文庫 砂漠の女ディリー (草思社文庫 デ 1-1)

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794218179

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  • 砂漠の真ん中に家族と暮らす少女ワリスが家を抜け出し紆余曲折を経てスーパーモデルにまで登りつめる話。

    冒頭の砂漠のシーンを見て「世界の果ての通学路」を思い出してしまった。
    あの映画を見た時は、砂漠に住む兄弟が朝水を汲みに行き、洗濯をし、学校までの果てしない道のりを・・・走る!
    走って通学するなんて、なんて元気な兄弟なんだろうと思っていたけど、砂漠の女ディリーを読んだらそういう事ではなかったのか、と衝撃を受けた。

    わずかな燃料だけで、恐ろしく逞しく、生きるための活動をしている砂漠の人々の、都会の人々とは比べ物にならないその研ぎ澄まされた強さに圧倒された。
    そんな人たちがいるとは思わなかった。
    TVでも映画でも砂漠で暮らす人達は何度も見たことがあったけれど、切り取られたワンシーン、と思って見ていたので、文章で読み、毎日の暮らしを順を追って自分で追体験するのとは全然違う!
    久しぶりに、本て素敵だ!!と思った。

    砂漠に住む人たちの日常生活や、風俗や、物の考え方がすごく良くわかる。
    それにしてもワリス、強気すぎてハラハラした。
    でも、私は一番強く力もある!と自信を持って言えるのが羨ましいなと思った。強くて、カッコいい。

    みんなに読んでほしいと思うくらい良かった。

  •  女子割礼。FGM(女性器切除)を受けたワリスの物語。
     この主人公のワリスも、スワドとは異なるが、たくましい。

     彼女の場合は……家族の元に居た頃は、スワドよりも人らしく暮らしていたように思う。
     ソマリアで遊牧民に生まれ、自然の中で暮らし、女性であるが故に女子割礼をしなければ結婚も出来ない(もちろん結婚もしない女性は論外)そんな慣習の中で育ち、ごく自然に女子割礼を行う。
     ここでは書かないけれど、女子割礼は本当に恐ろしい。

     しかし、ワリスは何を受けても損なわれていないと思った。ロンドンに出てモデルとして脚光を浴び、結婚をする。そんな彼女のしたたかさ、ずるさ、たくましさは、人として育てられたからなのか。写真の笑顔はとても美しい。
     いやほんとにもう、基本的な強さのある人はすごい。

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