- Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794220998
感想・レビュー・書評
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古本にまつわるエッセイ。
・「電子書籍そのものは、当分は古本屋には影響ないだろう(略)一人しか客の無い品を、電子書籍化するはずがない。貴重な資料や、ベストセラーが見込まれる小説などが、電子書籍の対象と考える。ならば古本屋は、これと逆の商売をすればよい。すなわち、現在、百円二百円で売っている「雑本」が、電子書籍の時代には、珍本とされるだろう。電子書籍で読めないから、紙の本を探さねばならぬ。現在の百円二百円均一の本が、一万十万円の稀覯の書に化けるわけだ。(p78)
・東京音頭流行の狂騒の様(p95)
・図書館絵葉書(p98)
・阿部定事件の公判記録が、某春本コレクターの所蔵にある由。閲覧・複写不可(p138)
・戦前の古書収集家、谷村一太郎。集めるだけでなく必要な人に惜しみなく貸与し、場合によっては進呈した。「知識は一人が私すべきものではない」。亡くなった翌年には中田邦造が中心となり追悼本が発行された。(p193)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2020年11月27日読了
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本を愛する人は愛すべき人ですね
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古本屋を営み、直木賞作家でもある作者が本について(主に古い日本文学とその作者や私家版など多岐にわたり)語ったエッセイです。
とにかくすごい知識量で…どの1編も興味深い話ばかりです。太宰など有名作家の話もありますが、歌人やごく個人的に出版された本、はたまた艶本?などについても語っております。古本についてというより、日本の文学(アマプロ問わず)を語る本です。これを読むと、もっと日本の文学を読みたくなりました。 -
2014年12月刊。初出は、日本古書通信2010年2月号〜2014年7月号、群像2010年4月号と文庫、単行本解説。まえがきと76編のエッセイ。学者のような探究と博識で本と本を取り巻くお話が披露されます。宝石のようにキラキラ光る楽しく興味深いお話で、堪能しました。
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先月9日、隠岐の島のマリンポート海士にご講演にいらしたことをふまえて「あとがきに代えて」を書いておられる。聞きに行きたかったが、踏ん切りがつかずにお会いする機会をのがしてしまった。本著でも博覧強記ぶりをいかんなく発揮され、なかなかついていけないのだが、文豪たちにまつわる秘話を知る。中でも谷孫六氏に興味が向いたので少し調べてみたい。『風雪のペン』で知った黒岩涙香の「万朝報」に給士で入社して頭角を表した人だという。第三章で紹介されている本はすべて、いずれ読んでみなくてはならない。