文庫 良心をもたない人たち (草思社文庫 ス 1-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794219299

作品紹介・あらすじ

平然と嘘をつき、涙で同情を誘い、都合が悪くなると逆ギレをする-本来、人間に備わるはずの良心をもたないがゆえに、他者への思いやりが絶対的に欠落し、手段を選ばずに自分の欲望を満たそうとする人たちがいる。25人に1人いるとされる"良心をもたないサイコパス"の実態を心理セラピストが明かす。彼らの被害者にならないための見分け方と対処法を教える一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 良心がない人たちのことなんて知ってどうするんだと思っていたけど、読んで正解でした。

    サイコパスはふつうの人とは全く違う価値観で生きている。なので、全く違う生き物として接するのがよさそうだ。できれば関わりあいたくないけれど。

  • 遠回しな言い方が多くて、つまり何?っちゅーのと、漢字にしとけっちゅーのがひらがなすぎ
    かんたん、たんなる、あたえる、える(得る)

    サイコへの嫌悪が丸出しすぎておもろい
    親の仇かってぐらいボロクソ言うじゃん

    ハンナの話はすごい、小説みたい
    しあわせに生きること、それが最高の報復になる
    はー!かっちぇー!

    おもろいとこと絶望的にくっそつまんないとこの落差が激しすぎ
    ときどき急にお花畑みたいなこと言い出すのだる

  • 良心をもたない人=サイコパス 本書はサイコパスと対峙するための書である。
    アメリカでは、25人に1人がサイコパスである。すなわち、人口の4%がサイコパスである

    サイコパスとはどのような人か
    サイコパスの被害は何か
    サイコパスを見分ける法とは
    サイコパスに対処するには

    これが本書の流れです。

    気になったのは、以下です。

    反社会性人格障害者は次の7つの問いに、3以上当てはまる人をいう
     ①社会的規範に順応できない
     ②人をだます、操作する
     ③衝動的である、計画性がない
     ④カッとしやすい。攻撃的である
     ⑤自分や他人の身の安全を配慮しない
     ⑥一貫した無責任さ
     ⑦人を傷つけても、良心の呵責を感じない

    フロイトが説く人間の精神構造は3層
     ①イド(原我) 持って生まれた性的本能、攻撃本能、生物的要求
     ②エゴ(自我) 精神的理性、論理性、計画
     ③スーパーエゴ(超自我) 離れなところから自分を見て、アドバイスをしてくる存在、心の見張り役

    ミルグラムの電気ショックを与える実験
    62%を超える被験者は限界を超えてショックを与え続けていた
    それは、男性でも、女性でも同様であった
    100人いれば、4人はサイコパス、62人は権威にしたがうもの、残りの36人が自分の行動の重荷を背負うことができる人である。つまり、3人に1人しかいない

    すべてのサイコパスが強欲ではないが、良心の欠如と強欲さが重なりあうと、恐ろしい存在ができあがる。
    人の貴重なもちもの、美しさ、知性、成功、強い個性は簡単に盗み出すことができないため、人から奪おうとする
    サイコパスが有罪になる確率は低い、囚人のなかで、サイコパスであるのは、20%にすぎない

    サイコパスの手口
     相手を魅了する
     相手はじっくりと観察する、だまされやすい人はだれか、性的な誘惑に弱い相手はだけかを良く見分ける
     ばれそうになると、空涙を使う
     あるいは、いなおって、逆恨みして怒り出し、相手を脅して遠ざけようとする
     人々をあおるのがうまい

    サイコパスの見分け方
     繰り返しあなたの同情を買おうとする
     自分の利益にのみ執着する
     最後に泣き落としにくる

    何がサイコパスを作り上げるのか
     愛ややさしさといった感情を理解できない
     ナルシストには感情がある、サイコパスには感情はない
     幼児虐待にて愛着障害と似ている
     サイコパスの50%は先天的、残りの50%の理由はよくわかっていない

    サイコパスに対処する13のルール
     ①世の中には良心のない人もいるということを肝に銘じる
     ②自分の直観と、相手の肩書、違和感があれば、自分の直観を信じる
     ③3回の嘘、反故が重なったら相手を信じてはならない
     ④権威を疑う
     ⑤調子のいい言葉を疑う
     ⑥必要なときは、尊敬の意味を自分に問い直すこと
     ⑦ゲームに加わらない
     ⑧相手を避ける、連絡を絶つ
     ⑨人に同情しやすい自分の性格に、疑問をもつ
     ⑩なおらないものを、なおそうとしない
     ⑪サイコパスが素顔を隠す手伝いをしない
     ⑫自分の心を守る
     ⑬しあわせを生きる

    利他になれるのは、人間だけでない。自分を犠牲にして種をのがそうとする動物もいる

    道徳的成長は3段階
     ①強制による道徳、切迫した正義
     ②強調の道徳、相互性
     ③後習慣段階:自分の良心を満足するために行動する

    男性は、正義を重んじるが、女性は、思いやりを重んじる

    最後にサイコパスとは
     ・愛も道徳ももたず、慢性的に退屈している
     ・仕事をさぼるために心気症を使うこともある。
     ・努力をつづけることや、組織的に計画された仕事は嫌がる
     ・ひんぱんに休暇や休み時間をとるが、実際に何をしているかは謎である
     ・自分にしか関心がない
     ・人の心の動きを理解する能力が欠けている

    目次
    はじめに
    1 ジョーのジレンマ
    2 氷人間スキップ
    3 良心が眠るとき
    4 世界一、感じのいい人
    5 なぜ人は身近なサイコパスに気づかないのか
    6 良心をもたない人の見分け方
    7 なにが良心のない人をつくりあげるのか
    8 となりのサイコパス
    9 良心はいかに選択されてきたか
    10 なぜ良心はよいものなのか
    訳者あとがき
    文庫版のためのあとがき


    ISBN:9784794219299
    出版社:草思社
    判型:文庫
    ページ数:272ページ
    定価:760円(本体)
    発行年月日:2012年10月
    発売日:2012年10月10日第1刷
    発売日:2019年10月03日第13刷

  • イスラエルのガザ侵攻など、常識ではとても考えられないようなことを平然と実行するような心理とはいかなるものか。
    たとえば、国の指導者がサイコパスだった場合、その国の行末はどうなるのであろうか。
    過去の独裁者たちの最期を想起しながら、サイコパスが社会にもたらすものについて考えさせられた。

  • サイコパスだけでなく、「良心」に関して広く論じる。
    進化論的な分析も。
    読んでいて、「自分もサイコパスではないか」と思う部分と、やはり「自分はサイコパスではないな」と思う部分があった。


    「良心はべつの生き物……ないし人間の集団、あるいは人類全体への感情的な愛着から生まれる義務感である」(42頁)

    「サイコパスには自意識も欠けている。ほかの人ときずなを結べないばかりか、自分自身との関係も非常に希薄なのだ。」(76頁)

    「教育が権威とされる相手の真価を見抜く力になり、それによって盲目的な服従が抑えられることがあるのは事実だ。」(92頁)

    「東アジアの国々、とくに日本と中国では、かなりサイコパシーの割合が低い。」(181頁)

  • 自分の経験を書いており、サイコパスとはどういった人かを述べ、付き合う方法を書いているがあくまで消極的なもの。
    積極的に避ける、戦う方法は書かれていない。

  • サイコパスとは何かそしてその人達に希望を抱くことは危険であることを知り、大変驚愕であった。サイコパスかどうか見抜き、その人達と適切に関わることが重要である。

  • いわゆるサイコパスやソシオパス、反社会性人格障害などと呼ばれ、分類される人たちがいます。本書の帯を写すと、「一見、魅力的だが、うそをついて人をあやつり、空涙をながして同情をひき、追いつめられると逆ギレする」ような人々です。本書はこのような人々を「良心のない人々」と定義し、その視座から彼らとはどういった人たちなのか、何者なのか、を明らかにしていきます。「良心をもたない人々」は良心がないがゆえに、この世界をゲームとしてとらえ、他者に勝利し支配する行動をとります。配偶者や子どもを支配する例が多いようです。

    僕は本書を読みながら、自分の親や自分自身がサイコパスに当てはまるかどうかを考えました。結論からいえば、まるまるすべてが当てはまりはしませんでした。ただ、部分部分で当てはまるものがあり、サイコパスの片鱗があるのかなと感じたりしました。しかしながら、その判断はとてもむずかしいです。いくつかの別角度で考えることを心がけたり、性格というものにたいしてズームイン・ズームアウトみたいに、近寄って考えたり鳥瞰的に考えたりなどして、かなり本気で向き合ってみても、霧がかかったまま明確に結論は出ません。

    90年代に発明されたサイコパス診断シートがあるのですが、むやみに自分自身や近しい人に用いてはならない、とされています。僕が「あるいは、」と考えたのは、本書の筆者が本書にあえてぼかしをいれることで、サイコパスの診断を素人がくだせないように仕向けたのではないか、というものでした。そういった仕掛けによって人権を保護したのかもしれない、と考えるのは、僕が「空想好きのお人好し」だからなのでしょうか?

    さて。欧米では25人に1人(100人に4人)はサイコパスだというデータがあるようです。サイコパスって珍しいタイプなのかと思ってたけど、統合失調症(100人に1人)より多い症例なんです。しかしながら、そう思いながら読んでいたら、東アジアではもっとずっと少ないと載っていました。集団主義的な文化的な背景、世間とかのしがらみが、単独行動とセットのサイコパスを生みにくくしているのかもしれません。

    良心は、寝不足や歯痛などの身体的な不調によって弱くもなるもので、サイコパスのような「良心をもたない」行動へその人の行動を近かせるようです。また、恐怖や不安によっても良心は弱くなる。それと、権威に服従するというもともとの性向を人間は持っているのですが、権威からの働きかけやプレッシャー、服従によっても良心は弱くなり、サイコパスのような行動をとりがちになる。サイコパスは自意識が希薄なことが決定的な特徴だとあるのですが、こういった外的な要因のために自意識が弱まり良心も弱くなるのだろうと考えられます。強迫症で寝不足でという状態だったらほぼ間違いなくその人の行動はサイコパス同等のものになるのでしょう。サイコパスは周囲を支配し他者の人格を壊してしまいます。たとえば、ある人がもともとサイコパスではなくとも、寝不足や不安を原因としてサイコパスと同等の行動をしてしまうのなら、その被害はサイコパスからのものと同等のものを周囲の人は受けてしまい、迷惑そして問題です。ほんとうのサイコパス自体は精神症状と判断すべきものなのか難しいものですが、寝不足や不安を原因としてサイコパスと同じ行動をとっているとわかったとするならば、その源の精神の問題をきちんと治療したほうがいいです。

    <つねに悪事を働いたりひどく不適切な行動をする相手が、くり返しあなたの同情を買おうとしたら、警戒を要する>(『良心をもたない人たち』p145)
    妻に暴力をふるいながら、俺はなんてダメで情けないんだ、といいはじめ、殴られた妻が同情し始める。サイコパスの常套手段らしいです。どうして同情を買おうとするのか。他者から哀れんでもらうことで、サイコパスは他者を無防備にします。哀れんでいる人間は無防備になるからです。そうやって、好き勝手にできる力を得る。……というように説明がなされていたのだけど、納得がいきます。また、ちょっと想像を膨らませて考えてみると、サイコパスの者がサイコパスだとばれたとき、自分がサイコパスにならざるを得なかった後天的な理由があることを、サイコパスの者は同情を引くように述べだすと思うんです。サイコパスにそう語られた人たちは、そこがほんとうのような気がしてしまってわからなくなりがちではないでしょうか。いちばんのやっかいな点ではないかと。

    <サイコパスは完全に自己中心なため、体のあらゆる小さな痛みや痙攣にたいして自意識が猛烈に強い。頭や胸に一瞬感じる痛みがいちいち気になり、ラジオやテレビで聞きかじった話は、トコジラミやリシン(トウゴマに含まれる毒性アルブミン)にいたるまで、すべて自分の身に置きかえて心配になる。その不安と警戒心はつねに例外なく自分自身に向けられるため、サイコパスは自分の健康を病的に不安がる心気症患者のようにもなる。彼らにくらべれば重症の不安神経症患者でさえ、理性的に見えるほどだ。>(p253)

    <一般的に彼らは努力を続けることや、組織的に計画された仕事は嫌がる。現実世界で手っ取り早い成功を好み、自分の役割を最小限にする。>(p254)

    <なにかに真剣に没頭することや、毎日訓練を重ねて美術や音楽その他の創造的な力を磨くことは、サイコパスにはまったく向いていない。(中略)結局のところ良心のない者は、人にたいするときとおなじように、自分の才能と接する。才能の面倒をみようとしないのだ。>(p255)

    また、サイコパスはほとんどつねに単独で活動する。(ここは僕自身、単独行動ばかりなので誤解されるなあと気になったのですが、僕の場合は若いころから自分で自分を閉じなきゃいけない理由があったからなのでした。家族の問題が頭の大半を占めているのに、それを語っちゃいけない、ということで、他者から離れていってそれが板についたのでした)

    なかなかわからなくなってくるところもあると思います。現在の資本主義の競争社会だと、ある意味、サイコパスが勝者になりやすいように見えるし、こういった社会の側から、勝者になるためにはサイコパス的行動を、と奨励されるような気配すらあるように感じられるからです。

    最後に。本書はサイコパス、つまり「良心をもたない人々」を詳しくみていくことで、反対に「良心」についても深く考えていく作りになっていました。良心とは、愛ゆえの義務感である、とされていました。さらに、良心は抑制を生みもします。僕は最近、自制心って実はとても大切なんじゃないか、と考えるようになりましたが、ここでいう良心による抑制は、僕の考える自制心とニアリーイコールなのでした。まあ、おそらく、サイコパスかどうかっていうところも、多くの人々にとっては0か1か、白か黒か、ではないのだと思います。きっとグラデーションの濃淡のある種類のものです。それも、その時々によっても変化しているのではないかな、と考えるところなのですが、実際、どうなんでしょう……。


  • ざっくりとした内容


    良心をもたない人(サイコパス)の話。

    いろいろな特徴を持ったサイコパスがいるが、
    共通している点として、

    ・一貫して無責任
    ・愛がわからない
    ・勝つことにこだわる

    などがあるらしい。

    そんな異常なやつなんて、すぐに気づくよ。と思うだろうが、一見してわからないのがサイコパス。

    わかったら、すぐに距離を取るのが最善らしい。


    感想

     アメリカには25人に1人がサイコパス的傾向を持
     った人がいるらしい。

     幸いなことに、東アジアの地域でその割合がかな
     り低いとのことで安心した。

     
    こんな人にオススメ

    ・自分がサイコパスなんじゃないか?と思ってる
     人。
    ・サイコパスがどんな特徴を持つのか知りたい人。
    ・なぜ、サイコパスがいるの?と思ってる人。


  • 本書には様々なタイプのサイコパスが登場するのだが、私の周りにいる何人かがサイコパスの特徴に当てはまることがわかり、愕然とすると同時に納得がいった。特に、わかりやすい「威圧的」という特徴だけでなく、気づきにくい「同情を買おうとする」という特徴もサイコパスに当てはまると知り、心当たりがある知人を思い浮かびゾッとした。本書には彼らの特徴だけでなく対処法も紹介されているので、同じくサイコパスに悩まされている方にはぜひご一読を勧めたい。また、良心があることが目に見えない大切な財産であると気づくこともできる。

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著者プロフィール

マーサ・スタウト(Martha Stout)
1953年生まれ。米国のマクリーン精神病院で研修、ストーニーブルック大学で博士号取得。ハーバード・メディカルスクール精神医学部で、心理セラピストとして25年以上患者の治療続ける。現在はボストンで開業、臨床心理学者として心的外傷、心的外傷後ストレス障害、自殺念慮を専門にカウンセリングを行っている。前著『良心をもたない人たち』(草思社)は「ベターライフ・アワード」を受賞

「2020年 『良心をもたない人たちへの対処法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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