文庫 人間の性はなぜ奇妙に進化したのか (草思社文庫)

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制作 : Jared Diamond  長谷川 寿一 
  • 草思社 (2013年6月4日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794219787

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文庫 人間の性はなぜ奇妙に進化したのか (草思社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 進化論的な視点から人の性について解説した一冊。

    個人的にはヒトのどの時期までを進化論的に説明できるかに疑問があるため、進化論的説明を無条件に受け入れることはできない。
    本書にもあるように、人は知識の伝搬を行い、繁殖戦略において合理的であるはずの殺人やレイプを行わない理性を持っているので。

    それでも、進化論的な理由が現在のヒトの特徴を作り上げている一因であることは間違いないように思う。

    そんな訳で、人の性を考える上で一読の価値はある本。

    ただ、この本を読んだだけで、全ての謎をjust so storyな進化論的説明で完全に納得してしまうのは間違いだと思うし、思考の放棄。

    さらに元の題であるセックスはなぜ楽しいか?という疑問には答えていない。

  • 人間の性的特徴が生物全体で見た時にいかに異常であるかを述べ、それが自然淘汰により最適化されたものであることを説明している。特に女性の排卵が男性に隠蔽され、自身にも把握出来無いのが、配偶システムの中で生じる駆け引きによるとするのが興味深かった。また両性間に於ける遺伝的利益にとって最善な行動が一致しないのを明確に認識させられたのも面白かった。

  • 表紙とタイトルに興味を持って手に取った。
    思っていたよりも内容が、研究を基にした論理的科学的な物で最初は驚いた。
    普段あまり読む類の本ではなかったけど、筆者の論の進め方や面白い例えなどに惹かれて読み進める事ができた。
    私たちの性についての「当たり前」が全く当たり前でないことがよく分かったと同時に、動物や人間の進化や生のあり方に単純に衝撃を受けた。
    普段身の回りにはこんなに興味深いものがいたんだと気付かされた。

  • 人間の父親と母親を動物のオスとメスとして捉え直した本。この一冊で雑学王。

  • 「銃・病原菌・鉄」で数年前有名になった(少なくともその時に僕は知った)ジャレドダイアモンドの著作。銃〜はホモサピエンスの歴史に関する包括的な書であったが、本書は人類の性に焦点をしぼった進化生物学に関する本である。

    ◯人間の性は生物学上とても奇妙である
    もちろん我々人間にとってはとても普通のことばかりだが、人間の性は生物界全体を見たらとても奇妙で不思議に満ちているという。本書では奇妙な点を6点あげている。曰く、①長期にわたり男女でペアを維持すること②夫婦で子育てをすること③夫婦は単独で暮らすのではなく、社会の一員として生活すること④性交を内密に行い、他者がその場にいることをひどく嫌うこと⑤女性の排卵は隠され、特定の発情期(排卵期)を持たず、性交は月経サイクルの全範囲で行うこと(生殖のためでなくもっぱら楽しむために性交を行う)⑥女性に閉経がみられること

    ◯なぜセックスは楽しいか?
    上記の問いの幾つかに答えるためにまず考えるべきは、生物は自己の遺伝子を将来に残す機会を最大化するために行動すること。そしてその利害は男女で異なることだ。

    初期の人類はおそらくハーレム(多くの場合ボス猿であるαオスが存在する)を形成して群れで暮らし、わずかに排卵シグナル(たとえばサルの尻が赤くなるなど)がみられたと考えられる。これにより性交は特定の時期のみ効率的に行われたと考えられる。
    だが、ハーレムでは子のオス親が明白のため、ボスの失脚とともに子殺しが頻発する。メスは排卵を隠すことで多くの雄と関係をもち父性を撹乱し子殺しを防ぐ戦略に出た。
    さらに人類は一夫一妻制を採用するようになる。このシステムは妻子を他の雄から守り、父を家に留まらせることになった。
    結果人類は排卵シグナルを出さないため複数回ランダムに性交する必要に迫られ、”セックスを楽しむに至った”

    ◯ヒトにおけるセックスアピール
    多くの鳥や一部の類人猿には外見上明らかな性差がみられる。孔雀のオスはより煌びやかな羽を広げメスを誘い、ゴリラのオスはより大きな体格と背中に白い毛を纏う。オランウータンのオスは肥大した頬を垂らす。これらは自分がより良い遺伝子を持つオスであることをメスにアピールする。本書の最終章には(本論としては枝葉の部分であるが)ヒトにおけるセックスアピールについて書いてある。ここがとても面白かった。
    曰くヒトにおける異性への魅力は①男性の筋肉、②顔の美しさ、③女性の脂肪であるという。
    現代風に言えば女性はイケメンの細マッチョに魅力を感じ、多くの男は美人で胸やお尻の大きい女性に夢中である。
    これらのメッセージの意味はなんなのか。健康的な男性の筋肉に多くの女性は魅力を感じる。健康的な筋肉は多くの獲物を捕り他者からの侵略から妻子を守るメッセージになる。
    一方女性の豊かな胸は健康で充分に授乳が可能なこと、ふくよかな臀部は出産の際に安定感があり母子ともに危険に至る可能性が少ないことを意味する。
    面白いのは顔である。整形外科が発達する前まで顔は自由に変えられる部位ではなかった。美しい顔は健康的で、病気を持たず、栄養不足でないことの証明になった。のかもしれない。


    本書は人には聞けないなるほどが詰まった(性の面でも、進化生物学の面でも)良書である。

  • 男女の感情的な諍いはホントにキツイ。おそらく、感情について理性的に考えてしまうのがそのエネルギーの浪費による身体的な疲弊を招いている。なので、性が絡む感情を進化生物学という理論を用いて理性的に説明するこの書物は身体的な疲弊を防ぎうる可能性を有していると思う。
    私のように浮気、不倫、だめな男、だめな俺など、いろいろと悩んでいる方は読まれたらいいと思う。

    Mahalo

  • あまりにも身近過ぎて気付かなかったが人間の性の仕組みにはいろんな不思議があるんだなぁと思った。閉経は自然界では例外的だとかなぜ雄は乳汁を出さないのかとか興味を惹かれる内容ばかりだった

  • 授乳はなぜ女だけ?
    確実に自分の子。産むまでにかけたコストがでかい。どちらかが外で狩りをしなければならない。
    排卵を隠すのはなぜ?
    乱婚型社会では、色んな相手と関係を持つことでどの雄も子供が自分の子供かもしれないと思うので、子殺しが発生しにくくなる。さらに進むと、雌は優秀な雄を選び、独占的に関係を持つことで(一夫一妻)雄に確実に自分の子だと認識させ、子育ての支援を得ることに成功する。
    なぜ閉経するか?
    人間は子供を産むときに母体にとても大きな負担がかかる。また、自分で食料を得られるようになるのにも10年以上かかる。リスキーな出産、子育てを高齢になるまで続けるよりも、一定の年齢でストップして死ぬまでに一人前の子供り育てた方が遺伝子が伝わる可能性が高まる。

  • これは、本当に面白かった。知的刺激に満ちた本だった!

  • 浮気・閉経・娯楽としての性交渉・人目をはばかる性行為・・・ホモ・サピエンスとしては普通のセクシャリティである。これが動物一般としては、いかに特殊な事情なのかを認識した上で、動物の進化の結果としてあるいは人類の文化として、こうなってしまった理由をいろいろと考察。著名な学者による真面目な本だけど、飲み屋の雑談ネタの仕込みにも役立つ。ちょっとした気づきは、人類がまだ文字を持たなかった頃、老人という存在は知恵を伝承するメディアであったということ。ヒトが普通の動物と違って、生殖能力がなくなっても、簡単に死なない種である理由の一つであろう。

  • 「性の問題はいつもわれわれの心を虜にする」 前書きより

    本書では、授乳、女性の閉経、セックスアピールなど7項目について科学的見地から論じる。
    タイトルや内容からトンデモ科学、エセ科学だと思ったら大間違い。
    れっきとした研究である。

    面白かったのが授乳の章だ。
    現在授乳中のせいもあるだろうが、非常に興味深い。
    人間社会では、授乳はお母さんだけではありません、哺乳瓶を使えばお父さんだってできますよというPRがなされている。
    パートナーの協力は非常にありがたいのだが、実際乳房から乳が出るのは女性だけだ。
    我が子も「なんでパパおっぱいでないのー?」と聞いてくるが、当たり前のように私も「パパはもともと出ないの」と答えているが、果たしてそれは「当たり前」か?
    最近の実験結果によると、たいていの養母は1ヶ月程度で多少の母乳が出るのだという!
    そして、乳汁分泌が進化する条件がヒトには備わっているのだそうだ。
    雄が乳汁を分泌するダヤクオオコウモリの研究が進めば、もしかしたらヒトのオスも乳汁を分泌できるようになるかもしれない。
    そんなのは笑い話?
    いや、現在の生殖医療だって初めは笑い話やSFの世界だった。
    いつかはこれも現実になるかもしれない。

    なぜ女性には閉経があるのか、というのも面白い。
    生理なんてメンドクセーな、なんて毒づいていたが、終わってしまうとそれはそれで悲しい、かもしれない。
    しかしなぜ閉経があるのだ?!

    象徴的なエピソードがある。
    最も効率的な身体とはすべての期間がほぼ同時に使い物にならなくなる身体だということ。
    ヒトの寿命が延びているのに、なぜ生殖器官だけがそうならなかったのかという疑問に対する答えは、「少なく産めばたくさん育つ」からだ。
    一見矛盾しているが、これこそがヒトの戦略。
    進化の結果だ。

    生物は常に進化、そして生存戦略を練っている。
    最善を求めて。
    無駄に思えるもの、当たり前だと思っているもの、その全てが戦略なのだ。
    全てが解き明かされるわけではないが、私たちは常に「最善」を求めている。
    進化的アプローチの重要性、魅力、困難さ。
    奇妙な「当たり前」の世界はわからないからこそ心惹かれるのだ。

  • 進化生物学の観点からあらゆる性にまつわる謎ーそのほとんどは言われなければ意識すらしないものだがーを様々な学説を比較しながら説明していく様は興味深い。

    ただし、結論として著者がどう考えているのか明確に示されたものがなかったのが不満。

  • 「銃・病原菌・鉄」のジャレド・ダイアモンドが「性」
    について進化生物学の観点から総合的にまとめた著作。
    実によくまとまっていると思うし、いい本なのは間違い
    ないが、今まであれこれと同じようなジャンルの本を
    読んできた私にとってはすでにどこかで目にした内容を
    復習する本、だったかな。

    この本の元になったサイエンスマスターズシリーズは
    すべて読んでいるはずなのに、この本については全く
    覚えがない(苦笑)。当時読んだのやら読んでないのやら。
    まぁこの本を読んだ今となってはどちらでもよいか。

  • あとがきにもあったように、この現代は「セックスはなぜこんなに楽しいのか」だったようだが、これじゃ大学の教科書としては使えないわな。とんでもない。セックスは楽しくちゃいけない。セックスは生殖のためなんだから。そう言う人に聞く、じゃあ、なぜ動物とヒトにとってのセックスは奇妙に違うんだろう?そういう内容の本だ

  • 人間の性は実に奇妙だ。しかし、その特徴は唯一的なわけではない。ひとつの動物種として特殊な性のかたちは、文化的・社会的特徴と融合し奇妙に発展してきた。進化学や人類学の知見から、人間の性について新しい感覚をもたらす良著。

  • 特に後半の第4章から第6章は興味深く読めた。
    排卵のシグナルが隠蔽されていることや人間に閉経が存在する理由については産婦人科医としてうなづきながら読む箇所も多々あった。

    進化の過程で知性や感情、社会性を手に入れたが故に、身体的な進化が追いつかずに歪みが生まれている部分もあるのかなと思った。
    隠していた排卵シグナルが容易に分かるようになったり、閉経期を間近に迎えても妊娠が可能となった社会で人間の体はどんな進化を遂げていくのだろう。あるいは、なん百万年単位でしか変化しない体に合わせて社会はどんな変化を遂げて行くのだろう。
    進化の過程を振り返ることで、人間のあるべきとまでは言わないが自然な姿、ローリスクローコストに種を維持するシステムが浮き彫りにされているようだった。

  • 邦題タイトルは、セックスはなぜ楽しいかより、こちらの方が内容に即して良いと思う
    種差別主義から優しい語り口で次々と展開していくので、とても楽しく読みやすく理解も容易だった
    特に性染色体の話と繁殖期のシグナルの話は面白く読めた
    1番興味深く読み進められたのは婚姻の形態についての箇所
    閉経に関しては、よく分からないが重要なポイントが欠落している感じが否めなかった
    結果論的な側面が強い?

  • 生物進化を勉強していた身として、また、子育てを控えている身として、面白い内容だった。毎度ながらダイアモンド先生は人を惹きつける文章を書かれるのでその点も参考になる。

  • いろんな動物の行動が出てきておもしろい!

  • 図書館で借りたのですが、気に入ったので自分で買いたいと思います。
    いろんな動物と人間を比べています。
    自然淘汰。
    男と女の利害対立。雄、雌どちらが育てるかは、1 胚や受精卵にすでにどれほど投資したか。2 この先、胚や受精卵を育てることでどんなチャンスを逃すことになるか。3 自分が本当に胚や受精卵の親であることを確信できるか? これら3つの要因で決まる。
    男性が授乳をしない理由、女性の排卵の隠蔽や閉経がなぜ生じたか、男性の養育参加やセックスアピールの謎

  • 面白くてためにもなった

  • 本書によると、人類の進化は、その経済的合理性によってほぼ説明できるのだという。人間の性(単にセックスという狭い意味を表すものではない)が他の動物に比べてひどく奇妙である点について驚きを禁じ得ないが、更にその理由が、生存し、種を保存していくうえでの経済合理性に関係しているという説明は、とても新鮮で興味深いものに感じた。

  • 以前から読みたかった本。空港で文庫を見つけたので購入。確かに人間と他の動物を比べると特異さが際立つ。よいし視点。

  • フーコーの「性の歴史」の世界にやや凝り固まってきた頭をほぐすために、進化生物学や人類学の知見を参照してみる。ひとつの問題を違った角度から眺めてみるよい勉強だが、とりわけ多様なアプローチを取り得るセクシャリティに関しては興味のもっていきかたに際限がなく、それぞれの説得力を整理するのがたいへんである。医学、心理学が基本概念とする生物=心理=社会モデルを振り返ってみると、もうセックスとジェンダーを区別した思考はナンセンスなのかなと思えてきた。

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文庫 人間の性はなぜ奇妙に進化したのか (草思社文庫)の作品紹介

ヒトはなぜ隠れてセックスをし、セックスそのものを楽しむのか。私たちの性はなぜ、かくも奇妙に進化したのか。人間社会のあり方を決定づけてきた性の謎に挑む。単行本サイエンスマスターズ12『セックスはなぜ楽しいか』を改題して文庫化。

文庫 人間の性はなぜ奇妙に進化したのか (草思社文庫)はこんな本です

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