アメリカはいかにして日本を追い詰めたか: 「米国陸軍戦略研究所レポート」から読み解く日米開戦

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794220158

作品紹介・あらすじ

1941年、ヒトラーとの戦争のきっかけを待ち、日本との戦争は想定外だったルーズベルト米大統領は、石油等の全面禁輸の経済制裁で日本の南進を阻止できると考えた。だがこれによって日本は、明治以来拡大してきた領土をすべて手放し米国経済に完全に組み込まれるか、戦争かの究極の選択を迫られ、結果、真珠湾攻撃に踏み切ることとなった。日米開戦の責任の一端は米国外交の失敗にあったとする陸軍戦略研究所の分析に、日米近現代史研究家渡辺惣樹氏が詳細な解説を付す。

感想・レビュー・書評

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  • 邦題は趣旨と違いますが、事実に則した内容です。米国が太平洋に出て、西進し、中国市場を支配することが、既定路線だったことは理解しておかないと本筋が見えなくなります。このため、資産凍結・禁油・禁鉄くずに耐えても、ハワイを攻撃しなくても、ルーズベルトでなくなっても、ドイツとの戦争に決着がつくまでの順番待ちです。植民地になるか、植民地を持つかの二者択一の時代に、どう行動するべきだったかを考えることは、日本人必須のテーマです。その意味でも、これくらいの歴史は、広く国民レベルで共有したいですね。

  • 日本は負けることが必至の戦争に突入した。その敗北の主な原因は日本人の人種偏見であり、宿命論であり、帝国主義的な傲慢さであり、また他の文化への無理解でもあった。日本はいずれかの時点で国家の誇りと国益を混同してしまった。国家的野心の実現に、軍事力が伴っていなかった。

  • ルーズベルト外交の失敗が、日本に戦争を決断させた。2009年に発表された米陸軍のオフィシャル・レポートに詳細な解説を付し、真珠湾攻撃に帰着した日米外交の真実に迫る。「太平洋戦争開戦史」。

  • 日本よりもアメリカの方が相手のことに無知でありすぎたために、全面的な対日禁輸が、日本をあのとんでもない開戦の意思決定へと追い込んでしまうなどとは、ルーズベルト政権内部では考えもしなかったようである。これに懲りた結果、今回の北朝鮮への制裁としては、石油の禁輸は見送ったのであろうか。アメリカはまだ北朝鮮について分かっていないことの方が多いのだろう。

  • 冷静な現実感覚を持つためにおすすめの二冊。

  • 日米開戦時における、「ルーズベルトの悪意」の有無を検証する試み。
    当時のアメリカの世論、ルーズベルトの立場をぜんぜん理解できていなかったことを教えられた。日本がいかに残念な決定をしてしまったのかはともかく、アメリカの下した結論も合格点と言えるのかどうか。さらに言えば「アメリカの意思」って何を指しているのだろう。民意、それとも大統領の下した結論のことだろうか。
    さらに「歴史の真実」なんてものは存在しえないってことが、よく分かるのだ。

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著者プロフィール

米国における国防政策の専門家。米空軍大学教官。外交政策研究所およびハドソン研究所のシニア研究員、上院軍事委員会専門委員。

「2017年 『文庫 アメリカはいかにして日本を追い詰めたか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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