェリカに関わった人たちや組織を振り返ったタイトル通りの本。ソニーの立ち位置は難しい。ますます難しくなっている。という萌芽を垣間見ることができる。

  • 「ソニーが技術開発に成功し、ビジネスで失敗した理由」

    刺激的なサブタイトルを目にし、思わず手に取ってしまった業界人も多いのではないか。

    非接触ICカード技術 FeliCaの開発者、日下部進氏の心中に迫るインサイドストーリーといった趣きで綴られる本書は、これまであまり表立って語られてこなかった、FeliCaビジネスを取り巻く人間模様が赤裸々に描かれており、それだけで一読の価値のある内容となっている。

    NFCはなぜ生まれたのか?
    SuicaとEdyのもう一つのシナリオとは?

    ソニーとJR東日本のラブ・ストーリーとして読むと、あまりに切ない結末に、キュンとなる。




    目次

    第1章 非接触ICカードへの挑戦
    第2章 プロジェクトの中断と再開
    第3章 香港プロジェクト
    第4章 ダッチロール
    第5章 電子マネー
    第6章 先駆者たちの離脱

  • Suicaやお財布ケータイに必要なフェリカ。
    そのフェリカが世に出るまでの紆余曲折が書かれている開発秘話。

    個人的には非常にスムースに立ち上がり、
    うまく言っているビジネスと考えていただけに、
    世に出るまでここまでの苦労があったとは知らなかった。
    さらに、それが技術的な面ではない点は大企業らしい。

    改めて新しいビジネス立ち上げの難しさを感じ上、
    電子マネー乱立している現在の姿が、
    開発者の目指した姿ではないという点も面白い。


    おそらく、誰にとっても大変身近なものであるにも関わらず、
    知らなかいことも多い内容であり、大変面白く読むことができる。

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